まるも亜希子の「寄り道日和」

浅草の魅力を再発見! クルマで「Go to 東京」

このエントランスだけ見たら、東京だとは思えない雰囲気が素敵な、「プロスタイル旅館 東京浅草」に宿泊してきました。ロビーもお部屋もコンパクトですが、1つひとつのしつらえはとても上品で、日本らしさを存分に楽しめました。いつかまた外国からお友達が来た時にも、おすすめしたいなと思います

 東京に住んでいるのに、わざわざ東京に泊まるなんて。きっとコロナ以前だったら、そんな風にちょっと馬鹿らしいことだと思っていたかもしれません。でもいろんな自粛を経験して、当たり前のことがそうではないと知った私たち。そして、老舗のお店がつぶれたり、テーマパークなどがなくなったり、明らかに街に元気がなく、疲弊していると感じるようになってしまった今。だからこそ、たまには東京を満喫してみようかと、今回はクルマで「Go to 東京」してきました。

 行き先は、いつもなら日帰りでも十分に遊べる、浅草。わが家からは約30分ほどのドライブで到着です。でも、お部屋に露天風呂がついたモダンな旅館を予約してみました。13階建のビルなのに旅館って、すごく東京っぽいですよね。ただ駐車場がないので、近隣のコインパーキングを利用することになるのですが、隅田川を挟んで旅館のある台東区側はめっちゃ高額。上限設定がないところばかりなので、隅田川を渡って墨田区側に行くと、上限1300円~1700円くらいで比較的リーズナブルなコインパーキングがありました。旅館まで7分くらい歩きますが、スカイツリーが真正面にドーンとそびえ立つ言問橋を渡り、爽やかな隅田川の風を感じながら歩くので、なかなか気持ちのいいお散歩になりました。

 そして日が落ちると、なんとなんとお部屋のテラスから見えたのは、キラキラと光るスカイツリーと、まん丸な満月の競演! わが家からはどうやっても見ることのできない絶景に、これだけでも来た甲斐があったと満足してしまいました。

お部屋のテラスからは、うっとりするような絶景が! 奇しくもこの日は、46年ぶりだったという「ハロウィーン満月」。スカイツリーとの競演はいつまでも眺めていたいくらい、素敵でした。今まで、私は東京タワー派を自認していたんですが、この日ですっかり”スカイツリーもいいね派”になりました(笑)

 お楽しみの夕食は、浅草駅近くの焼肉屋さんへ。旅館のすぐ裏手にある浅草寺をぶらり散歩してみると、本堂や五重塔がライトアップされていて美しいのなんの。表参道にあたる仲見世は、店舗はほとんど閉まっているものの、歴史ある看板を見て歩くだけでも楽しいですね。「下馬」という立て札があり、「表参道に付き車両入るべからず」と書いてあるのが粋でした。

 夕食から戻った後も、テラスからの絶景を眺めながら、久しぶりにテレビも見ず、家族3人でのんびり。とてもいい非日常体験ができました。

夕食のお店に向かいがてら、夜の浅草寺をぶらり散歩。本堂と五重塔のライトアップが見事で、本堂の扉は閉じていたものの、参拝はできるようになっていたので、そっと手を合わせてきました。浅草に宿泊しなければ出会えなかった、昼間の賑わいとはまた違った浅草寺はとっても素敵でした

 翌日は、娘が前々から楽しみにしていた遊園地、「浅草花やしき」へ。なんと開園は1853年(嘉永6年)という、167年の歴史を誇る遊園地です。まるで忍者屋敷に入るかのような入り口から、私たち大人もワクワク。私はおそらく30年ぶりくらいの来園で、夫は東京生まれ東京育ちのくせに、初めてなんだそう。園内は地方の広大な遊園地と比べるとビックリするくらいの狭さで(笑)、アトラクションがひしめき合っている感じなんですが、赤ちゃんから乗れるアトラクションもあるので、子ども連れが多い印象です。

約30年ぶりに訪れた、開園から167年目を迎えた歴史ある遊園地「浅草花やしき」。コンパクトな敷地にゴチャゴチャと入り組んでアトラクションがひしめき合っています。以前はなかったものといえば、やっぱりここからの眺めに東京スカイツリーが姿を現したことですね。浅草No.1フォトスポットを謳う「スカイプラザ」にのぼると、こんな風に浅草を一望できちゃいます

 約30年前に来た時に、どんなアトラクションに乗ったのかはほとんど記憶にないのですが、1つだけ強烈に覚えているのは、昭和28年に生まれた日本現存最古のジェットコースターである「ローラーコースター」。今回も私は、これだけは絶対に乗りたいと楽しみにしてきました。なんたって、最高時速はたったの42km/h。日本最速のコースターが富士急ハイランドにある「ド・ドドンパ」が180km/hなので、激オソ(笑)。なんですが、おかげで身長110cm以上の子どもから乗れるので、115cmの娘も一緒に乗れました。しかも、激オソだからといってナメちゃあいけないんです。狭いところに急激な高低差をつけたレールが通っているせいか、浮遊感がハンパない! とくにラスト30秒くらいの衝撃はものすごく、娘はキャーキャーと絶叫、夫はビックリ、私も大興奮で、やっぱり30年前の記憶は正しかったのだと再確認できました。コースターが疾走するすぐ横に隣家の洗濯物がはためいていたり、キコキコと今にも壊れそうな音がしたりと、別の意味でもスリル満点なローラーコースターですよ。

 ひとしきり絶叫して遊園地を楽しんだら、遅めのランチは浅草寺の方へ戻り、夫のリクエストで江戸前天麩羅がいただける「大黒屋天麩羅」へ。天麩羅にも江戸前があるんだってことを初めて知り、3種類ある天丼のうち定番の海老と野菜の天丼を注文。あとは海老2本と野菜、海老4本という天丼がありましたよ。よくいただくような、衣がサクッとしている天麩羅とは違って、色が黒くてしっとりしていて、ご飯まで甘辛のタレで黒く染まっているのが江戸前天丼なんですね。初めてでしたが、これはこれですごくホッとする味で、色が黒いのにしつこくなく、大好きになりました。

創業明治20年という、浅草名物、大黒屋の天丼がこちら。江戸前の特徴として、ごま油100%で揚げたキツネ色と、丼ぶりに蓋がついて出てくるので、衣がしっとりと柔らかいことでしょうか。創業以来ずっと守ってきたという、甘辛く濃厚なタレがよくご飯にも染み込んで、見た目にも食欲をそそります。色は濃いですがお味の濃さはちょうどよい加減。噛むほどになんだかホッとする、優しい天丼のファンになりました

 そんなわけでこの辺でわが家のGo to 東京はそろそろ終わりです。今回の旅で、今まであんまりありがたみを感じていなかったスカイツリーが一気に好きになったり、ビルが見事な旅館になっていた東京モダンを体感できたり、東京という街の新たな一面を知ることができた、素敵な時間になりました。再び30分も走れば自宅に到着するので、最後に渋滞にハマってドっと疲れたりしないのもいいですね。

 こんなに近くでも、想像以上の旅気分が満喫できる「Go to ご近所」、皆さんもいかがでしょうか♪

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z(現在も所有)など。