まるも亜希子の「寄り道日和」

「ジャパンEVラリー白馬 2020」に参加してきました

2日間に渡って開催された「ジャパンEVラリー白馬 2020」の締めくくりは、全車で連なって白馬村役場を目指した「EV気候変動マーチ」。全員で記念撮影をすると、なかなか壮観ですね。Honda eやアウディ・e-tronなど、2020年にデビューしたEVも華を添えてくれました

 日本のあちこちから、EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)をドライブして長野県の白馬村に集結し、地球温暖化や気候変動について学んだり、EVの普及を願ってオーナー同士の懇親を深めたりするイベント、「第7回 ジャパンEVラリー白馬 2020」に参加してきました!

 これは環境省が開催している「COOL CHOICE」のイベントと共催で、私はその1つである「COOL CHOICE 最新EV&プラグインハイブリッド車 展示&試乗会」のインストラクターを務めたのです。

 でも、昨年までは子供が小さかったので参加が難しく、今回ようやく5歳の娘を連れての初参加。仕事というより、EVでの楽しいロングドライブ旅行の気分です。

 しかも、東京から白馬へと向かう相棒となってくれたのが、まだ登場ホヤホヤのプレミアムEV、アウディ「e-tron」! 後席のチャイルドシートに座った娘も、思わず「うわ~、いいクルマ」なんて言ってテンション上がってました。

 東京を出発した時、e-tronの航続可能距離は278kmと表示されていて、白馬の宿泊先までの距離は272km。ナビをセットすると、「目的地まで到着できない可能性があります。経由地に充電設備のある諏訪湖SAを設定しますか?」というような案内が出て、賢いな~と感心。思い返せば、私がEVでロングドライブをしたのは2010年にリーフが発売された時と、2017年に2代目が登場した時で、前回は7年分の進化に驚愕したものでしたが、それから3年経っても、やっぱりまだまだ進化が続いているんだな~と感じます。

 夕方に出発したので、高速道路に入ってすぐにもう真っ暗になってしまったんですけど、ドライブは順調そのもの。デジタルサイドミラーは、最初の1時間くらいはどうしても外に視線をやってしまって、「あ、違った」と車内に視線を戻していたんですが、だんだん慣れてくるものですね。通常のミラーよりもハッキリと見えるかどうかは、あんまり変わらない気がしましたが、だんだん標高が上がってきて外気温が下がってくると、窓ガラスが曇っちゃいますよね。そんな時でもデジタルミラーなら曇りは関係ないし、車線変更する際にも隣りに車両がいる時は黄色、いない時はグリーンのランプを点灯してくれて、見落としが少なくなるのも頼もしいなと思いました。もちろん、過信は禁物ですけどね。

 そして何より感心したのは、ハイビームの賢さ! 高速に入ったら基本、ずっとハイビームになっていたんですが、前走車がいてもリアウインドウより上、つまり前走車のドライバーが眩しいと感じる場所には光線が届かないようにしてくれるし、それと同時に路肩の高いところにある標識にはピカッと光を当てて認識しやすくしてくれるし、バイクもしっかり避けて照らしてくれて、もう見えやすいったらないですよ。夜間の高速走行がこんなにラクだったのは初めてかもしれないです。

 で、ずっと高速道路の制限速度に合わせて巡航を続けてエアコンもつけていたので、諏訪湖SAに到着した時には、白馬まで残り100kmくらいに対して、航続可能距離は80kmくらいまで減っていました。でも、ここで2回くらい急速充電をすれば、余裕余裕。

 と思ったけど諏訪湖SAの急速充電器の前には、先客が。最近は、こうした「充電待ち」も珍しくないですよね。ま、仕方ないので先に私と娘の充電を済ませようと、レストランへ。ささっと食べてe-tronに戻ると、先客はもう出発していたので、ようやく充電器をさせました。

 そこから、お土産ショップを見たり、100円のゲームをやったり、ガチャガチャをやったりしながら、待つこと30分。e-tronに戻るとすでに「充電完了」と表示されていて、航続可能距離は135kmに回復していました。でも、慎重に走らないとけっこうギリギリかな? 本当はもう1回、充電したかったけど、時刻はもう21時。白馬まではまだ1時間半くらいかかります。娘の眠気が限界になる前にホテルに到着したかったので、諦めて出発したのでした。やっぱり10年経っても変わらないのは、EVドライブには時間の余裕が必要ってところですね。でもほんと、e-tronはそれさえクリアすれば、極上のドライブをくれる素晴らしいEVだと思いましたよ。

 さて、ジャパンEVラリー白馬2020の当日は、イベント会場となった白馬五竜エスカルプラザの駐車場に、Honda eやBMW i3、330e、X3 xDrive30e、日産リーフに三菱ミニキャブMiEV、トヨタ・RAV4 PHVといった、今をときめくEV&PHVの試乗車がズラリ。お客さまが自分で運転して試乗でき、しかも無料なので、EVオーナーさんも他メーカーのEVってどんなかな? と楽しそうに試乗していました。

 そして午後になると、日本全国からやってきたEVが、1台ずつゴールゲートを通過し、記念撮影とインタビュー。日本EVクラブ代表の舘内さんと、白馬村キャラクターの「村男III世」が出迎えて、楽しいやりとりが続きます。今年はいちばん遠くからやってきた人は宮城県から! そして、第1回から皆勤賞のオーナーさんも、なんと3名! EVの電気を利用してコーヒーやお汁粉などをふるまう、「COOL CHOICE 給電屋台コーナー」を楽しんだりしながら、再会を喜んでいました。でもコロナ禍で参加を断念した人も多かったようで、また来年は通常通りに賑わうことを願うばかりです。

7回目を迎えた今年のイベントは、コロナ禍のために例年より開催時期が遅いことや、あまり多くの人が一堂に会する親密な集いを避けることから、ちょっと簡素な内容となってしまったそうです。でも、こうして1台1台、ゴールゲートで出迎えて「おつかれさまでした」と長旅を労う、和やかな雰囲気がとてもいいですね

 その後、COOL CHOICEフォーラム「気候変動と自動車~白馬に雪は降るか」に参加。長野県環境保全研究所の浜田さんによる、とても興味深い基調講演をはじめ、現在17歳のスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんに刺激を受け、「グローバル気候マーチ in白馬」を企画・開催した白馬高校の生徒や、その訴えに賛同して「気候非常事態宣言」や「ゼロカーボンシティ宣言」をした白馬村長・下川正剛さんなど、それぞれの想いで白馬の美しい自然を守ろうと活動している皆さんのパネルディスカッションは、すごく心に響くものでした。

 そして、参加者の心が1つになったところで、白馬五竜のゲレンデにキャンドルを灯す、LEDキャンドルナイト。フォーラムの最中は「ヒマ~、眠い~」とご機嫌ナナメだったのに、ここでがぜん張り切ったのは娘(笑)。キャンドルをせっせとゲレンデまで運び、その光景に大はしゃぎしていました。

夕暮れのゲレンデを舞台に、キャンドルの灯りで描かれたEVの文字。今年はEVの普及とCO2削減に加えて、コロナの終息も祈念しました

 例年より簡素なスタイルながら、表彰式&夕食会も和やかな雰囲気に包まれ、19時に解散してそれぞれの宿に戻ります。そして翌朝、再び集合して、ゆっくりと白馬村役場を目指して走り、EV版の気候変動マーチが行われました。

 昨夜の雨で、白馬の山頂には雪が降ったようで、一晩にして真っ白な綿帽子をかぶった姿に。山の中腹は赤や黄色に紅葉し、麓はグリーンの木々。これが世界的なスキーリゾートである白馬の名物、「三段紅葉」なのだと教えてもらいました。いや~、本当にきれいで、幸せな気持ちになりました。

 娘は、家族4人で参加していたリーフのオーナーさんとすっかり仲良しになり、「また来年会おうね」と約束して解散。まだ娘にはEVやこのイベントの意味はあんまりわからないでしょうけど、10年後、20年後、娘が大人になった時にも、白馬にきれいな雪が降りますように。そのためにも、自分自身も勉強しながら、EVのよさを伝えるお手伝いをしていきたいなと思います。

いちばん上が雪の白、真ん中が赤や黄色の紅葉、いちばん下は鮮やかな緑。これが、白馬名物の「三段紅葉」なのだと白馬村観光局の方が教えてくれました。雪景色が有名な白馬ですが、秋も素晴らしいですね。この後、蓼科方面を回って帰ったのですが、今年はどこも紅葉がすっごく綺麗です!

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z(現在も所有)など。