まるも亜希子の「寄り道日和」
クルマとトラックが集まる富士スピードウェイへ
2024年11月7日 00:00
10月最後の日曜日。早朝のちょっと肌寒い富士スピードウェイに到着してみてびっくり! いろんな年代のGT-Rで入場待ちの行列ができているんです。さすが、通算17回目にして15年連続で開催されている「GT-Rマガジン」のイベント、「R's Meeting」をはじめとするコンテンツ盛りだくさんの「オートメッセリアル」と、迫力満点なトラックやトレーラーが大集合する「ジャパントラックショー」のコラボイベント「オートメッセリアル×ジャパントラックショー」ですよね。
なんでも今年は5年ぶりにGT-Rのサーキットでのフリー走行が復活したり、トラックによるパレードランなどもあるんだとか! クルマとトラックのコラボイベントは、長い富士スピードウェイの歴史の中でも昨年が初めてのことだったそうですが、確かにパドックに入ってみると、いつもの雰囲気とはちがってなんというのでしょうか、長さも高さもスケールが桁違いの展示スペース(笑)。作業着や、お馴染みの流れるウインカーなどのアクセサリーを販売するブースなんかもあって、すごく新鮮な気持ちでぶらりパドック散歩を楽しませてもらいました。
私はそんな「オートメッセリアル×ジャパントラックショー」は初めての参加だったんですが、実はGT-R関連でもトラック関連でもなく、ホンダアクセスのブースで「Modulo30周年記念スペシャルトークショー」に出演するためだったのです。メンバーはホンダアクセスOBで元Modulo開発統括の福田正剛さん、Modulo開発アドバイザーの土屋圭市さん、モータースポーツアナウンサーのピエール北川さんという楽しい面々で、Moduloの元祖となったアルミホイールの進化をテーマとした1回目、土屋さんとModuloの歩みをテーマとした2回目という内容でお届けしました。
で、1回目のアルミホイールの進化では、現行モデルのヴェゼル専用に開発された「MS-050」が最新の製品。私はすでに、もてぎの周回路で試乗していたのですが、ピエールさんは初めてとのことなので、あらためて一緒にノーマルホイール装着車とMS-050装着車のヴェゼルを乗り比べさせてもらいました。
最初は、ヴェゼルそのものの運転も初めてだというピエールさんがステアリングを握り、私は後席へ。ピエールさんは喋るだけでなくご自身でモータースポーツ経験もあるので、きっと違いを感じ取ることができるだろう……と思っていたのですが、これが予想以上に鋭い感性の持ち主でいらっしゃる! まずはノーマルホイール装着車でパドックからグランドスタンドまでを往復し、軽快なハンドリングに好印象を持っていたピエールさん。直後にMS-050装着車に乗り換え、アクセルペダルをそっと踏み込んだところで早くも「えっ!」と言って停止。「ちょっと待って、もうぜんぜん違う!」ともう一度、発進加速を試していたほどなんです。
試乗を終えたピエールさん曰く、MS-050装着車の方はクルマがあらかじめ路面のギャップなどを見ていて、乗り越える準備をしているかのようだと。余計な振動が残らないし、安定感・上質感がアップしてタイヤを履き替えたかと思うほど。まさに、その通りだと私も首をブンブンと縦に振ってしまいました。しかもそれは後席でもしっかり感じられて、音の聞こえ方まで変わったのには驚きました。前席の会話がとても明瞭に聞こえてくるし、Cピラーのあたりから入ってきていたノイズが消えた? そんなことある? と不思議な現象まで起こるんです。その後、私が運転を交代してピエールさんが後席に乗り、同じコースを試乗して存分に違いを堪能させてもらいました。
トークショーでは、そんなModuloのS660用ホイールを開発したときを振り返り、土屋さんが「最初は何言ってんだこの人たちって、バカにしてたんだよ」とぶっちゃけトーク(笑)。「こっちはレースの世界で、ボディと同じくらいホイールも剛性出してくれって頑張ってんのに、何が“しなり”だよって」とまぁボロクソだったそうなんです。でも、北海道の高鷲テストコースで5種類のホイールを試していくうちに、土屋さんもその「ホイールをしならせて全体のリフトバランスを整える」という仮説に興味を持ち始め、最終的には「すいませんでした」と謝ったというのが面白いですよね。こういう、誰も思いつかないようなアイディアや仮説を1つ1つ、粘り強くテストして作り直していく、気の遠くなるような開発を繰り返してきたからこそ、今のModuloがあるのだなぁと、あらためてその凄さを実感したのでした。
Moduloというと「実効空力」が代名詞となっていますが、それによって4つのタイヤが路面に吸い付くような安定感をもたらし、合わせてヴェゼル用の「アルミホイール MS-050」のように、ホイールもサスペンションのひとつと捉える独自の発想と技術も今後、多くの人に体感して知ってもらえたらいいなと思います。