まるも亜希子の「寄り道日和」

PEC東京で「911 GTS T-Hybrid」を楽しんじゃいました

PEC(ポルシェ・エクスペリエンス・センター)東京で、911 GTS T-Hybridに試乗してきました。アテンドしてくれたのはインストラクターの佐藤さん。丁寧な指導で安心してドライブすることができました

 911史上、初となるハイブリッド「911 GTS T-Hybrid」はいったいどんな走りなのか。気になっていたんです〜。千葉県木更津市にあるPEC(ポルシェ・エクスペリエンス・センター)東京で、じっくりと試乗する機会をいただきました。

 外観はことさらハイブリッドであることをアピールするようなことはないですが、縦型ルーバーとなったフロントグリルなど、しっかり進化しています。新たに3.6リッターへと排気量を拡大した水平対向6気筒エンジンと、PDKに追加された電動モーター、400Vリチウムイオンバッテリからなる「T-Hybrid」のシステムに加え、新開発されたシングルターボとなったこと、車両重量が前期モデルと比較してわずか50kg増にとどまっていることも興味深いところです。

 しかも、加速効率が約50%も高められていて、2.5秒で到達する距離は前期モデルが14.5mだったのに対して、GTS T-Hybridは21.5m! ドイツのニュルブルクリンクサーキットでのタイムは、8.7秒マイナスの7分16秒934をマーク! さて今日はその怒涛の加速を体感しちゃうぞ〜。

 と、意気込んで行ったものの……、なんで雨なの〜〜。小雨じゃなくて、ザーザー降り(笑)。なので、無理せず安全運転で楽しんでまいりました。PECにはいろんなドライビング育成モジュールがあるんですが、インストラクターが運転席でまずお手本を見せてくれて、そのあとに自分が運転席へ座るという試乗スタイルなので安心です。最初はスラロームが試せるモジュールへ行き、腕鳴らし。スタート位置から、スラロームのパイロンまでの短い直線で全開にしようと思いましたが、一瞬のラグもなくズバッと伸びていくのでハーフアクセルくらいでアッという間に到達していてビックリ。しかもパイロンぎりぎりを攻めていく身のこなしはヒラリヒラリと軽快で、重量物を積んでもなおここまでバランスの良さを見せてくれることに感心したのでした。

コースが川のようなヘビーウェットなのがよくわかる写真ですよね〜。でも、そんな状態でもまったく不安なく走りが楽しめるってすごい!

 続いてはハンドリングモジュールへ。ここは、有名なアメリカのサーキット「ラグナ・セカ」にある「コークスクリュー」や、ニュルブルクリンクの「カルーセル」を模したセクションがあって、かなりテクニカルな面白さが評判となっています。この時にはもう、すっかり路面は“川”状態だったため慎重に走りましたが、やっぱりだんだんと攻めたくなってきちゃうくらい、もっとイケそうな高揚感をくれるところが911。コーナリングでの立ち上がりのスムーズさや、減速時の姿勢の安定感などにハイブリッドらしさを感じました。

メインとなるハンドリングモジュールには、ニュルブルクリンクサーキットで有名なカルーセルを模したセクションがあります。ちょっとドキドキですが、駆け抜ける爽快感は病みつきになりそう

 あとはドリフトをしたり、まるで氷の上を走って(滑って?)いるようなローフリクションハンドリングトラックを試したり。いちばん難しかったのは、キックプレートというモジュールで、40km/h程度でエリア内に進入していくと、路面に埋め込まれたキックプレートが右か左、どちらかにランダムで車両を動かすんです。一瞬の判断で素早く車両を安定させる操作をすればスピンせずに抜けられるのですが、いや〜これが1回目はぜんぜん反応できず、くるりとスピン。2回目はもう少しで持ち直せたのですが、再びスピン。悔しくて、泣きの3回目をやらせてもらって、ようやくちゃんと反応して立て直すことができました。これ、お客さんの中にもハマって何度も何度も練習する人が多いのだとか。でも練習しておくと、一般道でも万が一の際に命を守ることができるかもしれないですよね。

路面から水が出ていてタイヤに負担をかけずに練習することができる、ドリフトモジュール。この日は雨だったのでさらにジャバジャバで、フィギュアスケートのようにくるくるして楽しみました

 そんなわけでPECで試乗した911 GTS T-Hybridは、ハイブリッドになってますます走る楽しさの幅が広がった印象を受けました。やっぱり、乗ると欲しくなっちゃうのがポルシェ。以前の愛車だった968もすごくいいクルマだったので、いつかまた乗りたいなぁとウィッシュリストに入れたいと思います。

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラス、スズキ・ジムニーなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSD。