まるも亜希子の「寄り道日和」
2025年のメデ耐に「チーム・ピンクパンサー」として参戦しました
2025年10月16日 00:00
長いこと筑波サーキットで開催され、第36回を迎えたマツダのメディア対抗ロードスター耐久レースが、なんと今年から富士スピードウェイへお引っ越し! 土日で2万人もの来場者があるという人気イベント「マツダファンフェスタ」の1つのコンテンツとして開催されることになり、従来の4時間から1時間減って3時間・無給油での耐久レースとなりました。
参加メディアは2チーム増えて22チーム。もちろん「チーム Car Watch」も参戦していますが、私は、女性だけで参戦している唯一のチーム「チーム・ピンクパンサー」の監督を務めて3年目。1年目は何が何だかわからないうちに終わり、2年目もセーフティカー導入や給油のタイミングを逃し、レース状況がつかみきれていないせいでミスをしてしまうなど反省点が山盛りで、今年こそは! と例年よりも入念に準備をして臨むはず……でした。
ところが、メディア対抗ロードスター耐久レースでは初めての挑戦となる富士スピードウェイは、無情にも雨。カーボンニュートラル燃料満タンからの無給油レースとなるため、燃費管理がかなり重要な鍵を握っているというのに、予測がしにくい状況となってしまったのです。ただ、あちこちのチーム関係者にメンバーが探りを入れてくれましたが(笑)、結局のところ誰も正解がわからない大ギャンブルになりそうだということがわかったので、これはもう、出たとこ勝負で行こうと、覚悟を決めて臨んだのでした。
そうそう、チーム・ピンクパンサーのドライバーは今年、レギュラーメンバーの竹岡圭選手がラリーに専念するため走るのはお休みとなり、藤島知子選手、いのまり選手、池田美穂選手、谷口いづみ選手と、新メンバーとして86/BRZワンメイクレースやKYOJOなどで活躍して出産・育児でレースをお休みしていた今橋彩佳選手が加わってくれました。富士を走るのは4年ぶりということでしたが、幼い娘さん2人も一緒にサーキット入りし、一気にチームの平均年齢が若返ってにぎやかに。ずっと昔、まだ私もドライバーとして走っていたころに、池田美穂選手の娘さん2人も一緒に来ていたことがありましたが、女性だけのチームだからこそ、ママになっても走ることをあきらめなくていいモータースポーツ業界を目指して、少しでも力になれたらと、あらためてみんなで確認し合う、いいきっかけにもなりました。
さて、金曜日の練習走行は1時間のみだったので、5人のドライバーが交代で正味2ラップずつしか走れず、しかもこの時の路面はドライ。なんとな〜くロードスターの操縦感覚を取り戻しながらも、みんな走り方の悩みは募るばかり(笑)。同じピットを使う兄弟チームでもある「カーアンドドライバー」の皆さんにも手ほどきを受けたりしながら、ひたすらイメトレです。そして監督は、今年わがチーム唯一のメカニックを務めてくれる関谷英一さんと一緒に、タイムと燃費の最適解をあーでもない、こーでもないと話し合い、本当に悩ましい1日でした。
そして土曜日の朝8時、まずは予選。ここ何年もずっと、予選アタッカーはKYOJOに参戦中の藤島知子選手に託しています。ウェットでかなり難しいコンディションとなってしまいましたが、序盤は11番手をキープ! ただ後半になるほど路面が乾いてきて、タイヤの空気圧を変えるためにピットインするチームがちらほら現れ、ケテルのマイクを通じて私たちもピットインを検討しましたが、時間切れを恐れてそのまま行こうと決断。しかしラスト1アタックで5チームに抜かれてしまい、16番手で終了。く〜、悔しい! まだまだ監督としてダメダメだなと凹みました。ただ、わが家としては「ティーポ/デイトナ」チームで参戦している夫の橋本洋平が、ついに念願の予選ポールポジションを獲得! これは嬉しかったですね。
それから少しゆるやかな時間が流れ、いよいよ15時から決勝レースです。グリッドについてみると、私たちの後方にまだ6チームもいるなんて、ちょっと信じられない光景。これを守りきれるかという、新たなプレッシャーが生まれたりもしたのですが、今回私たちは、スタートドライバーを初めて池田美穂選手に託しました。富士を走るのはいつぶり?とのことで、いつになく本人は緊張気味でしたが、かつてS耐でブイブイ言わせた谷口姉妹のお姉さんですからね。そこはまったく心配なし。でもローリングスタート開始のころには、どんどん雨が強くなって、のっけからライトオン、水しぶきがあがるほどのウェットコンディションでのスタートとなってしまいました。
いや〜、ここからがもう、必死すぎてあんまり記憶がないんです。ドライバーとはケテルを通じて毎周の距離と燃費を報告してもらいつつ、時には励ましたりお尻を叩いたりするわけなんですが、とにかく雨でズリズリすべるわ、霧が出て見えないコーナーが出てくるわで、今年ほどドライバーが苦労しながら走ったことはなかったのではと思います。事前に伝えていた目標燃費とタイムがあったものの、なかなかそこにハマらないというのも不安だったと思うんですよね。当初、雨だし暗いし荒れたレースになりそうだから、一度や二度のセーフティカー導入があるのではと予想していたのですが、それがなかったのは意外。美穂選手から、いのまり選手、谷口いづみ選手、今橋彩佳選手とつなぎ、一時は11番手まで順位を上げつつ残り40分ほどで15番手。さぁここから最終ドライバーの藤島知子選手にガンガン攻めてもらうぞ、と送り出したのですが……。なんと、ケテルが通信できなくなってしまうというトラブル発生。トモちゃんは走り出して数周で給油ランプが点灯してしまい、真っ暗な中、ピットとも連絡が取れずガス欠の恐怖におびえながらエコランで確実にチェッカーを受けようと頑張ってくれました。おかげで、無事に18位完走。チーム結成以来、一度もガス欠をしたことがないわがチームなので、今年もしっかり守り切ることができたのはほっとしたところです。
でも。やっぱり監督としてはもっとできることがあったのではと、反省点ばかりが浮かびます。楽しかったし、すごく充足感でいっぱいだったけど、まだまだピンクパンサーはこんなモンじゃないぞ、というところを来年こそは見せたい! 今からそんな気持ちなんです。やっぱり一筋縄ではいかないメデ耐は、面白いですね。とりあえず今夜はもう、呑みます!(笑)




