【2012ジュネーブショー】 欧州での販売が好調な日産は、次世代Bセグメントの「インビテーション」を公開 インフィニティはミッドシップのスポーツEV「エマージ」を展示 |
2011年は、国内での東日本大震災やタイでの洪水被害により、国内の各メーカーは販売不振に陥ってしまった。だが日産自動車は、世界各国で販売台数のセールス記録を生み出し、欧州でも2010年度に対して25%の成長を記録、販売台数も約14万台上乗せの69万5702台だったと言う。これにより、欧州でのシェアは3.7%に拡大し、日産が掲げている中期経営計画「日産パワー88」の実現に向けて、力強くまい進しているようだ。
欧州での販売台数は、フランス、ドイツ、イタリア、イギリスなどの主要国などで2桁の成長を記録している中、とくに成長したのがロシアで、前年比75%アップを記録した。日産、ルノー連合はロシアの自動車メーカー「アフトワズ」をアライアンス内に取り入れる準備をしており、現地生産を含めて販売数、生産力の増強を図っている。欧州での当面の目標としては、2016年までに欧州に進出している国産メーカーで販売台数トップを実現するべく、各セグメントの車両を戦略的に投入していくとのことだった。
2011年は販売面、収益面でも記録ずくめだった日産が、ジュネーブモーターショーで世界初公開モデルは次世代Bセグメントの「インビテーション」と、次世代SUVの「ハイクロスコンセプト」の2台。
新型Bセグメントコンセプトカー「インビテーション」 |
インビテーションは、2013年に欧州で発売予定のBセグメントカーをベースとしたコンセプトモデル。ボディーサイズは4150×1740×1470mm(全長×全幅×全高)で、プラットフォームはマーチなどで使用する軽量なVプラットフォームを使う。エアロダイナミックスに優れたボディーデザインと高効率なエンジンを組み合わせることで、クラストップレベルのCO2排出量100g/km以下を実現するとしている。
サスペンション形状は、フロントがストラット、リアがトーションビーム。前後ともにサブフレームを装備し、室内空間の拡大とともに振動、騒音の抑制にも注力する。また、高い安全性も特徴の1つで、Bセグメントでは初となるアラウンドビューモニターを搭載。縦列駐車や車庫入れなどでのドライバーへの負担を軽減する。
次世代SUV「ハイクロスコンセプト」 |
一方のハイクロスコンセプトは、ムラーノやデュアリスといったSUVのラインアップを拡大するために提案するコンセプトモデル。4660×1850×1670mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2780mmで、3列7人乗りを実現している。
搭載するエンジンは、直噴ガソリンの2.0リッターエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドタイプ。高効率のリチウムイオンバッテリーと1モーター/2クラッチのパラレルハイブリッドタイプを採用しているため、走行中でもエンジンが停止しモーターのみでの走行も可能としている。同様のユニットがFR用として「フーガ ハイブリッド」に搭載されているが、FF用の先鞭となるのがこのユニットになる。
欧州初公開となった「NV200コンセプト」。ファミリー、ビジネスともに使いこなせるマルチモデルで、リーフと共通のドライブトレーンを搭載している |
「リーフ ニスモRC」も展示された | 次世代のBセグメントに搭載予定の直噴1.2リッターガソリンエンジン。スーパーチャージャー化により1.5リッター以上のパワーを得ていると言う |
■インフィニティ
日産のラグジュアリーブランドである「インフィニティ」から発表されたのは、同ブランド初のミッドシップのスポーツEV(電気自動車)「EMERG-E(エマージ)」。
極限まで抑えられた車高と流れるようなフィルムは、インフィニティが提唱するブランドプロミス「Inspired Performance」を具現化したもの。レンジエクステンダーとなる3気筒ガソリンエンジンはリアミッドに搭載され、動力となるツインモーターの最高出力は402bhp(300kW)。0-60マイルの加速はわずか4秒で、0-130マイルの加速も30秒を記録する。30マイル程度ならばEVモードで走ることができ、エンジンとモーターの連動したCO2排出量は55g/kmとかなり抑えられている。
エマージはレンジエクステンダーEVの動力を採用するなど、次世代のスポーツモデルとして今後注目の存在になるだろう。
同ブランド初のミッドシップのスポーツカーEV「エマージ」 |
http://car.watch.impress.co.jp/backno/event_repo/index_c270s1407.html
(真鍋裕行)
2012年 3月 12日