東京モーターショー2015
自動運転用LIDARや変形コクピットなどが展示される「SMART MOBILITY CITY 2015」
自動運転や高度運転支援システムなど“クルマの未来が分かる”
(2015/10/29 17:53)
- 2015年10月30日~11月8日一般公開
- 会場:東京ビッグサイト 西ホール3階
10月28日より開幕した東京モーターショー2015では、主催者による併設イベント「SMART MOBILITY CITY 2015」が、東京ビックサイトの西ホール3階において行われている。
SMART MOBILITY CITYは今回で3回目の開催となる取り組みで、「明日の都市交通」をテーマに、自動運転や高度運転支援システムなどをテーマにした各種の展示が行われている。
ダンロップ(住友ゴム工業)の後援で行われている同イベントには、トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車といった自動車メーカーやパイオニアなどの車載機メーカー、インフラを提供する公共団体などが参加しており、様々なソリューションを展示している。
パイオニア、一般車両への搭載をイメージした小型の車載用LIDARを展示
パイオニアは、同社の主力製品となるカーナビゲーションシステムを展示しているほか、いくつかの興味深い参考出展を行っている。
パイオニアが出展したのは、一般車両への搭載をイメージした車載用LIDAR(Light Detection and Ranging)。LIDARはレーザーに類似した手法が用いられており、光を照射してその発光から跳ね返ってくるまでの時間を計測することで、物体までの距離を計測することができる。
今回のパイオニアが展示したモックアップは、赤外線を利用した方式で、車両の四隅に取り付けることで、車両全方向の状況をリアルタイムに取得することができるようになる。こうしたLIDARは地質工学など専門用途に使われることがほとんどで、センサー自体の価格も業務用で数百万円という価格になってしまうとのことだが、パイオニアが開発をしている方式では最終的には1つのユニットが1万円程度、量産が進めば数千円程度まで下がるような低価格のセンサーを目指して開発を進めているという。
自動運転を実現するには、人間の眼に相当する各種のセンサーをクルマに装着することが求められる。それらは現時点ではレーダーやカメラなのだが、例えばカメラなどの場合には光が少ないところでは、認識率が低下するなどの課題がある。このため、複数のセンサーを搭載することが求められており、パイオニアの車載LIDARもそうしたセンサーの1つとして自動車向けの搭載を狙っていくという。LIDARは暗いところでも有効なことで、雨や雪などには弱いという特徴を持っているが、その弱点を同社の信号処理技術を利用してカバーして、実用化につなげたいと展示員は説明した。2016年に地図整備車両などの業務用のセンサーを導入し、2018年に一般車両向けを出荷し、ティア1の部品メーカーなどへの売り込みを図っていきたいということだった。
また、パイオニアはそうしたLIDARをハードウェアとして販売するだけでなく、LIDARから得られた。様々なデータをクラウドサーバーでビッグデータとして共有し、高度なナビゲーションの情報をユーザー車両に取り組んでいたいとも説明しており、将来的には現在同社がカーナビ向けに提供しているスマートループのような形で、そうしたLIDARから得た情報をカーナビにフィードバックすることで自動運転に役立てたりということにもつなげていきたいと説明している。
この他、OLED(有機LED)を利用したハイマウントストップランプ、レーザースキャンプロジェクターによるヘッドアップディスプレイのデモなどを行って注目を集めていた。
ETC 2.0に対応したカーナビレスの車載端末や2輪車用端末が展示
道路交通情報通信システムセンターは、同財団が提供する交通情報システムVICSに関する展示を行っている。VICSは2015年4月23日から新しいサービスとなるVICS WIDEを開始しており、それに関する製品などの展示が行われている。
また、ITS Japanは、国土交通省が2016年度から順次導入する予定のETC 2.0に対応した車載端末を展示した。
ETC 2.0は、高速道路上に設置されている道路側の機器と通信を行い、渋滞回避や安全運転支援などの情報を提供するサービス。これに伴って、高速道路にも新しい料金体系が導入される予定で、同一の発着地であれば同じ料金にするという料金体系が導入される。
例えば、現在東北自動車道から東名高速道路に抜ける場合、渋滞していない圏央道(首都圏中央連絡自動車道)を使うよりも、渋滞している都心環状線を使った方が安価になるといった矛盾を解消することができるようになると見込まれている。このETC 2.0の車載端末に関しては既に市場で販売されている製品が展示されたほか、日本無線の2輪車用ETC 2.0車載端末、デンソーが開発中のカーナビなしでもETC 2.0の機能を利用できるGPS内蔵の車載端末が参考展示された。
エフエム東京は、地上アナログ放送の停波に伴い空いたVHF-Low(99MHz~108MHz)帯を利用して行われる通信と放送の融合メディアとなる"i-dio"(アイディオ)の、自動車ドライバー向けサービスとなる「Amanek」のデモを行っていた。
i-dioは、放送波に同時にデータを載せることができる仕組みで、音声放送だけでなく動画やデータ放送なども実現できる。Amanekはその自動車ドライバー向けサービスで、ドライバーの走行位置に合わせてドライブ情報を提供したり、スマートフォンのアプリと連動して気になった情報をスマートフォンに転送してドライブ後にゆっくり確認したりすることが可能だという。Amanekを利用するには、端末(スマートフォン、タブレット、カーナビなど)にフルセグのデジタル放送チューナーと対応のソフトウェアが必要で、同社としては今後端末メーカーに働きかけて対応端末を増やしていきたいとのことだった。
ホンダ、カートリッジ型のモバイルバッテリーが利用できる電気自動車を展示
本田技研工業はSMART MOBILITY CITY 2015の自社ブースにおいて来年発売する予定の燃料電池車「クラリティ フューエルセル」と、カートリッジ式のモバイルバッテリーでバッテリー駆動が可能な「Honda MBEV(Mobile Battery EV)Concept」を展示した。
Honda MBEV Conceptは、リアに着脱可能なカートリッジ式のモバイルバッテリーをエネルギーとして動作するEV(電気自動車)で、定員は2人の小型EVとなる。バッテリーは、後部のハッチを開けて挿入することができ、航行距離などに応じて1つにしたり、2つにしたりという形で使うことが想定されている。また、カートリッジ式のバッテリーは、充電ステーションが別途用意されており、家庭内で充電したり、あるいは充電ステーションを建物に組み込んで充電したり、停電時にはそれをバッテリーとして活用したりという使い方が考えられているということだった。
日産、"Nissan IDS Concept"の変形するコクピットを展示
日産自動車は、同社が西ホール1Fの同社ブースでデモしている自動運転のコンセプトカー"Nissan IDS Concept"のコクピットのプレゼンテーションを行っていた。ドライバーが運転する"マニュアルドライブモード"から自動車が自動運転する"パイロットドライブモード"へと切り替わる仕組みになっており、実際に切り替わる様子などが公開された。