東京モーターショー2015
住友ゴム工業、耐摩耗性200%の「耐摩耗マックストレッドゴム」搭載タイヤを発表
ブースは「ダンロップ」「ファルケン」のダブルブランド展開
(2015/10/30 15:37)
- 2015年10月30日~11月8日一般公開
ダンロップ、ファルケンの2ブランドでブースを構成していたのは住友ゴム工業。これまで同社は、東京オートサロンにおいてファルケンタイヤを訴求することはあったものの、東京モーターショーにおいてはダンロップブランドの訴求のみとしていた。
プレスカンファレンスにおける発表は、ダンロップタイヤの基幹技術となっている新材料開発技術「4D NANO DESIGN(フォーディー ナノ デザイン)」の次世代版「ADVANCED 4D NANO DESIGN(アドバンスド フォーディー ナノ デザイン)」について。住友ゴム工業 代表取締役社長 池田育嗣氏がプレゼンテーションを行った。
池田社長は同社が掲げるビジョン「VISION 2020」を示し、「新市場への挑戦」「飽くなき技術の革新」「新分野の創出」の3つの挑戦を解説。世の中のニーズに応えるために住友ゴムは課題を技術で超えていくという。
その技術の核となるのが「ADVANCED 4D NANO DESIGN」。2011年の東京モーターショーで発表された4D NANO DESIGNは、大型放射光施設「SPring-8」や、スーパーコンピューター「地球シュミレーター」を用いるなどして、ナノレベル(10億分の1)で分子の動きなどを解析・シュミレーションすることを実現。「エナセーブ PREMIUM(プレミアム)」やスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX(ウインターマックス)」など、従来の製品から大幅に性能向上した製品の登場につながった。
ADVANCED 4D NANO DESIGNでは、大型放射光施設「SPring-8」、大強度陽子加速器施設「J-PARC」、スーパーコンピュータ「京」を連携活用。これにより、ナノレベルからミクロンレベルまで“連続的に”ゴムの内部構造を解析している。これにより、ゴムの内部構造と分子の運動を鮮明に観察できるようになったほか、「地球シミュレーター」よりも計算力の高い「京」を使うことでシミュレーション領域を広域化。広い範囲を見ることができるようになった。
その結果、「シリカネットワーク運動」「架橋構造」「シリカ界面ポリマー運動」など様々なスケールで発生している“ストレス”が、タイヤの3大性能という「低燃費性能」「グリップ性能」「耐摩耗性能(破壊)」と密接に関係していることを発見。このストレスを制御する「ストレスコントロールテクノロジー」を確立できたという。
その結果できたのが、2011年当時の製品と比べて耐摩耗性能200%を実現したコンセプトタイヤが「耐摩耗マックストレッドゴム搭載タイヤ」で、東京モーターショーの場で世界初公開した。今後のこのタイヤに使われたストレスコントロールテクノロジーを活用し、低燃費性能、グリップ性能、耐摩耗性能に優れたタイヤを開発していくことになる。
そのほか、エアレスタイヤ「GYROBLADE(ジャイロブレイド)」、タイヤトレッド部のシール技術「CORESEAL」についても解説。ランフラットタイヤ製造技術「NEO-T01」については、さらなる軽量化と高性能化を実現していくとした。