東京モーターショー2015

自動運転にも注力するパイオニアなど、カーAVメーカーリポート

アルパイン、クラリオン、富士通テン、ナビタイム、ソニックデザインなども出展

2015年10月30日~11月8日一般公開

 10月28日から開幕した「第44回東京モーターショー2015」。国内外の自動車メーカーに注目が集まりがちだが、部品や関連パーツを扱うメーカーも数多く出展している。ここでは、その中からカーAV関係のメーカーを紹介していく。

パイオニア(西4ホール SMC22/西3ホール W3401)

カロッツェリア(パイオニア)は西館4階に2つのブースを構える
パイオニア 取締役兼常務執行役員 カーエレクトロニクス事業担当 仲野隆茂氏

 カーAV系のメーカーで唯一、報道陣向けにカンファレンスを行ったのがパイオニア。今回、同社は西館4階の西3ホールと西4ホールの2個所にブースを構えており、前者はカーナビやカーオーディオといったカーAV関連、後者は「SMART MOBILITY CITY 2015」の一角に設けられており「自動運転、高度運転支援に向けた取り組み」を紹介するものとなる。

 開幕2日目の10月29日に実施したプレスカンファレンスには、パイオニア 取締役兼常務執行役員 カーエレクトロニクス事業担当 仲野隆茂氏が登壇。まず、同社は今期から8割近くをカーエレクトロニクス事業が占め、市販ではカロッツェリアブランドでナンバーワンのシェアを維持し、カーメーカー向けOEM事業も拡大していると現状を説明。そして今後は「5~10年後を見据えた成長戦略の具現化に経営資源を集中していく」とした。

 そうした中で今後の大きな柱となるのが「自動運転、高度運転支援への取り組み」であり、「これまで培ってきた技術を生かし、なくてはならない会社を目指していきたい」と語った。自動運転に関する技術要素は、クルマの周辺状況をいつも正確に把握する「車外環境センシング技術」、自車位置を正確にマッピングし続ける「自車位置推定技術」の2つが重要になる。パイオニアは「30年間培ってきたレーザーディスクから始まり、DVD、ブルーレイディスクプレイヤーを開発、生産してきた技術」と、「1990年にGPSナビゲーションを世界初市販して以来、進化してきたナビ技術」を活用し、自動運転の実現に向けて技術を磨いていくとの目標を示した。

 仲野氏は「自動走行用センサーの本命はカメラとライダーの組み合わせ」であると読み、同社の技術を生かして開発中なのが「3D-LiDAR」。これは赤外線レーザーを使ったセンサーで、対象物までの距離や形状、性質まで的確に把握できるのがメリット。その半面、数百万円と言われる価格と大きさがネック。「多くの一般車両に装着していただくためには1万円を切るのがポイント」となるため、機械技術のノウハウとパートナーとの連携により「小型化と低価格化を目指し、いち早い実現に向けて邁進していく」とした。

 もう1つ、自動走行に必要不可欠となるのが高精度な地図。実測や図面を元にデータを作り上げる従来の方法では、「高精度であればあるほど、地図整備とメンテナンスに莫大なコストが必要となってくる」という。そこで、3D-LiDARをセンサーとして使うだけでなく、そこから得たデータをクラウド上のサーバーに吸い上げて分析、編集することで、低コストで地図を書き換えていく「データエコシステム」を提案。標準化に向けた働きかけを行っていくという。

 ただ、こうしたデータを活用するためにはデータの正確性が重要になる。そこで生きてくるのが同社の自車位置推定技術というわけだ。サイバーナビでは40cm程度まで誤差を詰めてきており、3D-LiDARとベースとなる地図を使うことにより、「極限まで正確な自車位置をマッピングし続ける技術開発に取り組んでいる」と説明。これらの技術により「自動運転になくてはならない会社を目指す」と締めくくった。

プレスカンファレンスでは事業説明と自動運転に向けた取り組みを紹介
パイオニアならではの光技術とナビ技術により自動運転の実現をサポート
新しいHMIデバイスを体験できるモックを展示する
光技術とナビ技術がパイオニアの強み
車外環境センシング技術と自車位置推定技術が自動運転には必要
赤外線レーザーを使った3次元距離センサー「3D-LiDAR」を開発中
2018年以降に導入予定の一般車両向けは手のひらに乗るサイズを目指す
自動走行には高度化地図も必要
サイバーナビでも分かるように、自車位置推定技術は同社の十八番だ
3D-LiDARで得たデータを地図データとして活用する「データエコシステム」を提案
ブース内にあるモックではレーザーを使ったHUDをはじめ、触覚、嗅覚、聴覚など五感をフルに活用したHMIを体験できる
運転席からの眺め
タッチパッド型のインターフェイス「アクティブFeely」は画面のメニューに対応する突起がパッド上に浮き上がる
ルート案内中に推奨レーン以外を走行するとレーン移動を促す。高い自車位置精度あってこその機能
V2Xにより歩行者の存在を警告
予定時刻より早く目的地に到着すると、行動推測から立ち寄りポイントを紹介
カーAVを展示する西3ホールのブース
サイバーナビの新機能「Music Cruise Channel」をアピール
楽ナビの新型をいち早く展示している
スマートフォンと接続して楽しめるディスプレイオーディオの新モデル「FH-9200DVD」
サイバーナビの体験コーナー

アルパイン(東2ホール E2104)

東2ホールのアルパインブース

 カーナビ画面の大型化に「BIG X」で先鞭を付けたアルパイン。今回のブースではそれをさらに進め、車種ごとに最適な車室内空間を作り上げる「ALPINE STYLE プレミアムスペースデザイン」を提案。世界初となる10型WXGAパネルを使ったアルファード/ヴェルファイア用「BIG X プレミアム」などの実機が展示され、自由に操作可能となっている。

BIG Xシリーズの体験コーナーを用意
10型WXGAモニターを採用するアルファード/ヴェルファイア用「BIG X プレミアム」
モニター下のボタンは専用にデザインされたもの
本田技研工業「オデッセイ」用。解像度は同じWXGAだがモニターサイズは9型になる
日産自動車「セレナ」用。こちらは8型

クラリオン(東4ホール E4202)

クラリオンブースは東4ホール

 クラリオンはこの夏に販売を開始したスーパーワイドナビ「MAX775W」を中心に、現行カーナビゲーションを展示。

 MAX775Wは200mmのワイド2DINサイズにジャストフィットするモデルで、一般的なカーナビ画面が7型ワイドVGA(800×480ピクセル)なのに対し、7.7型ウルトラワイドVGA(1024×480ピクセル)を搭載し、より広い範囲が見通せるようになっている。そのほか、2016年の発売を予定している「車載用フルデジタルサウンドシステム」も要チェックだ。

スーパーワイドナビ「MAX775W」をはじめとする現行カーナビの体験スペース
車載用フルデジタルサウンドシステムは2016年発売予定

富士通テン(東2ホール E2105)

東2ホールの富士通テンブース

 ブースは「ICTで車は人のベストパートナーに。」をテーマとしたもの。

 注目したいのはステージ横にある体感コックピットだ。視線認識技術やHMI(Human Machine Interface)技術を搭載し、ドライバーの状態判断や天候を予測してのルート探索など、近い将来に実現するであろうカーナビの姿を体験できる。製品化を見据えた技術や現行カーナビの展示も行われている。

体感コックピット
インパネにモニターが並ぶ
ワイパー作動などの情報をクラウドに集めることで降雨情報を集約。ルート上の冠水危険地点を回避するルートを自動的に探索
バック時に歩行者を検知。シートバック左右のスピーカーを利用することで左右どちらから近付いているかなどを聴覚にも訴える
既存のバックカメラにアドオン可能なカメラセンサーシステム(開発中)
人などを感知して危険をアピール。システム全部を入れ替える必要がないためリーズナブルに装着できるのが魅力

ナビタイム(西4ホール)

西4ホールのナビタイムブース

 スマホアプリでお馴染みの同社は、さまざまなスマホを用意し、「NAVITIME」「NAVITIMEドライブサポーター」「カーナビタイム」などのアプリを体験することができる。また、自動運転車が普及した未来を想定し、声だけでクルマを操作するクルマ移動を疑似体験できるデモコーナーも用意。

声による移動体験ができるモック
iPadに話しかけると行先を自動設定
カーナビに特化したドライブサポーター。通信によりさまざまな情報を取得できるのが魅力。こちらは降雨情報

ソニックデザイン(東2ホール E2106)

東2ホールのソニックデザインブース

 高級カーオーディオの専門メーカー。ブース前にはメルセデス・ベンツなどの6メーカーに対応する車種別スピーカーパッケージ「SonicPLUS」、スバル(富士重工業)の純正アクセサリーに採用されているWRX/レヴォーグ用「Sonic Designスピーカー」などを展示する。

メルセデス・ベンツ Sクラス専用「ソニックプラス ザ クレスト」。本格的なマルチスピーカーシステムがカプラーオンで装着可能
スバル「レガシィ」などオーバルスピーカ車用エンクロージャー一体型モデル(参考出品)
トヨタ86(ZN6)の8スピーカー車用ハイグレードモデル「SonicPLUS86」(参考出品)
商談スペースにはソニックプラス ザ クレストを装着したS 550 プラグインハイブリッド。ただし、一般の視聴は不可

安田 剛