2016 ニューヨークショー

ビッグマイナーした「86」や新PHV「プリウス プライム」で盛り上がるトヨタブース

内外装からエンジン、サスペンションまで見直された新型86。MT車は5PS向上

2016年3月23日 発表

ワールドプレミアされたプリウス プライム(日本名:プリウスPHV)

 トヨタ自動車は、ニューヨーク国際自動車ショーのプレスカンファレンスにおいて、新型「プリウス」の派生PHVモデル「プリウス プライム」と、発売4年目で初のビッグマイナーチェンジを行なった「86」、そしてこちらもマイナーチェンジを施した新型「ハイランダー」を初公開した。

 米国ではプリウス プライムと名付けられたPHVの新型モデルは、2015年12月に発売が始まった4代目プリウスをベースにプラグインハイブリッド化を行なったモデル。

 外観ではリアまわりを中心に専用のデザインが施されていて、LED化されたヘッドライト、トヨタでは初となるリアゲートの素材にCFRPを採用するなどプラグイン専用の仕立てを実施。インテリアも専用の装飾が与えられる。センターコンソールには11.6インチの大型ディスプレイを備えたナビゲーションシステムを設置。ナビゲーション機能だけでなくさまざまな機能を調整することが可能で、快適装備も取り入れている。

カンファレンスでスピーチを行なった米国トヨタ自動車販売のビル・フェイ副社長

 パワートレーンについては、先代プリウス PHVでは電気のみで走行できる航続可能距離は26.4kmだったが、プリウス プライムは電池容量を増やすことで60km以上の走行が可能になった。モーターにもトピックがあり、先代では充電用に使用していたモーターを、駆動用としても活用する「デュアルモータードライブシステム」を採用することで、力強い加速感と効率性をアップさせた。

 プリウス プライムは、専用のスタイリッシュな外観や機能性に富んだインテリア、航続可能距離が伸びたパワートレーンと、数々の魅力を備えたPHVといえる。

プリウス プライムのボディサイズは4645×1760×1470mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2700mm。
ヘッドライトは新デザインを採用。LED化されているのがポイントになる
PLUGIN HYBRIDやPRIUS PRIMEのロゴが入る
給電口は車両の右側に付く
195/65 R15サイズのタイヤ
センターコンソールには11.6インチの大型ディスプレイが備わる。ナビゲーションを始め多くのファンクションをセット
ラゲッジルームはバッテリーの影響を受け上げ底になっている
エンジンは直列4気筒DOHC 1.8リッターで、米国仕様では最高出力72kW(98PS)/5200rpm、最大トルク142Nm(14.5kgm)/3600rpmを発生。これに駆動と発電兼用のモーターを組み合わせる

内外装からエンジン、サスペンションまで見直された新型86

 一方の86は、発売から4年目で初のビッグマイナーチェンジが実施された。北米では「サイオン FR-S」の名前で親しまれていたが、2月にサイオンブランドを廃止すると発表。そのため、今後は北米でも86の名前を使って販売されることになり、86はグローバルで使用されるネーミングとなった。

 今回のマイナーチェンジでの変更点は、フロントバンパーの形状、ヘッドライト、リアテールランプのデザイン、内装、エンジン、サスペンションとほぼひと通りのパーツが見直されている。

 まず外観だが、フロントバンパーはただの意匠変更というよりも空力特性を向上させるためのリファインで、これによりフロントのダウンフォースが向上しているそうだ。ヘッドライトはウインカーを内蔵するタイプに変更。初期型ではバンパーにウインカーが装備されていて、車高を下げていくとウインカーの位置が低くなってしまうため車検に合致しなかった。しかし、今回のマイナーチェンジでウインカーがヘッドライト内蔵されたので、車高の問題はなくなった。

 続いて内装だが、ソフトパッドを使った質感の高いものになっていて、高級感が増している。ステアリングも変更され、スイッチ類が装備されるようになった。

 エンジン出力はMTモデルのみ5PS向上。ATモデルに変更はないが、レスポンスやトルク感などは見直されているという。ボンネットを開けてエンジンルームを覗くと、吸気まわりが変更されていることが分かった。

 もっとも進化したのは乗り心地やハンドリングだそうで、2015年に年次改良を受けて剛性が引き上げられたボディに合わせ、サスペンションのセッティングを改良している。減衰力やスプリングレートは当然見直されているが、スプリングの巻き方まで再検討したそうだ。

初公開された86のマイナーチェンジモデル
外装ではフロントバンパーの意匠やヘッドライト、テールレンズのデザインが変更されている
エンジン出力はMTモデルのみ5psアップ。ATモデルはグローバルの排ガス規制などを考慮して200psのままに留められた
フラットな面構成は同様だが、スポークのデザインが変更された
インテリアはソフトパットを使用して質感向上を図った。ステアリングのデザインも一新され、スポーク部には操作系のボタンが配された
マイナーチェンジを受けたミドルサイズSUVのハイランダー。フロントバンパーとグリル、ヘッドライトなどの意匠変更を行なっていて、パワートレーンも刷新した。多段化した8速ATとV6 3.5リッターエンジンが組み合わせられている

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。