フランクフルトショー 2017

【フランクフルトショー 2017】アウディ、レベル5の自動運転を実現したコンセプトカー「Audi Aicon」初公開

レベル3の新型「A8」、レベル4のコンセプトカー「Elaine」もお目見え

2017年9月12日(現地時間)発表

「Audi Aicon」を囲んで記念撮影するアウディの幹部

 独アウディAG(以下、アウディ)は、ドイツ フランクフルト市で開催されている2017年フランクフルトモーターショー(プレスデー:9月12日~13日、一般公開日:9月16日~24日)の初日にあたる9月12日(現地時間)、同社ブースで記者会見を開催し、レベル5の自動運転を実現したコンセプトカー「Audi Aicon(アウディ アイコン)」を公開した。

 Aiconは4ドアクーペの形状をしており、ハンドルやペダル類などが一切なく、ドライバーレスになるレベル5の自動運転を実現していることが大きな特徴になる。アウディによれば、バッテリーとモーターを利用したEV(電気自動車)でもあり、バッテリーだけで700~800kmの航続距離を実現しているという。

自動運転にフォーカスしたアウディの記者会見。レベル3のA8やレベル4のElaineがステージに

 今回のフランクフルトモーターショーでは多くのメーカーがEVにフォーカスした展示や発表などを行なっているが、そのなかでもアウディはEVの自動運転車というさらに先をいく発表や展示を行なっている。

AIを利用した自動運転を訴求するアウディらしく、ロボットが楽器を演奏するデモから開始。その横に幕が掛けられたクルマが……
AIを訴求するアウディ

 発表会で最初に紹介されたのは、7月にスペイン バルセロナで開催された「アウディ・サミット」で市販車としては世界で初めてレベル3の自動運転を実現した新型「A8」だ。

 レベル3の自動運転は、基本的には自動車のシステムがハンドル、アクセル、ブレーキなどを操作するが、システムからドライバーに対して操作を戻す要求があったときにはすぐに戻れる状態(つまりドライバーはシステムが運転している間も、運転席に座ってハンドルとペダルをいつでも操作できる状態)で待機していないといけない自動運転のことになる。

レベル3の自動運転を実現したA8

 それに対し、高速道路や駐車場など限定された場所において、ドライバーが待機している必要がなくなるのがレベル4の自動運転になる。レベル4の自動運転車では引き続き運転席は用意されており、モードによってはドライバーが運転することができるが、運転席で待機している必要はなく、完全にシステムがハンドル、アクセル、ブレーキを操作し、システムが運転を継続することが難しいと判断した場合には自動で停止する仕組み。

レベル4の自動運転を実現したコンセプトカーElaine
Elaineのフロント
Elaineの側面
Elaineのリア
運転席
ミラーの代わりにカメラの映像がドアに映る
AI(Artificial Intelligence)をもじったAudi Intelligence

 アウディは、3月に上海で行なわれた「The 17th Shanghai International Automobile Industry Exhibition」(オート上海2017)において、レベル4の自動運転を実現したコンセプトカーとしてElaineを公開しており、今回のフランクフルトモーターショーでも紹介。Elaineは、レベル4の自動運転を実現したEVで、320kWの出力を備えるモーター(0-100km/h加速は4.5秒)と約500kmの航続距離を実現するバッテリーから構成されている4ドアGTカーになる。

レベル5の自動運転に対応し航続距離700~800kmを実現したEV「Aicon」

Audi AG 取締役会長 ルパート・シュタートラー氏

 今回のカンファレンスの目玉は、Audi AG 取締役会長 ルパート・シュタートラー氏から紹介された、完全ドライバーレスの自動運転を実現した「Aicon」だ。アウディによれば、Aiconはハンドルやペダル、各種ボタンが完全にない自動運転を実現していると説明されており、いわゆるレベル5の自動運転(ドライバーが乗っている必要のない完全自動運転)を実現した車両となる。

Aiconのアンベール

 形状としては4ドアクーペになっており、前後の席に2名ずつ、計4名の乗員を想定している。全長5444mm、全幅2100mm、ホイールベース3470mmとなっており、いわゆる乗用車としては最上位のDセグメントに属する車両となる。アウディによればAiconもEVとなっており、モーターは260kWの出力を備え、搭載されている固定体バッテリーで航続距離は700~800kmを想定している。なお、800Vの電圧を利用することで、30分で80%までの充電が可能とのこと。

カンファレンスの様子

 今回は内部は公開されなかったが、シュタートラー氏のプレゼンテーションでは、豪華なシートや全席の周辺に置かれる操作用の液晶パネルなどが紹介されており、それらを利用して行き先などを設定して利用する、そういうイメージであるようだ。シートの位置も前後左右にかなり自由に動かせるようになっており、例えば前後には500mm、左右には最大15度回転するほか、ラゲッジスペースの容量は660Lとなっており、荷物もかなり詰め込むことができると説明している。

Aiconのエクステリア

笠原一輝