東京モーターショー2017
【東京モーターショー2017】深化した魂動デザインと次世代技術を導入したマツダ「魁 CONCEPT」詳報
「引き算の美学」で生命感や躍動感を生み出す今後のマツダのデザイン
2017年10月27日 08:45
- 2017年10月25日 開幕
- 2017年10月27日 プレビューデー
- 2017年10月28日～11月5日 一般公開日
マツダは第45回東京モーターショー2017で、次世代商品群を示唆する「魁 CONCEPT（カイ・コンセプト）」のワールドプレミアを行なった。
マツダは、2012年に販売を開始した先代の「CX-5」からデザインテーマ「魂動-Soul of Motion」と、シャシーからエンジンまでの総合的な最新技術となる「SKYACTIVテクノロジー」を投入した新世代商品群を発売してきた。革新的なデザインと環境性能に優れた技術はグローバルで高い評価を受けていて、その技術とデザインを進化させて登場するのが次世代の商品群になる。
魁 CONCEPTは、再来年にも発売が予定される次世代の商品群を示すコンパクトハッチバックモデルで、圧縮着火を制御するマツダ独自の「SPCCI（火花点火制御圧縮着火）」を使用する「SKYACTIV-X」や、次世代の車両構造技術となる「SKYACTIV-Vehicle Architecture（スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー）」を採用している。
ガソリンエンジンで世界初となる圧縮着火を制御した技術を取り入れているSKYACTIV-Xは、高回転まで伸びやかなガソリンエンジンの特性とトルクフルで燃費性能に優れたディーゼルエンジンの利点を併せ持ったエンジンになる。すでにプロトタイプも作られていて、現行のSKYACTIV-G 2.0よりも鋭い加速力を披露している。
シャシーとボディの新しい技術となるSKYACTIVビークルアーキテクチャーは、多方向の環状構造ボディを採用。ピラーまわりやサスペンションの取り付け部を中心に剛性を上げることによって、フロントから入った入力がリアへと伝わる応答遅れを30％短縮している。これによって車体への入力がコントロールされ、理想的な車両の動きを実現している。
今回の東京モーターショーで初公開となったエクステリアとインテリアのデザインについては、魂動を新たなステージに引き上げた挑戦的なデザイン処理を行なっている。魂動デザインは、“生命感をカタチにする”という考えが前提となっていて、これにはクルマを単なる鉄の塊ではなく、“クルマに命を与える”ことがテーマとなる。
先代のCX-5のほか、「アテンザ」「アクセラ」「CX-3」」などは、この生命感や躍動感を感じさせるためシンプルなキャラクターラインなどを使って表現してきた。だが、2015年に発売された新型「ロードスター」（ND型）あたりから、ラインなどは極力排除し、光によるリフレクション（陰影）を使って躍動感を表現している。今年の1月にフルモデルチェンジを行なったCX-5は、日本の美意識にあらためて着目し、魂動の表現をより高次元へと昇華させることに挑戦したという。それは、無駄を削ぎ落とすという日本の伝統的なモノづくりを継承しながら、研ぎ澄まされた美しさを追求することになるそうだ。
マツダのデザイナーは「引き算の美学」という言葉を使っているが、シンプルな造形を追求したなかにも、生命感や躍動感を生み出しているのが魁 CONCEPTであり、今後のマツダのデザインになる。
魁 CONCEPTのサイドビューを見ると、見事なまでにラインは排除されていて、リフレクションによってフロントからリアにつながる流れを表現している。ここまで綺麗なリフレクションを生み出すために、実はボディに絶妙な湾曲を与えていて、光を受けるところと放つところを分けている。また、コンパクトハッチというボディ形状に合わせて塊感もかもし出すよう考えられていて、とくにルーフからCピラーに掛けては、力強さを感じさせるデザイン処理となっている。
間近で見ると、リフレクションによって色々な顔を見ることができるので、ぜひモーターショーの会場で実車を確認してほしい。
真鍋裕行
1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。