東京モーターショー2017

【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表

2020年に量産開始。2020年代後半には自動運転等に対応する「Smart Tyre Concept」の完成へ

2017年10月25日 開幕

2017年10月27日 プレビューデー

2017年10月28日~11月5日 一般公開日

【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 住友ゴム工業が“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤを発表
住友ゴム工業が“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤを発表

 住友ゴム工業は、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開催されている「第45回東京モーターショー2017」で、将来の電動化、自動運転化にマッチする高性能スマートタイヤへのマイルストーンの1つとなる“性能の劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤを発表した。2万km走行後でもウェットグリップが変わらないというもので、2020年に量産を開始する。

2020年代後半に「Smart Tyre Concept」を完成させる

 同社代表取締役社長の池田育嗣氏は、今後到来する本格的な電動化、自動運転化を果たしたクリーンなモビリティ社会にふさわしいタイヤを生み出すべく「Smart Tyre Concept」という技術開発コンセプトに取り組んでいることを明らかにした。そのコンセプトを構成する要素のうち1つを満たすタイヤとして発表した性能持続技術採用コンセプトタイヤは、2万km走行後でも変わらないウェットグリップを発揮するとしている。

【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 住友ゴム工業株式会社 代表取締役社長 池田育嗣氏
住友ゴム工業株式会社 代表取締役社長 池田育嗣氏
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 “劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 “劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ
“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 トレッドパターンはエナセーブ NEXT IIと同じものとなっている
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 トレッドパターンはエナセーブ NEXT IIと同じものとなっている
トレッドパターンはエナセーブ NEXT IIと同じものとなっている

「Smart Tyre Concept」に含まれる主要要素は5つ。今回の性能持続技術採用コンセプトタイヤはそのうちの「性能持続技術」という要素にフォーカスしたもので、すでに発売済みのスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 02」で実現しているゴムの劣化抑制技術を発展させたもの。今後は「ゴムの内部構造変化を抑制し、経年劣化によって損なわれた機能を補う成分」の開発を進めていくとしている。

【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 Smart Tyre Conceptにはこれまで同社が取り組んできたものも含め、さまざまな要素がかかわっている
Smart Tyre Conceptにはこれまで同社が取り組んできたものも含め、さまざまな要素がかかわっている
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 重要な要素の1つである「性能持続技術」は、しなやか成分など同社が開発しすでに市販製品にも採用されている技術の進化版がカギとなる
重要な要素の1つである「性能持続技術」は、しなやか成分など同社が開発しすでに市販製品にも採用されている技術の進化版がカギとなる

 ほかの4つの要素は、「センシングコア」「アクティブトレッド」「エアレスタイヤ」「LCA(Life Cycle Assessment)」。センシングコアは5月に発表されていたもので、4輪の回転の細かい違いなどから路面とタイヤの状況を解析し、その結果をドライバーや車両にフィードバックして危険を回避することを狙った技術。

【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 センシングコアによりタイヤはセンサーとなる。路面をモニタリングし、情報をクラウドを介してやり取りすることで、遠く前方を走るクルマからの情報を元に危険回避する、といったことが可能になる
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 センシングコアによりタイヤはセンサーとなる。路面をモニタリングし、情報をクラウドを介してやり取りすることで、遠く前方を走るクルマからの情報を元に危険回避する、といったことが可能になる
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 センシングコアによりタイヤはセンサーとなる。路面をモニタリングし、情報をクラウドを介してやり取りすることで、遠く前方を走るクルマからの情報を元に危険回避する、といったことが可能になる
センシングコアによりタイヤはセンサーとなる。路面をモニタリングし、情報をクラウドを介してやり取りすることで、遠く前方を走るクルマからの情報を元に危険回避する、といったことが可能になる

 アクティブトレッドは、路面の水や温度変化を感知してトレッド部の特性を変え、路面状況に応じた最適な性能を発揮できるようにするもの。現在は特性を変える技術の確立を目指して開発に取り組んでいるという。

【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 アクティブトレッドでは、水や氷を感知してトレッド部の特性を変える
アクティブトレッドでは、水や氷を感知してトレッド部の特性を変える

 エアレスタイヤは、2015年の東京モーターショーで発表した「GYROBLADE」をはじめとするパンクしないタイヤをベースとする技術。今回のモーターショーでも新たなエアレスタイヤを展示しており、現在も実用化に向け開発を進めていると話す。

【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 2015年発表のエアレスタイヤの系譜として新たなエアレスタイヤも登場。今後も実用化を目指して開発する
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 2015年発表のエアレスタイヤの系譜として新たなエアレスタイヤも登場。今後も実用化を目指して開発する
2015年発表のエアレスタイヤの系譜として新たなエアレスタイヤも登場。今後も実用化を目指して開発する

 LCAは製品の製造や輸送、使用、廃棄などの過程において環境への影響を定量的に評価する手法。同社では100%石油外天然資源タイヤである「エナセーブ100」と、低燃費タイヤ「エナセーブ NEXT II」を販売しているが、今後は製品の素材だけでなく「製造、運搬、リサイクルも含めた全体で環境性能を引き揚げる」ことで、循環社会に貢献していくと池田氏は話した。

【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 タイヤ開発にかかわるサイクルの全体の環境性能を引き揚げる
タイヤ開発にかかわるサイクルの全体の環境性能を引き揚げる

 同社のプランとしては、2020年に性能持続技術採用タイヤの量産をスタートし、同年にLCA指標の元で開発した新素材によるコンセプトタイヤを発表。2023年にはアクティブトレッド採用のコンセプトタイヤを発表して、さらに2020年代後半には、Smart Tyre Conceptの全ての要素を盛り込んだタイヤを完成させるとしている。

【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 今後のタイヤ開発のロードマップ
今後のタイヤ開発のロードマップ
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 展示ブースの様子
展示ブースの様子
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 ブース中央にある球体ディスプレイ
ブース中央にある球体ディスプレイ
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 3種類のエアレスタイヤが展示
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 3種類のエアレスタイヤが展示
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 3種類のエアレスタイヤが展示
3種類のエアレスタイヤが展示
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 LCAを意識したバイオマス材料使用のエナセーブシリーズ
LCAを意識したバイオマス材料使用のエナセーブシリーズ
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 タイヤのトレッドをスクリーンに見立て、アクティブトレッドについて映像で解説
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 タイヤのトレッドをスクリーンに見立て、アクティブトレッドについて映像で解説
タイヤのトレッドをスクリーンに見立て、アクティブトレッドについて映像で解説
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 今回発表されたコンセプトタイヤはガラスケース越しに見ることができる
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 今回発表されたコンセプトタイヤはガラスケース越しに見ることができる
今回発表されたコンセプトタイヤはガラスケース越しに見ることができる
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 ブースの外周に展示されている「世界初の空気入りタイヤ」のレプリカ
ブースの外周に展示されている「世界初の空気入りタイヤ」のレプリカ
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 「自動車用タイヤ国産第一号」
「自動車用タイヤ国産第一号」
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 1970年に開発されたランフラットタイヤの前身「DENOVO」
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 1970年に開発されたランフラットタイヤの前身「DENOVO」
1970年に開発されたランフラットタイヤの前身「DENOVO」
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 特殊吸音スポンジ「SILENT CORE」搭載のタイヤ「LE MANS LM703」
【東京モーターショー2017】住友ゴム、“劣化しない”性能持続技術採用コンセプトタイヤ発表 特殊吸音スポンジ「SILENT CORE」搭載のタイヤ「LE MANS LM703」
特殊吸音スポンジ「SILENT CORE」搭載のタイヤ「LE MANS LM703」

日沼諭史

日沼諭史 1977年北海道生まれ。Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスのライターとして執筆・編集業を営む。IT、モバイル、オーディオ・ビジュアル分野のほか、四輪・二輪や旅行などさまざまなジャンルで活動中。Footprint Technologies株式会社代表取締役。著書に「できるGoPro スタート→活用完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ大事典」(技術評論社)など。2009年から参戦したオートバイジムカーナでは2年目にA級昇格し、2012年にSB級(ビッグバイククラス)チャンピオンを獲得。所有車両はマツダCX-3とスズキ隼。