東京モーターショー2017
【東京モーターショー2017】未来のタイヤはパンクを検知して自己修復する? ブリヂストンの技術革新を加速するためのプロジェクト「KONNECT50」とは
ブースではエアフリーコンセプトタイヤの体験ができる
2017年10月27日 08:50
- 2017年10月25日 開幕
- 2017年10月27日 プレビューデー
- 2017年10月28日~11月5日 一般公開日
10月25日に東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開幕した「第45回東京モーターショー2017」。その2日目となる10月26日に、東6ホール E6301にあるブリヂストンブースにおいて、将来に向けた技術やビジネスモデルのイノベーションを加速するためのプロジェクト「KONNECT50」についての説明会がトークショー形式で行なわれた。
今回のブリヂストンブースでは、メインの通路側に欧州で展開しているハイパフォーマンスタイヤ「POTENZA S007」を装着するアストンマーティン「DB11」、低燃費タイヤ「ECOPIA with ologic」を装着して世界最高峰のソーラーカーレース「ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ」に参戦する工学院大学のソーラーカーを展示。
また、プロダクトの展示ゾーンにはPOTENZAブランドのハイパフォーマンスタイヤ「POTENZA S001」、史上最高の氷上性能と高い摩耗ライフ性能、静粛性を実現したスタッドレスタイヤ「BLIZZAK VRX2」、乗用車(セダン・コンパクトカー)向けのプレミアムタイヤ「REGNO GR-XI」、狭幅化&大径化により走行時の空気抵抗の低減、接地部分の変形を抑えてタイヤの転がり抵抗を低減することが可能になる「ECOPIA with ologic」を並べるなど、同社の幅広いラインアップを見て触って確かめることができる。
さらにブース中央にはエアフリーコンセプトタイヤを装着する自転車を展示。エアフリーコンセプトタイヤとは、「パンクの心配がない」「空気圧管理不要(メンテナンスフリー)」「デザイン自由度が高い」「リサイクル可能な樹脂やゴムを採用する」といった特徴を持つ、文字通り空気を使わないタイヤ。
タイヤ側面に張り巡らせた特殊な形のスポークで荷重を支えるためタイヤに空気を充填する必要がなく、メンテナンス性に優れるのが大きなポイントになっており、2019年の実用化を目指して開発が進められている。会場ではこのエアフリーコンセプトタイヤを装着する自転車を実際に漕いでそのフィーリングを体感することも可能になっている。
なお、一般公開日にあたる10月28日13時30分~14時15分には、インディ500で日本人ドライバーとして初優勝した佐藤琢磨選手と同2位のエリオ・カストロネベス選手をゲストに招いてのトークショーが開催される予定。
東京都小平市にある研究開発拠点を刷新
さて、今回紹介されたプロジェクト「KONNECT50」は、同社が2015年から進めている東京都小平市にある研究開発拠点(技術センター)の再構築とリンクしている。現在、この小平市の研究開発拠点は自動運転やEV(電気自動車)など急速に変化するモビリティや情報化社会に対応するため、エンジニアがアイデアを素早く形にして検証できるようにするべく、ラボや試作設備、テストコースを作る予定になっている。着工は2018年12月を予定しており、2020年の竣工を予定する。また、この研究開発拠点で働くエンジニアの働き方を変えることで、技術者があらゆるアイデア、可能性に迅速にチャレンジできる拠点の構築を目指しているという。
このトークショーではブリヂストン 常務執行役員 製品開発管掌の高木光治氏、技術戦略本部長の田村康之氏、PSタイヤ開発第1部 構造設計第3ユニットの三好茜氏の3名が登壇。
トークショーの冒頭、高木氏はブリヂストンの事業が地下足袋(じかたび)からスタートしたことについて触れ、「足袋の底にゴムを張り付けるという1つのイノベーションによって事業を成功させました。今考えると足袋というのもモビリティの1つとも言え、これを機に当時は非常に困難だった国産タイヤの開発を成功させました。その後も種々の領域において技術開発のイノベーションを加速させることによって今皆様に紹介しているような製品だったり技術につながっています。当社ブリヂストンにはこのイノベーションのDNAがあると言ってもいいかもしれません」とコメント。
また、ブリヂストンのCSRの考え方として「モビリティの進化に貢献する」「1人ひとりの生活と地域社会を支える」「環境負荷を低減し、よりよい環境を残す」という3点が重点領域であり、「モビリティの進化に貢献する」の一例として「ECOPIA with ologic」やエアフリーコンセプト、タイヤから接地面の情報を収集・解析し、路面情報やタイヤの状態を把握することが可能な同社のセンシング技術「CAIS(Contact Area Information Sensing)」などがあることを紹介。
一方で、将来のモビリティ社会がどのように変わっているのかを問われた乗用車用タイヤの開発に携わる三好氏は、「お客様がタイヤを意識するのはパンクをしたり、何かが起こったときだと思います。でも、私はそのような状況を変えたいと考えており、例えばタイヤの摩耗状態や路面の状況を常にセンシングすることで、路面の状況に応じてタイヤのゴムやパターンが自動で変わる。そのような機能が付いていると非常に面白いと思います。パンクについても自動でパンクを検知して自己修復する、そのようなタイヤも実現できているかもしれません。お客様がタイヤを意識することなく、ブリヂストンの技術がお客様を自然にサポートできている。そのようなモビリティ社会ができたらいいなと常に考えてたくさんのアイデアを出しています」と述べる。
このようなアイデアは一例で、ブリヂストンの技術者は三好氏が示したような将来のモビリティ社会を意識しながら日々の仕事に取り組んでおり、こうした夢を実現するために技術開発において制約があった場合、それらを変革して夢の実現に取り組めるようにするのが「KONNECT50」の1つのミッションだという。
また、小平市の研究開発拠点がどのように変わるのかについても紹介が行なわれ、研究者やエンジニアが新しいアイデアや構想を発想し、従来技術とデジタルを融合して新材料や新技術を創造するというイノベーションを生み出す場の「イノベーションセンター」、イノベーションセンターで生み出されたアイデア(新材料/新技術)を最先端の生産技術を駆使して少量かつ短期間で具現化する施設の「Rapid Proto」、さまざまな環境・路面状況を再現する室内評価設備の「先進評価ラボ」、試作品を開発者自らが体感しながら実車評価とコンセプトの検証を行なう施設の「ミニプルービンググラウンド」という4つの施設(施設名称は仮称)が作られる予定という。
最後に高木氏は「『最高の品質で社会に貢献』。この使命を達成するために我々はKONNECT50を通じて皆様に継続的に新しい価値、製品技術を紹介してまいります。と同時に、我々自身も魅力あふれる活気あるエンジニアの集団となるように変革を推進してまいります。皆様、ぜひご期待いただければと思います」と述べ、トークショーが締めくくられた。