東京モーターショー2017
【東京モーターショー2017】eAxelなど自動運転時代に対応するアイシングループ
2020年までに自動バレー駐車の実用化を目指す
2017年10月27日 11:48
- 2017年10月25日 開幕
- 2017年10月27日 プレビューデー
- 2017年10月28日~11月5日 一般公開日
10月25日、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で「第45回東京モーターショー2017」が開幕した。27日はプレビューデー、28日~11月5日は一般公開日となる。
プレスデー2日目の26日、東展示棟にあるアイシングループ6社(アイシン精機、アイシン高丘、アイシン化工、アイシン・エィ・ダブリュ、アイシン・エーアイ、アドヴィックス)のブースでは、プレスカンファレンスが開かれた。
アイシン精機 取締役社長の伊原保守氏は、「アイシングループは専門性の高いグループ各社が、パワートレーン、走行安全、車体部品、情報・電子の4つの事業の開発などを行なっている、世界第6位の総合自動車部品サプライヤー」とグループを紹介。
「ここ数年、ゼロエミッションや自動運転技術の進化、コネクティッドカーやカーシェアリングの普及など、クルマが所有するものから利用するものへ変わるといったライフスタイルの変化など、かつて体験したことがない急激な構造変化の波が押し寄せています。私たちアイシングループは、将来の競争力強化のため、グループとしての一体感をいっそう強め、変化への対応力を強化させなければいけないと考えました」と、自動車を取り巻く環境の変化についても語り、「アイシングループは、会社の壁を越えて重点開発領域をゼロエミッション、自動運転、コネクティッドカーの3つに定めました」とグループの方向性について話した。
ゼロエミッションへのアプローチ強化
また、伊原社長は「アイシングループではこれまで、トヨタ自動車と共同開発を行なってきた2モーターハイブリッドトランスミッションや、電子式4WDユニットを提供してきました。今後は多くのお客さまからご要望いただいている1モーターハイブリッドトランスミッションや、現在のプリウスに搭載されている電子式4WDユニットを高出力化した『eAxle(イーアクスル)』、EVやFCV向けの製品の開発などパワートレーンのラインアップを拡充していきます」。
「2モーターハイブリッドトランスミッションの特徴は、優雅な走りと市街地走行での燃費のよさです。対して1モーターハイブリッドトランスミッションは、商用車やSUVなど高トルクを必要とするクルマとの相性がよく、ダイレクト感のあるスポーティな走りや高速走行時の燃費のよさにあります」と、2モーター&1モーターの特性を紹介し、「どちらもモーターを活かした力強い走りのよさをご体感いただけます。複数のラインアップを持つことで多くのユーザーにメリットを享受いただけるものと考えております。今まで培ってきたモーターの技術に進化したトランスミッションを加えて生まれた、新開発のFF1モーターハイブリッドトランスミッションを2018年中に量産化したいと考えています」と、今後の展開について説明。
加えて「新開発のeAxleはプレミアムな4輪駆動車への搭載が可能です。さらには高出力を活かし、リアにバッテリーを追加して駆動用モーターと利用することで、プラグインハイブリッド車用のシステムとして活用できます。将来的にはEVユニットへの展開も可能です」と将来性を語った。
2020年には完全無人の自動バレー駐車の実用化を目指す
続けて自動運転への取り組みについて、「アイシングループではこれまでにサスペンションやステアリング、ブレーキなど、さまざまなシャシー製品を開発してきました。これらの技術を融合させたのが車両運動統合制御です。車両の位置や走行状態を把握し、パワートレーンやアイシンのシャーシ製品を統合制御することで、スムーズで心地よく安全、安心な自動運転を実現します」。
「また、我々が得意とする低速での自動運転、および駐車支援技術から自動バレー駐車(車両制御とインフラ協調による完全無人駐車)の実現を進めています。2003年に駐車新システムのインテリジェントパーキングアシストを世界に先駆け市場に投入しました。それ以降、技術を進化させて、スマートフォンで完全駐車が可能なリモコン駐車まで開発が完了しています」。
「今後、車両自体の制御に加え、インフラとの協調を行ない、専用駐車場でカーシェアなどの専用車を用いた自動バレー駐車サービスについて、2020年までの実用化を目標に取り組んでいます。駐車場での駐車のわずらわしさからお客さまを開放したいと考えています」と、先進性をアピールした。
「おもてなしサービス」と「位置情報活用サービス」で描くコネクティッドカー
アイシングループが推進しているコネクティッドカーについては、「我々が開発を進めているのは、おもてなしサービスと位置情報活用サービスの2つです。おもてなしサービスはアイシンが得意とするアクチュエーター技術や乗員センシング技術、車外状況やクラウド環境に蓄えたデータを組み合わせ、お客さまの気持ちに寄りそうサービスを提供するものです」。
「このサービスにより、クルマに乗るお客さまにより快適な車内空間を提供したいと考えております。たとえば、自動バレー駐車から利用者を迎えに来るクルマの中で、(利用者データから)子供がクルマに乗ることを予測し、自動でチャイルドシートをセットする先読みシートアレンジ。コーナーに向かう際に角度や進入スピードからドライバーにかかる横Gを予測し、最適な(シートの)サポート制御で安心感を与える先読みオートサイドサポートシート。ドアを開ける瞬間に周囲の状況をセンシングし、後ろからくる自転車などを感知して、通り過ぎるまでドアロックをかける見守り安心ドアシステム。そんなサービスが提供できると考えています」。
「また、位置情報活用サービスでは、カーナビゲーション開発で培った位置情報活用技術や、アイシングループが保有する数々の製品が有する情報と、クラウド上のビッグデータに高度な位置情報を付加して運転をサポートするさまざまなサービスを提供します。例えば位置情報で凹凸のある路面に向かうことを感知したときに、あらかじめサスペンションの設定を変更し、揺れない快適な車内空間を実現する、そんなサービスを提供したいと考えております」と、将来のサービスについても言及した。
また、「アイシングループでは東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、トヨタ自動車と連携し将来のモビリティであるアイリィーエーアイ(ILY-Ai)を開発しております。最新モデルはライダーとカメラを使ったセンシング機能を搭載しており、今年の11月から実証実験を開始いたします。アイリィーエーアイを、ただのロボットではなく人々のパートナーモビリティとなることを目指し、さらに開発を続けていきます」とコメントした。
アイシングループのブースでは、そのほかにもさまざまなテクノロジーの展示や解説が展開されているので、ぜひ足を運んでみてほしい。