CES 2018

【CES 2018】三菱電機、“渋滞中のクルマにドローンがピザを配達する”未来図を描く

最新HMIを紹介する「EMIRAI4」の米国初展示も

2018年1月9日~12日(現地時間)開催

「Make the move to mobility」をテーマに車載向け各種技術の展示を行なった三菱電機ブース

 三菱電機は、米国ネバダ州ラスベガスで開催中の「CES 2018」において、車載向け各種技術の展示を行なった。

「Make the move to mobility」をテーマにする三菱電機ブースでは、スマートモビリティ時代に安心、安全、快適なクルマ社会の実現を目指す技術展示などを実施。三菱電機 自動車機器事業本部 自動車機器事業部長の石川達也氏は、「三菱電機は数年前からCESには出展しているが、電機メーカーが出展するエリアではなく、自動車メーカーが出展するエリアにブースを構えている。自動車業界への訴求を目的としており、総合電機メーカーとしての技術力を生かした提案が特徴である」と語る。

 三菱電機ブースで注目を集めたのは、2017年10月に開催された東京モーターショー2017でも展示した次世代運転支援技術を搭載するコンセプトカー「EMIRAI4(イーミライフォー)」だ。米国では初公開ということもあって、ブース内では実際にEMIRAI4に乗り込んで体験する来場者の姿が相次いで見られた。

 EMIRAI4では最新のHMI(ヒューマンマシンインターフェース)技術を搭載し、安心、安全、快適なコックピットを実現。広角カメラ型ドライバーモニタリングシステムによって安全運転を支援することができる。

 運転席や助手席に乗り込むと、顔認証技術を活用して中央部のディスプレイに認証の様子を表示。シートの位置なども自動的に合わせてくれるほか、運転中には心拍検出などによってドライバーの状況を把握し、安全運転を支援する。HUD(ヘッドアップディスプレイ)で高精度3次元地図などを表示して運転をサポート。また、ライティング技術により、他のクルマや歩行者などに対してドアの開閉や乗り降りなどを通知し、人とクルマのコミュニケーションを実現しながら事故防止に貢献できるという。

東京モーターショー2017で話題を集めたコンセプトカー「EMIRAI4」を展示
「EMIRAI4」は多くの来場者が体験していた

 また、三菱電機やゼンリン、インクリメントPのほか、日本の主要自動車メーカーが参加するダイナミックマップ基盤企画の取り組みも紹介。三菱電機では自動運転に必要となる高精度3次元マップの共通基盤データとなる静的情報の収集において、準天頂衛星を利用し、誤差範囲が水平で6cm、垂直で12cmというセンチメーター級での測量を可能にすることを示した。この取り組みは、日本以外でも三菱電機が2017年に出資した独Sapcordaとの連携により、グローバルに展開していくことになる。

 一方で、北米で実証実験中の自動運転技術搭載車「xAUTO-US(エックスオートユーエス)」も展示。ソナーや監視カメラなど三菱電機の技術を活用することで、自律型走行技術とインフラ型走行技術を組み合わせた公道での自動運転実証を行なっていることを示した。

自動運転技術搭載車「xAUTO-US」を展示
xAUTO-USの三菱電機製のソナーを搭載

 また、三菱電機が開発したミリ波レーダー、高精度ロケーター、サラウンドビューカメラなどの製品展示、運転席と助手席のダッシュボード、センターコンソールにある3つのディスプレイを連動させて表示するデモストレーションも行なった。

車内にある3つのディスプレイを連動させて表示を行なうデモストレーション
三菱電機のミリ波レーダー、高精度ロケーター、サラウンドビューカメラなどを展示

 さらに、先ごろ発表したオランダ アムステルダムに本社を持つ地図情報大手のHERE Technologiesと共同で取り組んでいる高精度位置情報サービスの取り組みも紹介した。

 両社は欧米市場を対象に、HEREが整備を進めている高精度地図と運用を開始したクラウド位置情報サービス「Open Location Platform」、三菱電機が持つ高精度に自車位置を把握できる「高精度ロケーター」を活用し、高精度位置情報サービスを展開すると発表している。

 CES 2018におけるデモストレーションでは、高精度な位置特定によって事故発生時や渋滞発生時でもスムーズに走れる推奨レーンをリアルタイムに案内するといった活用や、歩行者の飛び出しを検知してクルマを停止させるといった事例を紹介。さらに将来の活用方法として、渋滞時にクルマからピザの配達を指示。クルマの場所を特定して、ドローンがピザを運んでくるというユニークな事例も紹介していた。

HERE Technologiesと共同で取り組む高精度位置情報サービス。事故発生時には推奨レーンを案内
歩行者の飛び出しを検知してクルマを停止させるという事例
渋滞時にドローンがピザを運んでくるというユニークな事例
高精度位置情報サービスに利用する三菱電機の高精度ロケーター

大河原克行