イベントレポート

レクサス、2026年導入予定の次世代バッテリEV「LF-ZC」世界初公開 フラグシップコンセプト「LF-ZL」も世界初公開

レクサスブースに展示された「LF-ZC」

レクサス、次世代バッテリEV「LF-ZC」を2026年導入

 レクサスは10月25日、2026年導入予定の次世代バッテリEVのコンセプトモデル「LF-ZC」と、未来のビジョンを示唆するバッテリEVフラグシップコンセプトモデル「LF-ZL」を世界初公開した。

 レクサスの次世代BEVモデルは、クルマ屋レクサスならではのドライビング体験とサービスでユーザーのライフスタイルを豊かにすることを目指し、新モジュール構造「ギガキャスト」といったまったく新しい車体のモジュール構造や生産技術を採用するほか、新たなソフトウェアプラットフォーム「Arene OS(アリーン オーエス)」の採用などソフトウェアプラットフォームも全面刷新した。

 今回発表した「LF-ZC」については、2026年の市場導入を予定している。

レクサスのプレスカンファレンス

新モジュール構造「ギガキャスト」などBEV普及に向け次世代技術を採用

レクサスが2026年導入予定の次世代バッテリEVのコンセプトモデル「LF-ZC」
「LF-ZC」のコクピット

 公開されたLF-ZCの諸元は、ボディサイズが4750×1880×1390mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースが2890mm。航続距離1000km(CLTCモードによる目標値)で、Cd値0.2以下(目標値)としている。

 レクサスの次世代BEVでは、車体をフロント、センター、リアに3分割した新モジュール構造「ギガキャスト」を採用。キャスト化による形状自由度の向上でしなやかさを実現し、一体成形により締結部を低減することで剛性を高め、操作に対してリニアでより自然なフィーリングを実現。車体ボディのセンター部分に電池を搭載することで、フロント、リアは構造上の影響を受けず、電池の進化を素早く車両に取り込むことが可能となり、よりアジャイルな将来の開発に寄与するという。

 生産工程においても、組立中のクルマが自ら走り、次の工程に移動する「自走組立ライン」を採用することにより、フロント、センター、リアの3つの部品に、電池、モーター、タイヤ、無線端末がついただけの状態でクルマの自走を実現。ラインからコンベアをなくすことが可能となり、工場のレイアウトが自由に変更可能。これにより、年単位におよぶ量産に向けた準備期間や、数十億円にのぼる工場投資を削減できるとしている。

 次世代バッテリEV搭載に向け開発中の「次世代電池パフォーマンス版(角形)」は、空力性能や軽量化による車両効率や電池性能の向上により、航続距離1000kmの実現を目指しており、低ハイト化により搭載車両のデザインの自由度を向上させ、美しいシルエットに寄与するとともに、ドライビングダイナミクスのための低重心を実現。加えて、高エネルギー密度の実現のため、電池構造をシンプルかつコンパクトにすることで、より多くのエネルギーを搭載可能という。

レクサスの次世代バッテリEVコンセプトモデル「LF-ZC」

レクサスブランドの未来のビジョンを示唆するBEVフラグシップコンセプトモデル「LF-ZL」

レクサスのBEVフラグシップコンセプトモデル「LF-ZL」

 同時発表された「LF-ZL」は、レクサスがフラグシップとして提案するコンセプトモデルで、次世代BEVアーキテクチャーと新しい「Arene OS」がもたらすソフトウェアの革新を示すモデルになる。

 「LF-ZL」の諸元は、約5300×約2020mm×約1700mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは約3350mm。BEVならではのパッケージングの自由度の高さや空間効率のよさを活かした広々とくつろげるインテリアに、従来のおもてなし装備をより先進的かつ心地よいものとすることで、これまでになかったモビリティ体験を提供するという。

 Arene OSのパフォーマンスにより、インタラクティブリアリティの革新的体験プラットフォームの構想「Interactive Reality in Motion」として、地図、車両カメラのデータをAIチャット機能、車内音声・ジェスチャー認識等の情報と組み合わせることで、クルマのもつ情報と社会のデジタル情報を連携させることを目指す。

 ドライバーが運転中に外の風景の中で気になった場所やモノを指差すと、その情報が車載ディスプレイに即座に表示され、音声案内を行ない、よりインタラクティブに人とクルマがつながることを目指すとともに、ビッグデータの活用により充電、給電双方のエネルギーマネジメントを行ない、クルマが停車しているときは社会インフラの一部としてネットワークに接続させるなど、ユーザーのライフスタイルにシームレスに連携したモビリティソリューションを提供するという。

レクサスのBEVフラグシップコンセプトモデル「LF-ZL」
編集部:椿山和雄
Photo:堤晋一