イベントレポート
ダイハツブースでは“これまで”と“これから”の車両を展示 「ダイハツ号」「シャレード」から「ビジョン コペン」「ユニフォーム カーゴ」など
2023年10月26日 06:25
- 一般公開日:2023年10月28日~11月5日
- 入場料:1500円~4000円
10月25日に「ジャパンモビリティショー2023」が東京都江東区にある東京ビッグサイトで開幕した。本稿では東展示場棟1階 1~3ホールにあるダイハツ工業ブースを紹介する(ブース番号EP01)。
ダイハツブースでは創業以来持ち続けてきた「お客さまに寄り添い、暮らしを豊かにする」という思いをテーマとしている。そのテーマを具体化するためにメインステージにエポックメイクな歴代ダイハツ車を展示。そしてブース正面はコンセプトカーを置くことで、「お客さまに寄り添い、暮らしを豊かにする」という気持ちを過去から未来へと続く流れとして表現しているということだ。
ステージ上の「これまで」を語るクルマのほかに、ブースには「これから」を示す5台のコンセプトカーが出展されていたのでそれらを紹介していこう。
まずはダイハツの軽オープンカーの初代コペンをイメージさせるスタイルを持った「VISION COPEN(ビジョン コペン)」。開発のテーマは「走る喜びに寄り添うカタチ」というもので、求めたのはコペンの気軽さはそのままに、走る喜びや楽しさを追求したクルマとのこと。
事前の発表ではエンジンはCN燃料(カーボンニュートラル・フューエル)を利用する1.3リッターエンジンとなっていたが、どんなエンジンを積むべきかはまだまだ検討とのことなので今回はエンジンの公開はない。また、トランスミッションも展示車はATを搭載しているが暫定的なもので、今後はMTの搭載も検討していくとのことだった。
サスペンションも検討中だが、ダイハツが取り組んでいるモータースポーツ活動から得られた知見を取り入れ、ビジョン コペンにふさわしい足まわりにしていくとのこと。
エクステリアは初代コペンを彷彿させるスタイルで、コペンでも採用されている電動開閉式ルーフ「アクティブトップ」を装備するが、可動ギミックは変更されているという話だ。
デザイン面では軽自動車枠が取り払われたことで、初代コペンでは抑えていた部分を伸び伸びとデザイン。幅が広がったことでフロントフェイスは「初代っぽい」イメージながら「大人っぽさ」が出た。さらにフェンダーの張り出しが設けられるようになったことで力強さも生まれた。
続いてはオープンカーの「OSANPO(オサンポ)」だ。オサンポはオープンエアの心地よさを散歩に出かけるような手軽さで楽しめ、日常にスローな価値を生み出すことを求めた軽乗用BEV(バッテリ電気自動車)。
軽自動車BEVというとバッテリ容量などの制約で行動範囲や走行性能が限られるが、オサンポはそれらを逆手に取って小さいBEVだからこそ「近い距離をゆっくり走る」というカーライフを提案するものだ。自転車でいうとロードバイクによるサイクリングではなくて、ミニベロ(小径車)でのポタリング的なのんびりとした移動のイメージ。
そんなユルさを生み出すために、SUV的にリフトアップされた車高とすることで視線を上げて見晴らしをよくする。そしてオープンカーということで開放感が得られるというもの。シート自体も体を固定するような形状ではなくてある程度ゆったり座れるようになっている。
クルマが楽しいと思うのはそのクルマに乗ることで得られる「気持ちよさ」があるからだが、このオサンポのような「ユルさ」を求めている人もいるだろう。
「クルマと人の関係の再定義」がテーマの「meMO(ミーモ)」。こちらはライフステージに合わせ、スタイルや楽しみ方を変えることができる軽乗用BEVだ。
乗る人ごとに使いやすいクルマとするため、クルマをつくり方から変え、モジュール化した内外装部品の構造になっているのが特徴。交換できる部位についてはサイズや固定法などを一般公開することで、パーツメーカーによるアフターパーツだけでなく、自分の手でカスタマイズしてみたいというユーザーも参加しやすいようにしている。
例えばドアの内張は同サイズのパネルを3枚はめ込んでいるが、このパネルの位置を変えるだけでも個性が出せる。また、パネルに着色したりイラストを描いたりするのもいいし、小さい子供がいるのならパネルの表面にホワイトボード材を張るなりしてお絵かきが楽しめるようにするのも楽しいだろう。
さらに内外装にはめ込むパーツは、手に入れやすくなっている3Dプリンターでパーツを自作するという提案もあった。これは個人では難しいかもしれないが、販売店が機材を導入してくれればクルマの購入後のユーザーとのコミュニケーションも幅広くなるのでは、という考えだ。
「UNIFORM CARGO(ユニフォーム カーゴ)」は、第一に考えられたのが「働く道具として使いやすいこと」。これは使ってみて勝手がいいということだけでなく「パッと見ただけで使い方が分かる」ということも含めたもの。そこでデザインは機能を素直に表すものとした。頑丈そうな黒いフレームを入れて、そこに白い壁を合わせた使いやすそうな倉庫のような見せ方としているのが特徴。
また、ドアハンドルやスライドドアのハンドルは業務用の冷蔵庫などをイメージさせるデザインとすることで道具感を出している。また、スライドドアのレールも黒くするのが一般的だが、ここも道具らしくあえて金属地のままとした。
運転席まわりのデザインは今回のコンセプトカー共通のシンプルなのものだが、ユニフォーム カーゴも後述するトラックもドアが大きく開くような作りとしていた。
ダイハツが発売しているハイゼットなどは荷室が広いぶん、運転席と助手席の足下にしわ寄せがきているが、ドアはヒンジの位置の都合で完全に開いても足を真横に抜くのは無理なのだ。そこでユニフォーム カーゴもトラックもドアヒンジ位置を変えることでドアが大きく開くようにしたということだった。
というように、BEVであり車体デザインも先進的で目新しいものが出てくるかと思いきや、働くクルマとしていますぐ市販車にも取り入れていいような実用的なアイデアが盛り込まれたコンセプトカーだったが、使い勝手の向上こそ働くクルマの進化。地味に思えたかもしれないがこれも興味深いものだった。
「UNIFORM TRUCK(ユニフォーム トラック)」は軽トラックということで、大事にしたのは小回りがきくこと。そのためユニフォーム カーゴよりショートホイールベースとし、細い道での取り回しのよさを実現している。
そして、農家の方が収穫物を販売するための未来の「Nibako」を装備。こちらは使いやすく、清掃しやすいフラットで凹凸の少ない荷室となっている。