イベントレポート

日野、「デュトロ Z EV」「プロフィア Z FCV プロトタイプ」の公開とともにトラックと輸送の未来を示す

一般公開日:2023年10月28日~11月5日

入場料:1500円~4000円

プロフィア Z FCV プロトタイプ

 日野自動車は、「ジャパンモビリティショー2023」(一般公開日:10月28日~11月5日、場所:東京ビッグサイト)においてBEV(バッテリ電気自動車)のトラックと大型FCVトラックを展示するとともに、それを用いた輸送システムを発表。ステージには日野自動車 代表取締役社長 CEOの小木曽聡氏とNEXT Logistic Japan 代表取締役の梅村幸生氏が登壇して説明を行なった。

 ステージに立った小木曽氏は、「創業以来、日野は人や物の移動を支えるため、技術や商品そしてサービスを磨いてきました。また日野自動車自身も進化させ続けてまいりました。そして人や物の移動を支え、豊かで住み良い世界と未来に貢献するという使命を、トラック、バス作りを通じて、人流、物流に対するさまざまな課題の解決に向けて目指しております。そしてこうした志のもと、本年4月に目指す姿を公表いたしました。その目指す姿の中で掲げているのが総合品質です。お客さまを支えるトータルサポートとお客さまの使い方に最適な商品の2つを掛け合わせた総合品質で、お客さまのビジネスを支えて参ります」とあいさつした。

ジャパンモビリティショー2023の会場でプレスカンファレンスを実施
日野自動車株式会社 代表取締役社長 CEOの小木曽聡氏

 続けて「これからの社会で目指す姿としては、カーボンニュートラルや2024年問題などを含む課題に対して、日野自動車ならではの価値を提供していきたいと考えております。カーボンニュートラルに対してはCO2を出さない、働くクルマを止めない、お客さまのトータルコストを悪化させないことを実現するため、バッテリEVやFCVの開発に取り組むだけでなく、カーボンニュートラル燃料を利用した内燃機関を含めたマルチバスウェイで取り組んでおります。また、作る、運ぶ、使う、廃棄するというクルマのライフサイクルすべてのプロセスで、CO2の排出量を削減すべく各国政府、関連業界等での取り組みなどを通じてあらゆる策を追求してまいります」とも語った。

日野ブースでは小型BEVトラックや大型FCVトラックを展示

 また、今回のモビリティショーの出展内容を解説した小木曽氏は、「日野自動車ブースでは、カーボンニュートラルに貢献する電動車両として超低床BEVの小型トラック デュトロ Z EVと、大型燃料電池トラックのプロフィア Z FCV プロトタイプをご紹介しています。もう1つはデュトロ Z EVと商用EV導入に際し、お客さまにとって使い勝手のよい最適な環境の提供を目指す“CUBE LINX(キューブリンクス)”です。デュトロ Z EVは普通免許で乗れる超低床プラットフォームの採用でドライバーの負担軽減に貢献し、ラストワンマイルでの配送現場での使い勝手のよさとゼロエミッションを高次元で両立しております。また、商用EVの使い勝手のいい環境を構築するためのキューブリンクスは、車両や付帯設備の導入コンサルティング、充電器周辺設備の設置、商用EV稼動マネージメントシステムなど、電動車に対するさまざまなニーズに応えるソリューションを一括で提供するプラットフォームです」。

「幹線輸送に対するカーボンニュートラルへの対応については、商用車に求められる十分な航続距離と積載量、そして短時間での燃料補給に対応できる水素を用いたプロフィア Z FCV プロトタイプをトヨタと共同開発で進めています。ここで新たな幹線輸送のスキーム構築を目指すNEXT Logistics Japanの取り組みについて同社の梅村社長より紹介してもらいたいと思います」と説明して、次のテーマへと引き継いだ。

BEV小型トラックのデュトロ Z EV
床下にバッテリを搭載
FCV大型トラックのプロフィア Z FCV プロトタイプ
プロフィア Z FCV プロトタイプのメーター。運転席に乗り込みができる
日野が目指す姿を説明したスライド
カーボンニュートラルに対して掲げている目標
キューブリンクスは車両や付帯設備の導入コンサルティング、充電器周辺設備の設置、商用EV稼動マネージメントシステムなど、電動車に対するさまざまなニーズに応えるソリューションを一括で提供するプラットフォーム

 小木曽氏に続いてマイクを取ったのが、NEXT Logistics Japan 代表取締役の梅村幸生氏だ。梅村氏はまず「弊社は日野自動車発の物流ソリューションスタートアップ企業です。2024年問題をはじめとした物流の社会課題解決を目的としています。私たちはデジタルとリアルの2つの力を活用し物流を最適化し、この社会課題に取り組んで参ります。1人のドライバーで2台以上の荷物を運ぶダブル連結トラックを使い、食品、飲料、自動車部品などさまざまな企業の荷物を組み合わせて積載効率を上げてまいります」と語った。

NEXT Logistics Japan株式会社 代表取締役の梅村幸生氏

 続けて「トラックには各種センサーを取り付け積載率、稼働率、そしてCO2を見える化し、積載率を上げることにより物流の付加価値を高めて参ります。積載効率を上げる最適化の計算を量子コンピュータを使って開発したプログラムにより、短時間で積載率を上げる最適な組み合わせ、配車を実現しました。この効率化された物流とカーボンニュートラルを目指す排気ガス低減の取り組みとを合わせることで、究極のカーボンニュートラルに近づけた取り組みが完成すると考えています」と取り組みを説明した。

NEXT Logistics Japanの取り組み
ダブル連結トラックを使い、幹線輸送を高効率化させる
各種センサーを用いて積載率や稼働率を可視化する
世界初の自動割付・積みつけシステムを開発
量子コンピュータを使うことで従来より計算時間を大幅に短縮
取り組みの成果について
さまざまな効果を出している
日野自動車が作り上げていく輸送の未来

【お詫びと訂正】記事初出時の一部表記に誤りがありました、お詫びして訂正させていただきます。

深田昌之