イベントレポート

ホンダ、世界初公開のEVバイク「エスシー イー コンセプト」など多様なモビリティで見せる脱着式バッテリ「モバイルパワーパックe:」の可能性

一般公開日:10月28日~11月5日

入場料:1500円~4000円

世界初公開となるホンダのEVバイク「SC e: Concept」

カーボンニュートラル実現を目指すホンダの挑戦の1つ

 本田技研工業はジャパンモビリティショー2023(一般公開日:10月28日~11月5日、場所:東京ビッグサイト)にて、世界初公開となるEVバイク「SC e: Concept(エスシー イー コンセプト)」やインドで活躍している電動リキシャ(三輪タクシー)など、脱着式リチウムイオンバッテリ「モバイルパワーパック e:(イー)」を搭載するさまざまなモビリティを展示している。

 2021年10月にホンダが新たに発売した第2世代の着脱式可搬バッテリ「モバイルパワーパック e:」は、コンパクトなボディに定格電圧50.26V、定格容量26.1Ah、定格電力量1314Wh、連続放電出力2.5kWの大容量電力を貯蔵するリチウムイオンバッテリ。第1世代よりも約25%の容量アップを実現したほか、放熱特性を見直すことで耐久性も高められている。また、コストはほぼ同等を維持しつつ、6%ほどの軽量化も実現。空になったバッテリを交換すれば、充電時間を待つことなく、連続して走行・稼働できる脱着式のメリットを生かし、さまざまなモビリティへ活用範囲を広げている。

バッテリ交換ステーション「Honda Power Pack Exchanger e:」
モビリティの基地局などに設置してバッテリの管理を行なえる

 今回のジャパンモビリティショー2023でワールドプレミアしたEVバイク「SC e: Concept」もその1つで、モバイルパワーパック e:2個を動力源に採用。電動モデルならではのスムーズかつ力強い走りで、より快適な日常の移動を実現するモデル。すでに2023年8月に発売したEVバイク「EM1 e:」は、モバイルパワーパック e:を1個搭載し、満充電で53kmほど走行できるが、モバイルパワーパック e:を2個搭載するSC e: Conceptについては、開発中のため航続距離は非公開とのこと。

SC e: Concept
シートの下にモバイルパワーパック e:を2個搭載している
発売中のEM1 e:は価格29万9200円
シート下にモバイルパワーパック e:を1個搭載している

 また、2017年からインド・インドネシア・フィリピンなどで、庶民の足となっている「電動リキシャ(三輪タクシー)」の電動化にも力をいれていて、交換式のモバイルパワーパック e:を使うことで、CO2排出量の削減を図るほか、太陽光や風力のような再生可能エネルギーを積極的に活用するよう供給電気にまで言及している。

アジア圏内で800万台以上走っている庶民の足「電動リキシャ(三輪タクシー)」
後部にモバイルパワーパック e:を4つ搭載している

 また、2023年6~8月にかけてヤマト運輸と共同で集配業務における実証実験を行なった軽商用バン「N-VAN」をベースに開発したテスト車両「MEV-VAN コンセプト」は、モバイルパワーパック e:を8個搭載。航続距離の正確な数値は公表されていないが、ジャパンモビリティショーの会場では、2024年春発売予定の新型軽商用EV(電気自動車)「N-VAN e:」も展示しているので、モバイルパワーパック e:を使った車両との比較もできる。現状では航続距離は「N-VAN e:」のほうが長いとのこと。

軽商用バン「N-VAN」をベースに開発した「MEV-VAN コンセプト」
中央の床下に8個のモバイルパワーパック e:を搭載する
モバイルパワーパック e:は左右に4個ずつ搭載されている
N-VANと同じフラットで使いやすいスペースを確保している
センターコンソールにはさまざまなデータを収集するための機器が搭載されている
2024年春発売予定の新型軽商用EV(電気自動車)「N-VAN e:」
こちらは脱着式のモバイルパワーパック e:ではなく、薄型の大容量バッテリを搭載するとしている(数値はまだ未公表)
ガソリンモデルと同じく広大なフラットスペースを確保できている

 そのほかにも、電動マイクロショベルや、小型船舶向け電動推進機(プロトタイプ)など、すでに多彩なモビリティに活用されていて、今後もカーボンニュートラル実現へ貢献するために利活用の幅を広げていくとしている。

電動マイクロショベル「PC05E-1」プロトタイプモデル(コマツ製)。車両重量は約500kgあるという
シートの下にモバイルパワーパック e:を搭載する
小型船舶向け電動推進機(プロトタイプ)
編集部:塩谷公邦