イベントレポート

ホンダ、運転席のない自動運転タクシー「クルーズオリジン」日本初公開 すでに実用化されている北米仕様との違いとは?

一般公開日:10月28日~11月5日

入場料:1500円~4000円

日本初公開となる自動運転タクシー車両の「クルーズ オリジン」

 本田技研工業は10月25日、ジャパンモビリティショー2023(一般公開日:10月28日~11月5日、場所:東京ビッグサイト)にて、運転席のない自動運転タクシー「クルーズ オリジン」を日本初公開した。

 ホンダは2018年10月に、20年以上前から関係しているGM(ゼネラルモーターズ)および自動運転を手掛けるクルーズ(GMクルーズホールディングスLLC)と、自動運転技術を活用する無人ライドシェアサービス用車両の協業を発表し、2020年1月に3社で共同開発してきた自動運転車両「クルーズ オリジン」を公開。

自動運転車両クルーズ オリジン
前後4か所の突起部には複数のLiDAR、センサー、カメラが搭載されている
多数の機材を搭載しているため冷却用ファンも装備している
フロント上部にも複数のLiDAR、センサー、カメラを搭載
タイヤはコンチネンタルの「aコンタクト」で、装着サイズは前後とも255/65R18

 車両はGMがリチウムイオン電池を含めたプラットフォームや車両の生産を行ない、ホンダがトップハット(プラットフォームより上)の開発、クルーズが自動運転の領域を担当。運転席分のスペースを客室として使用することで、広いプライベート空間を実現したほか、さまざまな乗客が乗り降りしやすいように低床プラットフォームとしつつ、左右両側に両開きスライドドアを採用している。

 すでにアメリカのサンフランシスコで稼働していて、約800万マイル(約1287万km)の自動運転走行の実績を持つ。そして2023年9月には日本仕様がアメリカでテスト走行している様子も公開していた。

左右対称に見えるが、赤いテールランプがある左側がリア。白いヘッドライトのある右側がフロントとなる
開閉は丸いボタンを1プッシュすればOK

 ホンダはビジネスパーソンの移動時間の有効活用や、家族連れ、観光客に向けて楽に安心して楽しみながら移動できるなど、幅広い層をターゲットとしつつ、日本で新たな移動体験を実現することを目標に導入を決定。2023年10月19日の発表では、2026年初頭に東京都心部で自動運転タクシーサービスを開始する予定と発表している。

実際に乗車しているイメージ
室内の天井には計6個のモニター、エアコン送風口、照明などが配置されている
ラゲッジスペースはリアのみ。フロント側は開閉しない

 開発に携わるHonda Development & Manufacturing of America, LLCのチーフエンジニアである大野貴弘氏によると、「快適な室内空間を確保するために中央部にピラーを設けていないため、側面からの衝突にいかに対応するかが大変でした」と苦労を明かす。また、「そのためドアにその強度を持たせる必要があり、かなり重量があります。それでも快適に乗り降りできる要素も必要となるため、スムーズなドア開閉を両立しています。搭載されているLiDAR、センサー、カメラは、すでにサンフランシスコで走っている車両と同じですが、走る車線が左右でアメリカとは異なるため、ヘッドライトの光軸などの調整は日本仕様となっています。今後はテストコースや研究所のある宇都宮近辺で実証実験を行ないつつ、都内での実施場所を選定し、高精度地図を作製するなどの準備を進めていきます」と今後の展開を語ってくれた。

Honda Development & Manufacturing of America, LLC チーフエンジニア 大野貴弘氏

 最後に大野氏は、「ステアリングやペダルといった運転席の機能がいっさいないため、認可や認証など法の整備も追い付いていない状況ですので、国交省など当局と連携しながら進めていく予定です」とした。

【ホンダ】自動運転タクシー「クルーズオリジン」ドア開閉(20秒)
編集部:塩谷公邦