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ダイハツ、自治体との包括契約も視野に入れた「高齢者の事故低減の取り組み」発表会
三井社長も参加して三重ダイハツ松阪船江店で「健康安全運転講座」開催
2017年5月26日 20:47
- 2017年5月26日 発表
ダイハツ工業は5月26日、3月に発表した中長期経営シナリオ「D-Challenge 2025」で掲げた「コトづくり」の一環として、高齢者の事故低減に向けた取り組みを開始したと発表。同日に三重県松阪市にある三重ダイハツ販売・松阪船江店で記者向けの発表会を行なうとともに、具体的な取り組み内容である「健康安全運転講座」を開催した。
発表会の冒頭では、ダイハツ工業 取締役社長の三井正則氏がプレゼンテーションを実施。このなかで三井氏は、ダイハツでは5月に発売したばかりの新型「ミラ イース」にも先進安全装備「スマートアシストIII」を搭載しているように、製品開発でも安全なクルマを生み出そうと注力している一方で、高齢化が進んでいる日本で高齢者が自立した生活を送るためには自分で運転して自由に移動できることが重要だとの考えを示し、この実現に向けてダイハツに「モノづくり以外の面でなにかできることはないか」と模索するなかで今回の取り組みを開始することになったと経緯を説明。「D-Challenge 2025」での方向性の1つとして、ユーザーや地域との接点を拡大する「コトづくり」の一環として着手することになったと語った。
「地域密着プロジェクト」として行なわれる高齢者の事故低減に向けた取り組みでは、ダイハツディーラーの店舗を地域住民に活用してもらい、JAF(日本自動車連盟)や理学療法士協会、地方自治体と連携した活動の第1ステップとして、地域イベントとなる「健康安全運転講座」を実施。この健康安全運転講座は2016年度から三重県のほかに広島県、静岡県などで試行が始まり、これまでに計約100人が参加しているという。この活動を2017年度から本格的に推進し、検証を進めて将来的には全国規模の活動に拡大したいとの目標が立てられている。
また、このプロジェクトなどを通じて社会課題を解決していくため、企業であるダイハツと自治体の包括連携協定をさまざまな自治体と結んでいきたいと三井氏は述べ、試行を行なった三重県の松阪市や静岡県の掛川市などと協定を結ぶ検討を開始しているとした。
最後に三井氏は「『コトづくり』、すなわちCSR活動は、従来の『社会的責任』との日本語訳から1歩進み、企業の『社会対応力』と言われはじめています。ダイハツはこの考え方に基づき、グループ一体となって地域のみなさんと連携した活動に取り組んでまいります」と締めくくった。
三井氏の挨拶に続き、三重ダイハツ販売 取締役社長の林恒雄氏から同社のCSR活動や、これまで7回に渡り試行してきた「健康安全運転講座」の解説と成果の紹介などが行なわれ、さらにダイハツ工業 執行役員の成瀬修氏から改めて地域密着プロジェクトの活動内容について語られた。
また、会場のある松阪市の竹上真人市長も登壇し、松阪市が進めている高齢化や地域活性化などに対する取り組みについて紹介。
竹上市長は「行政だけで地域を作っていける時代は終わった」と述べ、これからは「産」「官」「民」「学」の4つが融合して地域作りに取り組むことが地方都市に求められていると解説。また、松阪市は残念ながら交通事故の死亡者の割合が全国的に見ても高く、とくに高齢者の死者が多いと語り、2016年度に起きた10人の交通事故死亡者のうち、8人が高齢者であったとの実例を紹介。
今回の取り組みについて非常に感謝していると語り、松阪市として行なっている「地域包括ケアシステム」について説明。このシステムでは高齢者がただ長生きをするだけでなく、「健康寿命」を伸ばしていくことを目指しており、買い物や通院を自分の力でできるようにするダイハツの取り組みを自分たちの行政に取り入れていきたいと語った。