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ダイハツ、自治体との包括契約も視野に入れた「高齢者の事故低減の取り組み」発表会

三井社長も参加して三重ダイハツ松阪船江店で「健康安全運転講座」開催

2017年5月26日 発表

“スマアシIII”の「誤発進抑制制御機能」体験シーン

 ダイハツ工業は5月26日、3月に発表した中長期経営シナリオ「D-Challenge 2025」で掲げた「コトづくり」の一環として、高齢者の事故低減に向けた取り組みを開始したと発表。同日に三重県松阪市にある三重ダイハツ販売・松阪船江店で記者向けの発表会を行なうとともに、具体的な取り組み内容である「健康安全運転講座」を開催した。

ダイハツ工業株式会社 取締役社長 三井正則氏

 発表会の冒頭では、ダイハツ工業 取締役社長の三井正則氏がプレゼンテーションを実施。このなかで三井氏は、ダイハツでは5月に発売したばかりの新型「ミラ イース」にも先進安全装備「スマートアシストIII」を搭載しているように、製品開発でも安全なクルマを生み出そうと注力している一方で、高齢化が進んでいる日本で高齢者が自立した生活を送るためには自分で運転して自由に移動できることが重要だとの考えを示し、この実現に向けてダイハツに「モノづくり以外の面でなにかできることはないか」と模索するなかで今回の取り組みを開始することになったと経緯を説明。「D-Challenge 2025」での方向性の1つとして、ユーザーや地域との接点を拡大する「コトづくり」の一環として着手することになったと語った。

「D-Challenge 2025」ではグループスローガン「Light you up」を作成し、「モノづくり」と「コトづくり」の2方向からダイハツブランドの進化を目指す
「コトづくり」で取り組む詳細
これまで続けてきた活動も継続して行なっていく

「地域密着プロジェクト」として行なわれる高齢者の事故低減に向けた取り組みでは、ダイハツディーラーの店舗を地域住民に活用してもらい、JAF(日本自動車連盟)や理学療法士協会、地方自治体と連携した活動の第1ステップとして、地域イベントとなる「健康安全運転講座」を実施。この健康安全運転講座は2016年度から三重県のほかに広島県、静岡県などで試行が始まり、これまでに計約100人が参加しているという。この活動を2017年度から本格的に推進し、検証を進めて将来的には全国規模の活動に拡大したいとの目標が立てられている。

 また、このプロジェクトなどを通じて社会課題を解決していくため、企業であるダイハツと自治体の包括連携協定をさまざまな自治体と結んでいきたいと三井氏は述べ、試行を行なった三重県の松阪市や静岡県の掛川市などと協定を結ぶ検討を開始しているとした。

 最後に三井氏は「『コトづくり』、すなわちCSR活動は、従来の『社会的責任』との日本語訳から1歩進み、企業の『社会対応力』と言われはじめています。ダイハツはこの考え方に基づき、グループ一体となって地域のみなさんと連携した活動に取り組んでまいります」と締めくくった。

「志」を持った活動で素晴らしいモビリティライフを提供したいとの考え
ダイハツの強みで「少子高齢化」「地域活性化」を目指す
「産」「官」「民」「学」の連携で地域密着プロジェクトを推進
目指すのは「いくつになっても自由に移動できる自立した生活」
社会課題を解決するため、自治体との包括連携協定も視野に入れている
CSRを「社会対応力」と位置付け地域密着プロジェクトに取り組んでいく

 三井氏の挨拶に続き、三重ダイハツ販売 取締役社長の林恒雄氏から同社のCSR活動や、これまで7回に渡り試行してきた「健康安全運転講座」の解説と成果の紹介などが行なわれ、さらにダイハツ工業 執行役員の成瀬修氏から改めて地域密着プロジェクトの活動内容について語られた。

三重ダイハツ販売株式会社 取締役社長 林恒雄氏
ダイハツ工業株式会社 執行役員 広報部 部長 成瀬修氏
地域密着プロジェクトでは8年後の2025年に免許を返納する高齢者の人数を減らし、「いくつになっても自由に移動できる自立した生活」の実現を目指す
「商品」「サービス」「人材育成」「CSR活動」の4本柱で高齢化に対応
「産」「官」「民」「学」それぞれで役割分担してプロジェクトを実施
2020年をめどに全国的な活動に広げ、その先では新規活動も考えているという
松阪市の竹上真人市長

 また、会場のある松阪市の竹上真人市長も登壇し、松阪市が進めている高齢化や地域活性化などに対する取り組みについて紹介。

 竹上市長は「行政だけで地域を作っていける時代は終わった」と述べ、これからは「産」「官」「民」「学」の4つが融合して地域作りに取り組むことが地方都市に求められていると解説。また、松阪市は残念ながら交通事故の死亡者の割合が全国的に見ても高く、とくに高齢者の死者が多いと語り、2016年度に起きた10人の交通事故死亡者のうち、8人が高齢者であったとの実例を紹介。

 今回の取り組みについて非常に感謝していると語り、松阪市として行なっている「地域包括ケアシステム」について説明。このシステムでは高齢者がただ長生きをするだけでなく、「健康寿命」を伸ばしていくことを目指しており、買い物や通院を自分の力でできるようにするダイハツの取り組みを自分たちの行政に取り入れていきたいと語った。

松阪市における1960年から2025年の人口推移。これからも少子高齢化が進んでいくと予測している
松阪市では2006年から地域住民がエリアごとに独自の活動を行なう「住民協議会」を設立。行政予算を配分して、自分たちの問題をそれぞれで考えて解決しているという
松阪市が取り組んでいる「地域包括ケアシステム」では、とくに「健康寿命の延伸」に注力している
高齢者も積極的に地域の活動に参加してもらえるよう、「お元気応援ポイント」を作成。介護サービスに頼らず、自分たちで行動するきっかけ作りにしている
松阪市が進めている7つの政策と今年度の新規事業
地域作りに民間の知恵や力を積極的に採り入れていきたいと竹上市長は語った
終盤に行なわれた質疑応答では、今後に関する質問で三井氏が「これはしっかりと継続していくことが大切で、定着させ、拡大させていくという考え方です。また、『産』『官』『民』『学』の地域作りに対する思いが強く、4者が一致していることも条件になると思うんです。その点で、この三重県などがすべての条件に合っていることでプロジェクトの活動を行なえています。ですので、いつまでにどれぐらいの数を、といったことより、思いが一致したところで広げていきたいと考えています。いずれにしても、自動車メーカーであるダイハツが地域作りにどうやって関わっていけるだろうかと模索しながら進めていきたい」とコメントした

「健康安全運転講座」(第8回)

三重ダイハツ販売の本社も入っている松阪船江店が会場となった

 発表後には、プロジェクトの具体的な活動となる第8回の「健康安全運転講座」を開催。会場となった三重ダイハツ販売・松阪船江店の周辺から17人の参加者が足を運び、「“スマアシIII”体験」「クルマの死角やドラポジ確認」「運転能力維持に向けた運動指導」などのプログラムを体験した。

“スマアシIII”体験
スマートアシストIIIを搭載したミラ イースを使い、小型ステレオカメラによる「誤発進抑制制御機能」を体験。運転席に座る解説員がアクセルを全開にしても、ゆっくりと輪留めを上っていくという出力制限の様子や、システムの作動で警報音が鳴る状況を車内で体験し、希望者は実際に運転席に座ってアクセル全開にもトライできた
「クルマの死角やドラポジ確認」
JAF(日本自動車連盟)三重支部の指導員が来場したこの講習では、コンパクトワゴン「トール」を使い、運転席からの死角を体験したり、自己流になりがちなドライビングポジションの再確認などが行なわれた
「運転能力維持に向けた運動指導」
三重県理学療法士会の理学療法士による指導を受けられるこの講座では、首や腕、足などの可動域を広げて運転に必要な動作をスムーズに行なえるようにする運動指導などを実施。参加者といっしょに三井社長も指導を受けていた