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【メディア4耐 2017】マツダ「ロードスター」のワンメイクレースレポート。Car Watchは15位完走
今年から燃料が約15%減るルール変更。今回は燃費競争だった?
2017年9月5日 00:05
- 2017年9月2日 開催
筑波サーキット(茨城県下妻市)で9月2日、「第28回メディア対抗ロードスター4時間耐久レース」(メディア4耐)が行なわれた。16時スタートの4時間耐久レースで、優勝は「J-waveポテンザロードスター」で周回数182周。トータルタイムは4時間1分14秒829、平均速度は92.566km/h。我らがCar Watchチームは15位完走で、179周、4時間2分26秒541、トップから3周遅れで平均速度は90.592km/hとなった。
エンジン、トランスミッション、排気系無改造のワンメイクレース
メディア4耐は自動車関連メディアによる対抗戦。各メディアの編集部員や元レーサーを含む自動車ジャーナリストなどが参加するワンメイクレース。2015年からは現行型のNDロードスターを使って行なわれている。Car Watchは2012年から参戦しており、今回が6年連続、6回目の参戦となる。
参戦するメディア4耐仕様のロードスターは、エンジン、トランスミッション、排気系は無改造。各車の専用装備としては、ロールバー、ビルシュタイン製車高調整機構付きダンパー、タイヤはブリヂストンの「POTENZA Adrenalin RE003」(195/50 R16)で、エンドレス製ブレーキパッド、ブリッド製フルバケットシート、タカタ製フルハーネスを装備。エンジンオイル、ギヤオイル、ブレーキフルードも全チームで同一品を使用する。
ドライバーは4名、または5名で、1回に連続して50分間まで運転でき、合計運転時間は96分間までとなっている。Car Watchチームのドライバーは5人で、走行予定順に、営業部・瀬戸、西村直人氏、石川和也氏、編集部・小林、岡本幸一郎氏が担当する。
2017年は燃料が約15%減り、タイヤも変わるルール変更
2017年の見どころは、使えるガソリンの量が2016年の70Lから60Lへと10L減少したことによるレース運び。40Lのロードスターのガソリンタンク満タン状態でレースをスタートし、レース中の給油は1回のみ20Lまでとされている。Car Watchチームは一昨年の2015年、最終ラップにガス欠でリタイアという苦い経験がある。この経験を活かし、10L減というルールのなかでどのような戦いを見せるかが注目された。
燃料だけ見れば約15%も少なくなり、その分燃費を上げなければならない。ただし、燃費制限があることによって、各チームがタイムを控えて周回すれば、4時間の走行距離は減少。結果的に燃費を抑える量が15%までいかなくても済む可能性もあるが、ただ展開が遅くなるだけのレースにならないことも予想された。
さらにタイヤも変更となっている。ブリヂストンの「POTENZA RE-11A」からPOTENZA Adrenalin RE003に変更され、Sタイヤに近い性格のものからストリートスポーティタイヤに変更となった。
予選を走った岡本氏によると、「POTENZA Adrenalin RE003は全体的に応答がマイルドで、挙動がピーキーではなく、限界を超えてからのコントロールがよいので立て直しやすい。熱ダレしてからも特性が安定している。筑波サーキットよりも、もっと小さいコースにはとてもよいタイヤではないか」とのこと。また、給油などの際はエンジンをOFFにして、チームスタッフが手押しで給油所まで回送するが、クルマを押したスタッフからは「2016年よりも手応えが軽かった」との声も聞かれ、転がり抵抗の少なさも感じられた。
パーティレースなど併催イベント多数
メディア4耐の当日は、メインレース以外にも「ロードスター・パーティレースIII」「マツダファン・サーキットトライアル(MFCT)」「ロードスター筑波サーキット ミーティング2017」「マツダ最新型車両 サーキット体験試乗会」などコース上で開催。1日中、マツダ車の走行を観戦できた。
パドックエリアの特設イベントステージでは、「マツダブランドトークショー」「メーカー交流チーム・スペシャルトークショー」のほか、恒例となった地元 茨城県のご当地ヒーロー「時空戦士イバライガー」のショー、さらに「東京おとめ太鼓withSAYA」のステージライブも行なわれた。
芝生席イベントスペースでは、「マツダ人馬一体講座」「マツダモノづくり講座」「アテンザパレードカーと一緒に写真を撮ろう」「グローバルMX-5カップカー キッズレーサー撮影コーナー」「タミヤRCカー体験」「京商Dslot43走行体験」「各メーカーの車両展示」などのほか、「広島まつり」として、お好み焼きをはじめとする広島の名産品も楽しめた。
一気にドライ路面になった公式予選
レース当日の9月2日は朝から雨模様で、予報では午後から晴れとなる天気。8時に公式車検を受けたあと、10時から雨のなかで30分間の練習走行が行なわれた。
その後、雨が上がって12時前には晴れ間も出る天候となり、公式予選が開始された12時25分にはサーキットの路面も乾いてドライコンディションとなった。
予選には、本戦で最終の第5ドライバーを務める予定の岡本氏が挑み、ベストラップは1分11秒915で26台中19位となった。予選では最初にDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)をONにして走行してしまったため、コーナーへの進入や立ち上がりなどでタイムロス。途中でDSCをOFFにしてベストラップを記録したという。
岡本氏はDSCについては「非常にできがよいのでスポーツドライビングを妨げない。OFFでもそんなに大きな差はない」と話し、レースの予選のように極限までタイムを縮めるとき以外では、DSCをONにしたままでもまったく問題がないとした。逆にウェットコンディションの場合は、DSCがONのほうがよいタイムが出る可能性があると指摘した。
予選の結果、ポールポジションは「ベストカー&おと週ロードスター」(山野哲也氏ドライブ)でタイムは1分10秒385、セカンドグリッドは「ENGINE ROADSTER」(大井貴之氏ドライブ)でタイムは1分10秒738、サードグリッドは「Tipo/Daytonaロードスター」(壺林貴也氏ドライブ)で1分10秒913だった。
本戦スタート。実は燃費競争だった?
16時前にコース上で「東京おとめ太鼓withSAYA」による激しい太鼓のパフォーマンスが行なわれたあと、ローリングスタートでメディア4耐の本戦がスタートした。4時間の耐久レースとなり、今回は使用できるガソリンの量が10L減ったことで、各車ともペースを落としての走行となった。
Car Watchチームの第1ドライバーは営業・瀬戸。ハンデのタイム消化で、1周目からピットに入る上位クラスのチームがあるなどの影響で、予選順位から4位アップの15位で1周目を通過。その後、燃費とラップタイムを調整するなかで、20位前後で周回を重ねる。
「燃費走行を心がける」と言っていた営業・瀬戸は1分20秒台でスタートするものの、その後は1分23秒~1分25秒台と手探り状態。燃費のチェックはドライバーが車載の燃費計を読み上げ、通話によってピット側で確認していく。ちなみにこのとき、トップチームは1分15秒~16秒台あたりで走行している。その後、10周を超えたあたりから1分18秒~19秒台にペースが上がり、周回を重ねていく。
ここでCar Watchチームの燃費の話をすると、2016年は70Lの燃料をほぼゼロになるまで使用。174周(355.83km)を走行したことから、燃費は5.08km/L。2017年は180周(368.10km)を想定しており、60Lの燃料で走りきるには燃費は6.14km/Lを守らなければ、途中でガス欠となりリタイアとなってしまう。
計算上は6.14km/Lを維持すればよいが、実際には車両の燃費計の誤差が低燃費方向になるとされるため、レース中の燃費計はもう少し上の数値を目指したい。ガス欠をしないようにするためのマージンをとって、車載燃費計の表示は6.7km/Lを目指して走行した。
目標燃費は6.7km/L。慎重に周回を重ねる
16時49分に第2ドライバーの西村直人氏に交代。「燃費はそのままでタイムを上げて」というピットの無茶な指示に応え、1分16秒~17秒台で走行を重ねながら、燃費はあまり下げずに走行。一時は7位まで順位を上げ、スタートからのトータル燃費は車載表示で6.5km/Lで走行し、第3ドライバーに交代した。
走行を終えた西村氏は、タイヤの違いをふまえながら「ND型ロードスターはタイヤに依存しない」と指摘、「最終コーナーで自分のラインを見つけると、セオリーどおりのラインでなく、変則的なコーナリングラインをとろうとしても、大きな挙動を与えない限り走っていける。それがNC型とは違うところ」とコメントした。
第3ドライバーの石川和也氏は燃費を意識した走行で、1分17秒~18秒台で走行。ところが、不意にドライバー側に音声が通じなくなるトラブルが発生した。ここまで毎周燃費やペースの情報を交換し、先行車を抜く際にもピットで先行車の周回ペースを確認してから抜く指示を出すなど、燃費について細心の注意をはらって走行してきたが、ピットとドライバーのコミュニケーションが途絶えることは作戦の崩壊につながる。
そこで石川氏の当初の走行予定時間を若干短くし、サインボードでピットインの指示を出して早めに第4ドライバーの編集部・小林に交代した。
20Lを給油してラストスパートへ
第4ドライバーに交代するピットインで、同時に給油を実施。20Lを追加して、この燃料でゴールまで走りきる。なお、ペナルティを受けるものの、さらに追加給油して走行を続けることもできるが、これはリタイアを避けるための最後の手段だ。
第4ドライバーの編集部・小林は順調に走行を重ね、燃費は6.5km/L~6.7km/L付近を維持。19時を過ぎて最後のドライバーである岡本氏に交代した。
毎回、メディア4耐のCar Watchチームのトリを務めている岡本氏。燃料の残りを使い切りながらゴールを目指すことになる。2年前のND型ロードスターの初年度は、最終ラップでガス欠という苦い経験があるが、その苦い経験を活かし、2016年は燃料をほぼゼロまで使い切る走行を見せた。
今回も燃費計、燃料計をにらみながら走行を続けるが、残り30分となったところで18位を走行。各車ともドライバー交代やハンデの消化を済ませているため、これが最終順位につながるものとなる。燃料が減った初年の今回だからこそ、最後の最後で燃料不足になるクルマも想定されたが、上位の壁は厚かった。
残り10分を切って16位。最後になってガス欠を恐れてペースダウンするクルマもあるなか、残量のめどがついたクルマは逆にペースアップ、Car Watchチームの順位は上がらない。それでも、これまでの燃費計とガソリン残量メーター、ガス欠警告灯を頼りにしながらペースを探る。
残り5分の段階では15位となったものの、スパートをかけるクルマもあり、最後に期待していた順位の大きな変動はなく、16位でゴールした。
4時間の走行を終えて、来年こそは
チェッカー直前でガス欠になるクルマもあるなかで、Car Watchチームは無事16位完走。周回数は179周。トップから3ラップ差となった。正確な燃料の残量までは不明だが、チェッカーを受けた時点ではガス欠警告が点灯し、車載の燃費計は6.6km/Lを示していた。
なお、レース後に発表された正式結果では、Car Watchチームは1つ順位が上がって15位となっている。
ガス欠が心配された今回のメディア4耐だが、ゴールしてみるとチェッカーを受けられなかったクルマは26台中の5台にとどまった。Car Watchチームも燃費に注意しながら走行を重ねていたが、上位チームはただ速いだけでなく、燃費の研究もさらに上手だったと言えるだろう。
周回数も1位のJ-waveポテンザロードスターは182周。2016年よりも燃料が少なくなっているレギュレーションで、2016年の1位(ホットバージョンロードスター)が記録した180周よりも増え、平均速度も91.734km/hから92.566km/hにアップ。給油量の減少やタイヤ変更のなか、2016年を超える数値を出している。
Car Watchチームは、事前に目標として掲げていた「順位1桁台」には届かなかったものの、条件が変わったなかで無事完走。ラストドライバーを務めた岡本氏は「走ってみると発見したことも多くあり、今、この状態でまた予選をしたい」とコメント。次回への意欲を表した。