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トヨタ、KDDI、応用地質、IoTとビッグデータ分析を活用した防災・減災システムの実証実験実施で合意

5月8日開幕の「アジア太平洋地域ITSフォーラム 2018 福岡」でコンセプトデモ

2018年4月24日 発表

「国・自治体向け災害対策情報支援システム」のイメージ

 トヨタ自動車、KDDI、応用地質の3社は4月24日、IoTやビッグデータ分析の最新技術を活用する「国・自治体向け災害対策情報支援システム」について検討し、2019年の商用化を視野に入れた実証実験を行なうことで合意した。

 近年、各自治体では地震や台風、局地的大雨、土砂災害、雪害といった自然災害の多発に対応するため、防災情報の収集・分析・伝達についての体制作りが行なわれ、道路の事前通行規制や発災後の通行規制、住民に対する避難勧告発令などの警戒避難対応が実施されている。

 この中で自治体は、高齢化による避難行動の要支援者の増加、温暖化に伴う異常気象の増加や災害の大規模化・広域化・複合化への対応、地域の過疎・過密化やインフラ施設の老朽化に伴う対応など、これまで以上に地域防災の体制強化が求められているという。

 このシステムはこれらの課題を解決するため、3社が有するビッグデータを融合・分析し、防災情報を効率的に収集・分析する手法、災害時の最適な救援手段を推定する手法などについて検討するものとなる。

 同システムではトヨタの「コネクティッドカー」から得られるプローブデータ、KDDIの人口動態データ、応用地質の各種災害モニタリングセンサーデータに加え、気象情報などの公的データを融合。さまざまな防災情報の生成を目指す。このシステムを使うことで、自治体は通行可能な道路網を把握して、リアルタイムで網羅的に災害時や日常のインフラ監視体制を整えることが可能になり、避難勧告や通行規制などの警戒避難対応における意思決定の精度とスピードが向上。地域住民の安全な暮らしが守られるようになるという。

国・自治体向け災害対策情報支援システムの紹介ムービー(4分33秒)

 実用化に向けて2018年中に実証実験を始め、2019年には同システムの実用化を目指す。今後はシステムの実用化に向けて参画を希望する企業とも広く連携し、構想やシステムをさらに進化させていくとともに、国や自治体だけでなく、民間企業を対象にする各種サービスの実施についても検討していく。

 なお、5月8日から福岡県福岡市で開催される「第16回アジア太平洋地域ITSフォーラム 2018 福岡」の会場に同システムのコンセプトデモが用意され、事業構想に関する展示と説明が実施される。

システムの全体像