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KDDI、応用地質、トヨタ、スマートフォン+クルマのプローブ情報などを使った「国・自治体向け災害対策情報支援システム」説明会
2018年度中に実証実験開始、福岡県とは協議中
2018年4月24日 21:54
- 2018年4月24日 発表
KDDI、応用地質、トヨタ自動車は4月24日、スマートフォン+クルマのプローブ情報などを使った「国・自治体向け災害対策情報支援システム」の説明会を都内で開催した。
これは、KDDIの持つスマートフォンの人口動態情報、応用地質の持つ水位計・傾斜計・地震計・冠水情報などのデータ、トヨタ車から提供されるプローブ情報(ABS情報、交通情報プローブ、ハザードランプ作動、外気温など)を組み合わせ、災害情報を迅速に把握しようというもの。自動車や応用地質のセンサーから送られるIoT(モノのインターネット)ならではの情報を、KDDIの持つデータ分析基盤にある人口動態データにミックス。分析・集計・秘匿をして契約者である国の組織や自治体に提供していく。
システム利用者はこれにより、迅速に人口動向、異常冠水などの災害情報をワンストップシステムで見ることができ、きめ細かな災害対策を行なうことができるほか、通行可能な道、空いている避難場所が一目で分かり、避難対策も迅速に行なえる。
説明会には、KDDI ソリューション事業本部 ビジネスIoT推進本部 ビジネスIoT企画部長 原田圭悟氏、応用地質 代表取締役社長 成田賢氏、トヨタ コネクティッド統括部 データ活用企画グループ長 田村誠氏が登壇。それぞれの役割について説明を行なった。
事業主体となるKDDIの原田氏は、KDDIの人口動態データは15分ごとに更新しており比較的リアルタイムに人の集中状況が分かるため、応用地質のデータやトヨタ車のデータが加わったこのシステムがあることによって自治体の負担が減ることを解説。2018年度中の実証実験開始を目指し、2019年度の実用化を視野に入れているという。
事業の課金形態についても、「年額なり月額なり、年間数十万とか(月額)数万というレベル」であるとした。すでに、来週地元で「第16回 アジア太平洋地域ITSフォーラム」が開催される福岡県をはじめ複数の自治体に提案中であるとし、福岡県とは鋭意協議中であるとのこと。
トヨタ車が提供するデータとは?
トヨタは2016年11月にトヨタ コネクティッド戦略を発表。2017年11月にはトヨタコネクティッド株式会社(代表取締役社長 友山茂樹氏)を設立し、「人とクルマと社会をつないで豊かで心ときめくモビリティ社会を創造する」という企業理念のもと“つながるクルマ”を積極的に推進している。
この“つながる”の部分で使われているのがDCM(専用通信機)で、そのトヨタとグローバル通信プラットフォームを共同構築していくとの発表を行なっているのがKDDIになる。
トヨタは、今回の災害対策情報支援システムについては、トヨタ車から前述のようにABS情報、交通情報プローブ、ハザードランプ作動、外気温などを提供。例えばABS情報であれば、頻繁にブレーキがABSレベルまで作動するのはそこに何か問題がある地点であるのが分かり、外気温データからは路面凍結などの予測ができる。交通情報プローブでは、24時間以内に3台以上のクルマが通った場合は“通行可能な道”と分類されているとのことで、それ以下は通れなかった道となる。この情報により、災害時の通行可能/不可能が分かり、避難や物資輸送などで非常に力になることは、各種震災などで証明されているとおりだ。
ただ、クルマユーザーとしてはプローブ情報などを提供するのはよいが、それによるユーザーメリットが少しでもあればうれしいのは事実だ。説明図ではクルマからのデータアップロードはあったが、ダウンロードがなかったためトヨタ 田村誠氏に確認したところ、原理的にはできるが、今回の実証実験ではそこまで踏み込まないとのこと。KDDIの人口動態データ、応用地質の冠水データなどを受ける取ることで、災害地に近づかないなどのことが可能になるため、「将来的には、クルマユーザーにもメリットのある情報を提供していきたい」とのことだった。