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トヨタ、TRIがオープンソースの自動運転シミュレーター「CARLA」開発に10万ドル助成

「GitHub」上で公開するシミュレーター・ソフトウェア

2018年6月21日 発表

CARLA シミュレーション画面イメージ

 トヨタ自動車の米国で人工知能等の研究開発を行なう子会社TRI(Toyota Research Institute)は6月21日、オープンソースの自動運転シミュレーター「CARLA(Car Learning to Act)」の開発促進に向け、バルセロナ自治大学の研究センターCVC(Computer Vision Center)に10万ドルを助成すると発表した。

 CARLAは、現実世界では検証が困難な状況下においても自動運転車の安定性を担保するべく開発した、自動運転システムの開発と検証に向けたシミュレーター・ソフトウェア。同シミュレーターはCVCが開発して、オープンソースとしてソフトウェア開発のプラットフォーム「GitHub」上で公開している。

CARLA シミュレーション画面イメージ

 CARLAでは、現実に起こりうるさまざまな走行環境を提供しており、ユーザーは各プロジェクトのニーズに応じて環境を拡張・修正しながら運転シミュレーションを行なうことが可能。

 TRIは、CVCへの資金提供や技術的支援を通じて、CARLA開発チームの拡大やシミュレーターの性能向上に寄与する。

 TRIの運転シミュレーション担当ディレクターであるヴァンゲリス・コッケヴィス(Vangelis Kokkevis)氏は、「技術的進歩や成長は、産学の連携や地域社会からのサポートにより実現するもの。オープンかつ共通のシミュレーション・プラットフォーム開発を推進することにより、TRIと産学のパートナーは、より簡単にコードや情報、データなどを共有できるようになる」とコメント。

 CVCのプロジェクト責任者であるアントニオ・ロペス(Antonio López)教授は、「CARLAは、現実世界の制約を越えてAIドライバーの教育・診断をサポートすることにより、誰もが自動運転研究に携われるようになることを目指して開発された。CARLAの開発においては、エンジニア、デザイナー、科学者が一丸となって取り組んでいる。我々はCARLAが円熟を迎えるまで研究開発を継続する必要があり、トヨタからの資金提供は大変貴重なものである」とコメントしている。