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豪華で華やかな「ランボルギーニ スーパートロフェオ・アジアシリーズ 2018 第3戦 鈴鹿」密着レポート

14台の「ウラカン スーパートロフェオ EVO」が鈴鹿サーキットを疾走

2018年6月30日~7月1日 開催

ランボルギーニ スーパートロフェオ・アジアシリーズ 2018 第3戦 鈴鹿のレーススタートシーン

 イタリアのスポーツカーメーカーであるランボルギーニは、同社のコンペティションマシンである「ウラカン スーパートロフェオ EVO」を使った“世界最速”を謳うワンメイクレース「ランボルギーニ スーパートロフェオ」シリーズを開催している。

 このレースは2018年で初開催から10周年を迎えたもので、米国、欧州、アジアと3つのグループに分かれて、同一車種、同一ルールで開催される世界規模の大会となっている。

 アジアシリーズは4月14日~15日(現地時間)にマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで開幕。第2戦がタイのチャン・インターナショナル・サーキット、第3戦が日本の鈴鹿サーキット、第4戦が富士スピードウェイと日本での開催が続いたあと、第5戦は中国に移動して上海インターナショナル・サーキットでのレースとなる。そして最終戦となる第6戦がイタリアのバレルンガ・サーキットで行なわれる。

 なお、各大会とも2日間の日程で行なわれるが、両日ともに予選と決勝があるので、内容は全6大会で12レースとなる。また、最終戦の第6戦では各シリーズの上位ランカーのみで争われるワールドファイナルレースも行なわれる。

 レースで使用するウラカン スーパートロフェオ EVOは2018年から導入が開始されたニューマシンなので、日本では鈴鹿サーキットで6月30日~7月1日に開催された第3戦が初お披露目となった。そこで、日本でのランボルギーニ車販売を担当するアウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパンは、このレースを報道向けに公開。同時にアウトモビリ ランボルギーニで日本と韓国を担当するカントリーマネージャーのフランチェスコ・クレシ氏によるメディアプレゼンテーションを実施した。

ランボルギーニ スーパートロフェオ・アジアシリーズの第3戦は、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催された。この日はプランパン GTシリーズ アジアの第5戦と第6戦も開催されていたので、スーパートロフェオ・アジアシリーズのピット作業はパドック内の仮設テントで行なわれた
このレースでは海外チームの参戦も多いので、ピットの雰囲気も独特。海外のサーキットに行かずとも、海外のレースを観戦するような気分になるかも
レースの合間には、ランボルギーニオーナーによる鈴鹿サーキットのフルコースを使ったパレードランも実施された
ランボルギーニ スーパートロフェオのタイヤはピレリのワンメイクなので、ピットの横にはピレリのサービステントも設けてある
ピレリのスタッフは、各レースに帯同するレギュラースタッフと日本開催のみ担当する日本人スタッフの半々とのこと
こちらは招待客用となるランボルギーニのホスピタリティスペース内部。高級スポーツカーメーカーだけに豪華な作りになっていた。レーススポンサーである高級時計メーカー ロジェ・デュブイのブースなど設けられている
ホスピタリティではイタリアンのケータリングも用意されている
アウトモビリ ランボルギーニ カントリーマネージャーのフランチェスコ・クレシ氏

 ホスピタリティ内に設けられたステージで行なわれたアウトモビリ ランボルギーニ カントリーマネージャーのフランチェスコ・クレシ氏によるプレゼンテーションの内容を紹介しよう。

 今回のプレゼンテーションはホスピタリティに足を運んだ招待客に向けた内容なので、日ごろのメディア向けの発表とは内容が異なるイメージで、スピーチ内でとくに強調していたことは、ランボルギーニの成長とこれからの展開についてとなった。

 まずはランボルギーニの世界での販売台数だが、2010年は1302台だったものが毎年順調に販売台数を伸ばし、2017年には3815台までになっているとのこと。そして国別の販売データでは、2017年の日本での販売台数は411台で、これはアメリカに次いで2番目に多い数字だ。それだけにクレシ氏からは「日本はとても重要なマーケットになっている」いう発言もあった。

ランボルギーニの世界での販売台数の推移。7年連続で伸びている
こちらは国別のグラフ。アメリカが圧倒的だが、日本は2番手に付けている。日本は世界でもランボルギーニファンが多いとのこと
売上額のグラフ。2017年は10億ユーロを超えたとのこと。前年比でも11%アップ

 次に将来に向けた取り組みだが、現在進めていることとして工場の拡張が挙げられた。敷地面積は2015年の倍になる規模ということだが、これは既存車種を増産するためのものではなく、あらたにデビューした「ウルス」の製造に備えてのことだという。

 また、ランボルギーニは“もっと理想的で贅沢なスポーツカーブランド”になるため、新しい技術を開発する投資にも力を入れていて、「ウラカン ペルフォルマンテ」に採用した新素材の「フォージドコンポジット」もその成果の1つ。この技術を使って実現したのが最先端のエアロダイナミクス技術である「ALAシステム」だと語った。

プレゼン資料
ランボルギーニ独自の技術「フォージドコンポジット」と「ALAシステム」を搭載した「ウラカン ペルフォルマンテ スパイダー」
アウトモビリ ランボルギーニのアジア地区モータースポーツコーディネーター ジョン・フリン氏

 続いては、アウトモビリ ランボルギーニのアジア地区モータースポーツコーディネーターであるジョン・フリン氏が登壇。ランボルギーニのレース活動と2018年から投入したニューマシンであるウラカン スーパートロフェオ EVOついて解説した。

 ランボルギーニにはスクアドラ・コルセというレース部門があり、そこがランボルギーニのコンペティションマシンを開発。スーパートロフェオのレース運営も行なっている。

 スーパートロフェオは2009年に欧州でスタートして成功を収めたあと、アジアシリーズが開幕。その後10年間で279回のレースを開催し、レースでの総走行距離は3万2000kmにも及ぶ。そしてフリン氏によると、このレースはランボルギーニにとって非常に重要なものになっているということだ。

フリン氏のよるプレゼンの内容
ランボルギーニ スクアドラ・コルセが手がけたスーパートロフェオ用のレースカー。2009年に「ガヤルド スーパートロフェオ」、2013年に第2世代のガヤルド スーパートロフェオ、2015年からウラカン スーパートロフェオとなった
2018年からレース投入したウラカン スーパートロフェオ EVO。「新しいレーステクノロジーを取り入れたイノベーター」とフリン氏は表現した
ウラカン スーパートロフェオ EVOはリアフードのフィンをはじめ、空力面での性能が従来モデルに対して大幅に向上。安全面もより高めた作りになっている
ウラカン スーパートロフェオ EVOのサスペンション。構造はダブルウィッシュボーン。ホイールはモノロック式で前後18インチ。タイヤはフロントが305/645 18、リアが315/680 18
駆動方式は2WD(MR)。エンジンはV型10気筒 5.2リッターで最高出力は620CV/8250rpm、最大トルクは570N・m/6500rpm。トランスミッションは6速シーケンシャル
車内の様子。パワステは付いているがエアコンはないので、気温が高いときのレースではクールスーツなどを使用する
2018年のランボルギーニ・スーパートロフェオの開催スケジュール。欧州、アジア、北米のシリーズ戦があり、11月には各シリーズの上位者で競うワールドファイナルがイタリアバレルンガ・サーキットで開催される

 このウラカン スーパートロフェオでは、レースを周回数や距離ではなく50分間の時間区切りとしていて、ドライバーも1台に付き2名のエントリーが基本。レース中盤になると一定時間ピットレーンが開放されて、その間にピットインしてドライバー交代を行なうルールだが、ワンメイクレースだけにあまりタイム差のない接戦となりやすいので、いつピットに入るかでレースの展開も変わる。

 ちなみに、レース初心者のシニア向けクラスである「LC(ランボルギーニ・カップ)」のみ、ドライバー1名のエントリーが許可されているが、それでもピットオープン時間にはピットインして、一定時間停車する決まりになっている。

クルマの仕様は各クラスとも同一なので、クラスの見分けは車両後方にあるステッカーのみ。ちなみにに「PRO-AM」はプロドライバーとアマチュアドライバーがチームを組むクラスのこと
フリン氏のプレゼンのあとは、土曜日に行なわれた各クラスの予選で1位を取ったドライバーがステージ上で紹介された
こちらはPROクラス #19のジャック・バーソロミュー選手(左)とジェームス・プル選手(右)
PRO-AMクラス #38の松本武士選手と落合俊之選手
AMクラス #55の浦田健選手と松永大祐選手
LB CUP #88のガブリエーレ・ムローニ選手
PRO #2 ベン・ゲルセコウスキー/リチャード・マスカット
PRO #11 ケイ・コッツォリーノ/アフィク・ヤジッド
PRO #19 ジャック・バーソロミュー/ジェームス・プル
PRO #27 アルマーン・エブラヒム/アニンディス・コンダ
PRO #63 アンドレア・アミーチ/アルトゥール・ヤノス
PRO-AM #33 ミッコ・エスケリネン/ユッソ・ブハッカ
PRO-AM #38 松本武士/落合俊之
PRO-AM #68 エバン・チェン/浅井亮博
PRO-AM #98 クマール・ブラバカラン/マッシミリアーノ・ウィザー
AM #55 浦田健/松永大祐
AM #59 スティラック・ブンチャローン
AM #69 ビアン/ホイリン・ハン
LC #30 松田貴道
LC #44 ポール・ワン/クレメント・リー
LC #88 ガブリエーレ・ムローニ

 2018年のランボルギーニ スーパートロフェオ・アジア 第3戦は、初日、2日目の両日共に快晴のなかで行なわれた。土曜日の決勝1では14台が出走。予選で#38 PRO-AMクラスのHojust Racing 松本/落合組がポールポジションを獲得。続いてPROクラス #19のFFF Racing Teamのバーソロミュー/プル組、3位はPRO-AMクラス #33のLeipert Motorsportのエスケリネン/ブハッカ組が続いた。

 レースはローリングスタート方式で、スタート後の1コーナーはトラブルなく全車クリア。1周目に#38はトップをキープするが、予選7位からジャンプアップしてきた#7が2位に付ける。#19は3位にダウン。その後、6周目に#59がコースサイドでストップ。こちらは再スタートするが、続いて#44もコースアウトしたことでセーフティカー導入となった。

 このセーフティカーランの間にピットレーンがオープンされると、各車ピットに入り始める。#38も先にピットイン。#2はそのまま走り続けてトップ3は#2、#19、#63となる。#38は中段でピットアウトしたため、前走車を抜くのに手間取っていて10位となっていた。

 ところが15周目、その#38が車両火災で最終コーナーでストップ。これによって再びセーフティカーが導入された。

 レース残り2分ほどになってセーフティカーランが終わり、残る1周で順位をかけた全力アタックが開始。ここでミスなく走りきった#2がレース1で優勝した。2位は#19、3位は#11と、上位3台は全てPROクラスが占めた。

レース1のスタート。トラブルもなくPRO-AMの#38がトップでクリアする
レース1の様子
PROクラス レース1の表彰式

 日曜日に行なわれたレース2。レース前に実施されたピットウォークには大勢の観客が足を運び賑わった。

 レース2のスターティンググリッドは#98、#63、#19。レース1で火災が発生した#38は修復が間に合い6位に付けた。

7月1日に行なわれたレース2。予選上位は#98、#63、#19と並ぶ。レース1優勝の#2も4位に付ける

 そして50分の決勝レースがスタート。レース1に続いてトラブルのないスタートとなり、上位はしばらく予選順位どおりの展開となったが、後続では最後尾スタートだった#11が怒濤の追い上げ。1周目から一気に9位まで順位を上げて、3周目に8位、8周目には5位まで順位アップを果たした。

 レース開始から29分ほど経ったころにピットがオープン。周回数で言うと9周目だ。このタイミングで2位の#63Wはじめ、上位陣が続々とピットインしていったが、トップの#98だけはなかなかピットに入らず、結局ピットクローズギリギリまで引っ張った。なお、ピットインのタイミングで#11はさらに順位を上げて3位になっていた。

 ドライバー交代を終えた#98がトップのままピットアウトするが、後方からは#63と#11が迫る。このレースではタイヤ交換はないので、アウトラップと言っても即戦闘態勢に入れるが、ドライバーがまだ落ち着いていないためか、#98は#63&#11に攻められS字でラインを乱し、ゼブラに乗り上げたあとに姿勢を崩してそのままクラッシュパッドへ。残りのレース時間が18分というところでリタイアになってしまった。

 このアクシデントでレース2もセーフティカーが入り、残り3分でレース再開。#63、#11、#19の順で1コーナーに飛び込んでいく。そしてその順位のままフィニッシュとなった。

ローリングスタート前のシケイン。アウト側がポールの#98だが、ピットアウト後のスピンでクラッシュし、リタイアしている
最後尾から追い上げてきた#11(先頭の車両)が2位に入った
レース2優勝は、予選2位スタートの#63。後方では#11と#19、そして#33が僅差のバトルを繰り広げている
レース2の表彰台。優勝は#63のアミーチ/ヤノス組。2位は#11 コッツォリーノ/ヤジッド組。3位は#19 バーソロミュー/プル組