ニュース

メルセデス・ベンツ、AIも用いた新開発の対話型インフォテイメントシステム「MBUX」搭載の新型「Aクラス」。322万円から

「暑い」と言うだけで空調をコントロール

2018年10月18日 受注開始

322万円~362万円

新型「Aクラス」の受注を開始(写真はA 180 Style)

 メルセデス・ベンツ日本は10月18日、新型「Aクラス」の受注を開始した。価格は「A 180」が322万円、「A 180 Style」が362万円。いずれもステアリング位置は右のみの設定。

 新型Aクラスは、新開発の対話型インフォテイメントシステム「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)」や部分自動運転を実現する最新の安全運転支援システムを採用するなど、これまでSクラスなど上級モデルに搭載されていた多くの機能を採用。「Aクラス」「Bクラス」「CLA」「CLA シューティングブレーク」「GLA」で構成される、新世代のメルセデス・ベンツを牽引する戦略車種を代表するモデルとして新たに生まれ変わった。

 A 180のパワートレーンは、先代の1.6リッターから1.4リッターにダウンサイジングしつつ、出力を14PSアップしたオールアルミニウム製の直列4気筒1.4リッター直噴ターボ「M282」型エンジンを採用する。

モデルエンジン変速機価格
A 180直列4気筒1.4リッター直噴ターボ7速DCT3,220,000円
A 180 Style3,620,000円

静かで振動の少ない、プレミアムなドライブフィールを実現

 エクステリアでは、コンパクトな2ボックスデザインをベースにサイズやプロポーションを最適化し、スポーツ性、ダイナミズム、エモーションを表現。フロントまわりでは低いボンネットとクロームをあしらったフラットなLEDヘッドライト、風になびくトーチを想起させるデイタイムランニングライトとともに、Aクラスのスポーティな印象を強調するスリーポインテッドスターを配したフロントグリルなどを装備。また、リアまわりではモジュール型2分割リアバンパー内蔵のリフレクター、スリムな2分割リアコンビネーションランプなどを採用する。

 空力性能にもこだわり、コンピュータによる気流シミュレーションや風洞実験を実施。前後に設けたホイールスポイラーでホイールまわりの気流損失を抑えたほか、下記の空力対策によってエアロダイナミクスはセグメントトップのCd値0.25を実現。

 加えてウインドノイズも先代に比べて大幅に低減したとし、Aピラーの形状とそれに関連するベルトラインに取り付けた新型ドアミラーに注力。ドアミラーの形状と設置位置も最適化され、ウインドノイズと空気抵抗を低減した。そのほか、ウインドスクリーンまわりのシールの構造や、トリムおよび取り外し可能部品のシールも大幅に改良したという。

空力対策内容

・ヘッドライトの周囲をシール
・新型ドアミラーはベルトラインに配置
・ボンネットとフロントスカートの合わせ目にエアロリップを設置
・大型ルーフスポイラー、サイドスポイラー、スポイラーリップにより空気抵抗と揚力を低減
・エンジンルームおよびメインフロア、リアアクスル、ディフューザーのパネルを大型化したアンダーボディパネル
・リアエグゾーストサイレンサーおよびヒートシールドの形状を改良
・ホイールおよびタイヤの空力特性最適化

 また、新型Aクラスでは静かで振動の少ない、プレミアムなドライブフィールを実現したという。それを実現するべく、開発中は全体的な構造剛性の強化とともに、ボディとサスペンション、パワートレーン間の接続箇所を特に重視したとのこと。これらの振動入力点の剛性については、ロードノイズに関して重要なサスペンション取り付け点で大幅な向上を果たし、室内ノイズがかなり低減したとアピールしている。

人工知能を利用した予測機能も備わるMBUX

 インテリアでのハイライトの1つにダッシュボードのデザインを挙げ、今回初めてインストルメントクラスター上方のカウルを廃止。その結果、翼のような形をしたダッシュボード本体は、一方のフロントドアから反対側のフロントドアまで途切れなく続くデザインとした。

 ダッシュボードは立体形状を持つ2つの水平部分に分割され、下部分はダッシュボード本体から「溝」によって視覚的に分離され、ダッシュボードの手前に浮いているかのように見えるデザインが施された。先代モデルの5倍にあたる全64色に拡大されたアンビエントライト(オプション)もこの効果を高め、下部分の宙に浮いた感じを強調するという。

 また、ショルダールーム、エルボールーム、ヘッドルームが拡大されて居住性が高まるとともに、後席への乗降性が向上。ラゲッジルームは先代から29L増の370Lに拡大され、テールゲートの開口部はこれまでよりも200mm広くなるとともに、ラゲッジルームフロアの長さも115mm拡大した。

 一方で、「ハイ、メルセデス」とクルマに話しかけるだけで起動する新開発の対話型インフォテイメントシステム「MBUX」では、新型自然対話式音声認識機能を採用。目的地入力、電話通話、音楽選択、メッセージ入力・読み上げ、気象情報といった多くのインフォテインメント機能に加え、クライメートコントロール、各種ヒーター、照明などの調整を音声で行なえるようになった。

 従来の音声認識機能は命令語が決まっていて、ユーザーがそのとおりに発話する必要があった。これに対し、今回のMBUXの音声認識機能では事実上ほとんどの命令に従い、インフォテインメントや車両操作関連の文章を認識・理解でき、例えばクライメートコントロールで温度を下げる場合、「温度24℃」という明確な命令ではなくても「暑い」と言えば理解する。

 また、学習機能も備え、クラウド上のソフトウェアモデルによって新しい流行語を覚えたり、時代による言葉の用法の変化を学習したりする。対話の出力においても、これまでのように定型文言ではなく、受け答えがさまざまに変化するとのこと。

 さらにAI(人工知能)を利用した予測機能も備わり、例えば定期的に決まった電話番号へ電話をするユーザーに対しては、その時刻になるとディスプレイに相手の電話番号を「おすすめ」として表示するといったことが可能になるという。

 このほかスマートフォンのコネクティビティ関連機能も拡張され、Qi(チー)規格対応機種の携帯電話を無線充電する「ワイヤレスチャージング機能」を前席に全車標準装備した。

Sクラスと同等の安全運転支援システムを導入

 新型Aクラスには、2017年に発表された「Sクラス」(セダン)と同等の安全運転支援システムをオプション設定した。

 先行車との車間距離はもとより、周囲の交通状況(車両、車線、ガードレールなど平行な物体)を常に監視して、従来よりもステアリングアシストが作動する状況が大幅に拡大。車線が不明瞭または表示されていない場合には先行車を追従するようになった。また、システム起動時に高速道路上で自動停止した場合、30秒以内(一般道は3秒以内)であれば自動再発進が可能となり、渋滞時のドライバーの疲労を低減する。

 そのほか、ドライバーがウインカーを点滅させた場合、行き先の車線に車両がいないことを確認して自動で車線を変更する「アクティブレーンチェンジングアシスト」、走行中にドライバーが気を失うといった万が一の場合には、自動的に車線を維持しながら緩やかに減速・停止する「アクティブエマージェンシーストップアシスト」も搭載した。

 新型Aクラスで採用する「レーダーセーフティパッケージ」の内容は以下のとおり。

アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック (自動再発進機能付)、アクティブステアリングアシスト

「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック(自動再発進機能付)」は、ステレオマルチパーパスカメラとレーダーセンサーにより高速道路などの走行時に先行車を認識して、速度に応じて車間距離を調節。減速が必要な場合、アクセルおよびブレーキを自動調整してスムーズに減速し、先行車が停止した場合は自車も停止する。また、新たに停止している先行車の検知も可能となった。先行車および停止中の車両との距離が突然縮まった場合には、警告灯と警告音でドライバーに知らせる。

 自動再発進機能も備わり、高速道路での渋滞時に自動停止した際、30秒以内に先行車が発進した場合は、ドライバーがアクセルを踏まなくても自動で再発進(一般道では3秒以内)。30秒以上停止していた場合は、アクセルを軽く踏む、またはステアリング上のスイッチを使用して再発進が可能。

「アクティブステアリングアシスト」は、車線のカーブと先行車を、車線が不明瞭な道ではガードレールなどを認識し、車間を維持しながらステアリング操作をアシストする。

渋滞時緊急ブレーキ機能

 ステレオマルチパーパスカメラとレーダーセンサーで、先行車およびその左右の車線を監視。突然渋滞の最後尾が現れた場合などに、前走車との衝突の危険を検知。その左右などに回避スペースがないと判断すると、即座に自動ブレーキが作動し、衝突回避または被害軽減を図る。回避スペースがある場合は、ドライバーの回避操作を優先する。

 ただし、ドライバーが反応しない、または回避操作が遅れて衝突が回避できないと判断した場合には、即座に自動ブレーキが作動。さらに、渋滞末尾で回避操作を行なう空間的余裕がない危険な状況を検知して、通常よりはるかに早い段階でブレーキを自動で作動させる機能も搭載した。

アクティブレーンチェンジングアシスト

 高速道路を走行時にアクティブステアリングアシストが起動している際に、ドライバーがウインカーを点滅させると3秒後に車両周囲を監視しているセンサーが他の車両などとの衝突の危険がないことを確認し、安全が確認された場合に自動で車線を変更。

 また、ドライバーがウインカーを作動させたときに周囲の状況により車線変更ができない場合でも、10秒以内であればシステムが車線変更できるかどうか確認し続け、自動で車線変更を行なう。その際、作動状況をマルチファンクションディスプレイに表示する。

アクティブエマージェンシーストップアシスト

 アクティブステアリングアシストが起動している際に、ドライバーが一定時間ステアリング操作を行なわない場合、警告灯と警告音によってステアリングを握るよう促し、それでもドライバーがステアリング、アクセル/ブレーキ、タッチコントロールボタンの操作の反応がない場合は、さらに警告音を鳴らしながら、緩やかに減速して停止。

 また、車両停止後は自動的にパーキングブレーキがかかることで、後方からの衝突による二次災害を防止する。

アクティブブレーキアシスト(歩行者/飛び出し検知機能付)

 先行車、前を横切る車両や合流してくる車両、歩行者、路上の物体などとの衝突の危険性を感知すると、ディスプレイ表示や音でドライバーに警告。必要な場合はシステムが衝突を回避するために強力な制動力を発揮できるようブレーキ圧を高める。同時に、前席のシートベルトの巻き上げや助手席のシートポジション修正など、衝突時に乗員の最適な姿勢を可能な限り確保するPRE-SAFE機能も作動する。

 ドライバーが反応しない場合はシステムが衝突を避けられないと判断して、最大のブレーキ力で自動緊急ブレーキが作動。衝突の回避もしくは被害軽減を効果的にサポートする。なお、交差点での車両飛び出しにも対応。

緊急回避補助システム

 車両前方にいる車道横断中の歩行者などとの衝突の危険を検知すると、システムが正確なステアリングトルクを計算して、ドライバーのステアリング操作をアシスト。また、回避後の車線復帰も同様にサポートする。

トラフィックサインアシスト

 一般道や高速道路を走行中、カメラが制限速度などの標識を読み取り、ディスプレイに表示し、制限速度を超えた際には警告音を出してドライバーに注意を促す機能も搭載。

アクティブレーンキーピングアシスト

 フロントウィンドウのステレオマルチパーパスカメラが車線を検出し、フロントホイールが走行車線を越えたと判断するとステアリングを断続的に微振動させてドライバーに警告。ドライバーが反応しない場合は自動補正ブレーキによって車両を車線内に戻そうとする。なお、破線の車線走行時には、隣車線の車両もしくは対向車と衝突の危険がある場合にのみ作動する。

アクティブブラインドスポットアシスト(降車時警告機能付)

 リアバンパー左右のレーダーセンサーにより、車両の斜め後ろのミラーで見えない死角エリアに車両や自転車がいることを警告。さらに、30km/h以上で走行時に側面衝突の危険がある時にはブレーキを自動制御して、危険回避をサポートする。追い越し車線に移ろうとして斜め後ろにいる車両に気づかなかった時など、ドライバーの不注意によるミスを予防し、安全な走行を支援する。

 また、エンジン停止から3分間、障害物が後方から近づくとサイドミラー外側の警告灯が点灯し、さらにドアを開けようとすると、警告音を発することで死角から近づく障害物と、開けたドアが接触することを防止する「降車時警告機能」を追加している。

PRE-SAFEプラス(被害軽減ブレーキ付後方衝突警告システム)

 リアバンパーに設置されたレーダーセンサーが後方のクルマを監視して、車間距離と接近速度から衝突の危険があると判断すると、ハザードランプを素早く点滅させて後続車のドライバーに警告するとともに、インジケーターによりドライバーに警告。自車が停止中で後続車が十分に減速しない場合は、後方からの衝突に備えてブレーキ圧を高める。これにより玉突き衝突の回避など二次被害の軽減をサポートする。さらにシートベルトテンショナーも作動させ、衝撃の影響の低減を図る。

PRE-SAFEサウンド

 システムが不可避の衝突を検知すると、車両のスピーカーから鼓膜の振動を抑制する音を発生させ、鼓膜の振動を内耳に伝えるあぶみ骨筋の反射収縮反応を引き起こす。この収縮によって衝撃音の内耳への伝達を軽減。