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【SUPER GT第7戦 オートポリス】予選上位のNSX-GT勢が沈み、決勝は1号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組)が優勝
最終戦は100号車 RAYBRIG NSX-GTと同ポイントでチャンピオン争いに
2018年10月21日 19:44
- 2018年10月21日 開催
10月21日、オートポリス(大分県日田市)でSUPER GT 第7戦の決勝レースが実施された。
GT500クラスの優勝は、予選5位からスタートした1号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組)、同2位は36号車 au TOM'S LC500(中嶋一貴/関口雄飛組)、3位は予選10位スタートの19号車 WedsSport ADVAN LC500(国本雄資/山下健太組)、さらに4位に38号車 ZENT CERUMO LC500(立川祐路/石浦宏明組)が入り、上位4台がLC500勢という結果となった。
GT300クラスの優勝は、予選では10位だった96号車 K-tunes RC F GT3(新田守男/中山雄一組)が大逆転で優勝。2位は同じく予選9位から追い上げた87号車 リーガルフロンティア ランボルギーニGT3(佐藤公哉/元嶋佑弥組)、3位は前戦の第6戦 SUGOで0.057秒差の4位となった34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3(道上龍/大津弘樹組)が初表彰台を獲得した。
GT500クラス、GT300クラスとも予選順位と一変した展開に
前日に行なわれた予選では、GT500クラスでトップ3をNSX勢が占め、GT300クラスでもトップの25号車 HOPPY 86 MCをはじめとするマザーシャシー勢とJAF-GT勢が上位に名を連ねたが、決勝レースはまったく異なる展開となった。
GT500クラスでは予選4位の36号車 au TOM'S LC500(中嶋一貴/関口雄飛組)が1周目から100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組)を抜いて3位に順位を上げ、さらに予選2位スタートの17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/小暮卓史組)を猛追。そこからGT300クラスの後方グループにトップが追いつくと、上位3台の差が縮まり、11周目にGT300クラスのマシンを利用して36号車は2位に、続けて12周目の第1コーナーでトップに浮上する。
後続でもNSX勢とLC500勢の順位が次々に上がっていく展開に。レースは20周目にGT300クラスの30号車 TOYOTA PRIUS apr GT(永井宏明/織戸学組)が第3セクターでスピンしてコース近くのグラベルでストップ。25周目までセーフティカーが導入されることになった。
序盤の流れを変えるべく、レース再開直後の25周目で100号車 RAYBRIG NSX-GTが、続く26周目に17号車 KEIHIN NSX-GTなどが立て続けにピットインし、逆にLC500勢はコース内で走行を続けて上位をキープ。トップ走行の36号車は30周目にピットインして中嶋選手から関口選手にドライバー交代した。
レース周回数3分の2経過時点で、トップ3は19号車 WedsSport ADVAN LC500、36号車 au TOM'S LC500、1号車 KeePer TOM'S LC500となっていたが、19号車 WedsSport ADVAN LC500は最初のピットインでドライバー交代せずにピット時間短縮を図る2ピット作戦で順位を上げており、2回目のピットイン後も3位でコースに戻った。
レース終盤の60周目に、序盤から上位のNSX勢を猛追した36号車 au TOM'S LC500がコーナー出口でふらつくなどペースダウン。1号車 KeePer TOM'S LC500が第2セクターでオーバーテイクしてトップに立つと、そのままの順位でチェッカーフラッグを受けた。
NSX勢はレース中盤で17号車 KEIHIN NSX-GTが、アウトラップで追い抜いた38号車 ZENT CERUMO LC500を、GT300クラスのマシンなどを利用して8周にわたってブロックしたが、全体のベストタイムを連続して記録していた38号車 ZENT CERUMO LC500にパスされ、さらには100号車 RAYBRIG NSX-GTに先行を許し、最終的な順位は100号車 RAYBRIG NSX-GTが5位、17号車 KEIHIN NSX-GTは6位でレースを終えている。
このほか、予選トップで決勝レースに臨んだ8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/伊沢拓也組)は、中盤からペースが上がらず苦しんでいたところを、48周目の第2セクターで23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)と接触してスピン。ノーポイントの12位となった。GT500クラスは出走の15台全車が完走している。
この結果、シーズン最終戦を前にした第7戦のポイントランキングは、同じ67ポイントで100号車 RAYBRIG NSX-GTと1号車 KeePer TOM'S LC500で並び、ランキング4位の8号車 ARTA NSX-GTまでシリーズチャンピオンの可能性を残す結果となった。
GT500クラス 決勝公式結果(上位10チーム)
1位:1号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組)
2位:36号車 au TOM'S LC500(中嶋一貴/関口雄飛組)
3位:19号車 WedsSport ADVAN LC500(国本雄資/山下健太組)
4位:38号車 ZENT CERUMO LC500(立川祐路/石浦宏明組)
5位:100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組)
6位:17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/小暮卓史組)
7位:24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/高星明誠組)
8位:39号車 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/小林可夢偉組)
9位:6号車 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也/フェリックス・ローゼンクヴィスト組)
10位:64号車 Epson Modulo NSX-GT(ベルトラン・バゲット/松浦孝亮組)
レース後の記者会見に参加した1号車 KeePer TOM'S LC500のニック・キャシディ選手はチームとレクサスに対する感謝を述べたほか、今日の目標は「100号車を抜くことだった」とコメント。平川亮選手はTRDとブリヂストンへの感謝を口にし、レースの勝因を「ピットタイミング」と説明。「僕が出ていった時にNSX勢の前に出られて、先行する36号車とトップ争いをして、最後は抜くことができました」と語った。
また、シリーズランキングトップタイで臨む最終戦に向けては、キャシディ選手は「昨年も最後のレースでポイント差が少なく、そこで勝てた経験が自信につながっている。ただ、最近のホンダは調子がいいので、とくにもてぎは追い抜きが難しいので、僕も皆さんと同じように、最後どうなるか楽しみにしている」と述べた。
GT300クラスは予選10位の96号車 K-tunes RC F GT3(松井孝允/坪井翔組)が大逆転
GT300クラスでは、セーフティカー走行が終了するまでは予選トップの25号車 HOPPY 86 MC(松井孝允/坪井翔組)を、予選3位から順位を上げた5号車 マッハ車検 MC86 Y's distraction(坂口夏月/平木湧也組)が追い上げ、同じトヨタ 86+マザーシャシーを採用する2台の争いが繰り広げられたが、中盤から勢いが入れ替わってGT3勢が上位をキープ。結果的に上位6台がGT3マシンとなった。
5号車 マッハ車検 MC86 Y's distractionは34周目までピットインを遅らせて挽回を図ったが、ピットイン時のタイヤ交換で左リアタイヤが上手く固定できないトラブルで後退し、7位でフィニッシュしている。
また、GT300クラスはレース終盤に白熱したバトルが繰り広げられ、予選7位から決勝レースに臨んだ34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3が、54周目の第2セクターで65号車を抜いて4位浮上。さらに残り5周で3位を走行する11号車 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信組)に肉薄。残り4周となったばかりの1コーナーで34号車がイン側に飛び込みオーバーテイクを見せ、チーム初の表彰台獲得となる3位でレースを終えた。
このほかにもポイント獲得がかかる10位争いで、決勝レースをピットスタートした31号車 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/平手晃平組)が9号車 GULF NAC PORSCHE 911(久保凜太郎/久保凜太郎組)を残り2周でパスして1ポイントを手に入れた。
シーズンのポイントランキングでは、4位フィニッシュの55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/ショーン・ウォーキンショー組)がランキングトップをキープ。ランキング2位に65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組)、同3位に31号車 TOYOTA PRIUS apr GTが続き、ランキング6位の11号車 GAINER TANAX GT-Rにも最終戦での逆転チャンピオンの可能性を残す結果となっている。
GT300クラス 決勝公式結果(上位10チーム)
1位:96号車 K-tunes RC F GT3(新田守男/中山雄一組)
2位:87号車 リーガルフロンティア ランボルギーニGT3(佐藤公哉/元嶋佑弥組)
3位:34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3(道上龍/大津弘樹組)
4位:55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/ショーン・ウォーキンショー組)
5位:65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組)
6位:11号車 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信組)
7位:5号車 マッハ車検 MC86 Y's distraction(坂口夏月/平木湧也組)
8位:7号車 D'station Porsche(藤井誠暢/スヴェン・ミューラー組)
9位:10号車 GAINER TANAX triple a GT-R(星野一樹/吉田広樹組)
10位:31号車 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/平手晃平組)
レース後の記者会見に参加した96号車 K-tunes RC F GT3の中山雄一選手は「スタートすると、予選では速かったヨコハマタイヤ勢も決勝はペースがよくなくて、(自分の担当周回が)『残り5周だから頑張って』と言われてからペースを上げたらタイムが1秒上がって、ピックアップも取れて最高の状態になり、状態がよかったので8周走ってマージンを稼げました」と自身の走りを紹介。
フィニッシュドライバーを務めた新田守男選手は「とにかく今回はブリヂストンタイヤのパフォーマンスが非常によかった」と語り、本当に感謝しているとコメント。予選では思ったようなパフォーマンスが出せなかったとしつつ、これまでのデータから決勝ではいいところまでいけると思っていたと明かし、レース展開ではセーフティカーの導入にも助けられたと述べ、今回はピット作業がシーズン中でベストと言えるほど早く完了したことがクラス優勝の結果につながったと語った。