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ホンダ、最大熱効率40.5%を実現した1.5リッターエンジン+2モーターハイブリッドの新型「インサイト」
日本仕様専用のクロームメッキグリルで“大人の品格”を表現
2018年12月13日 11:30
- 2018年12月14日 発売
- 326万1600円~362万8800円
本田技研工業は、新型ハイブリッドセダン「INSIGHT(インサイト)」を12月14日に発売する。価格は326万1600円~362万8800円。
インサイトは1999年11月に3ドアハッチバックスタイルの2人乗りクーペとして初代モデルがデビュー。5速MT車はアルミボディなどによる軽量化で実現した820kgの車重と1.0リッターVTECエンジンに「ホンダIMAシステム」を組み合わせたハイブリッドシステムにより、当時の世界最高燃費となる35.0km/L(10・15モード燃費)を達成して大きな話題となった。2009年2月に発売された2代目モデルでは、より実用性の高い5人乗りの5ドアハッチバックスタイルにボディをあらためつつ、189万円(当時の消費税は5%)の価格設定によってハイブリッドカーの普及を目指した。
3代目となる新型インサイトでは、グローバル市場の需要に対応するため、独立したトランクを持つミドルセダンに転身。ホンダでは「燃費世界一への挑戦から生まれたインサイトは、魅力世界一のミドルセダンに進化する」としている。
グレード | エンジン | 変速機 | 駆動方式 | 価格 | WLTCモード燃費 |
---|---|---|---|---|---|
LX | 直列4気筒DOHC 1.5リッター+SPORT HYBRID i-MMD | CVT | 2WD(FF) | 3,261,600円 | 28.4km/L |
EX | 3,499,200円 | 25.6km/L | |||
EX・BLACK STYLE | 3,628,800円 | 25.6km/L |
デザインのグランドコンセプトに「上品質な本物価値」を意味する「Prime」を設定した新型インサイトは、外観デザインで「品格」の表現を重視。現在では環境対応車が普及していることを受け、内外装のデザインではハイブリッドカーであることのアピールを止め、乗る人の価値観や美意識を表現することを第一としている。
フロントマスクではインラインタイプのフルLEDヘッドライトを全車で採用。ロービーム6灯、ハイビーム3灯で構成するヘッドライトはクロームバーで上下に分割され、フロントフェンダーまで食い込む横幅と合わせてシャープさとワイド感を演出。ライトのインナーレンズは独自の光学カットが施された肉厚タイプとなり、非点灯時にもクリスタルのような美しさでフロントマスクを印象付ける。さらにEXとEX・BLACK STYLEは、バンパーの両サイドにLEDフォグランプを装着し、ロー&ワイドな印象をさらに高めている。
また、外観では先行して発売されている米国仕様との差別化として、ピアノブラック塗装の細い格子状バーの上にクロームメッキを設定。両サイド部分を薄く見えるよう変化を与え、上質で精緻な印象を与えるデザインとしている。これに加え、EXとEX・BLACK STYLEは日本仕様専用のトランクスポイラーを標準装備する。
ボディカラーは「プレミアムクリスタルレッド・メタリック(有料色)」「コスミックブルー・メタリック」「プラチナホワイト・パール(有料色)」「ルナシルバー・メタリック」「モダンスティール・メタリック」「クリスタルブラック・パール」の6色に、EX・BLACK STYLE専用の「ルーセブラック・メタリック(有料色)」を加えた計7種類を用意している。
インテリアのコンセプトは、色気のあるモチーフと細部にこだわった精緻な作り込みを兼ね備える「Green Prime Sedan」。インパネ全体はシンプルな面と線で構成し、視覚的なノイズが少ない高品位な見え方としたほか、センターパネルから助手席側に続くラインに南アフリカ原産の花「カラーリリー」のイメージを与えた。さらに助手席前方にはソフトパッドを大きく使い、徹底した精度管理によるダブルステッチを施している。
また、カラーリリーの花のイメージと呼応して、センターコンソールにはインサイト専用となる8.0型の大画面ナビを設定。このほかにもシフトチェンジをスイッチ操作で行なう「エレクトリックギヤセレクター」を使い、花の奥にある蜜をイメージして、先進デバイスを集中配置しているという。
メーターパネルは7インチの高精細フルカラー液晶パネルとアナログ式のスピードメーターを組み合わせた大径2眼メーターを採用。液晶パネルに表示する「マルチインフォメーション・ディスプレー」では、ハイブリッドシステムの作動状態を示す「パワー/チャージ」のほか、「エネルギーフロー」「航続可能距離/平均燃費」「安全支援情報」などの情報を表示。さらにドライバーのステアリング操作から居眠りや不注意運転などの危険を検知して、「運転注意力レベル」の表示、警報音とステアリングホイールの振動などで危険を知らせる「ドライバー注意力モニター」も選択できる。このマルチインフォメーション・ディスプレーの表示選択は、ステアリングスポーク左側に設置されたロータリー式の「ステアリングスイッチ」で切り替え可能となっている。
フロントシートは先代モデルからサイズアップを実施。シートフレームにホンダの最新技術を使うほか、サイドサポートの厚さを20mm増やし、座面長を30mm延伸。ホールド性を高めて疲れにくさと安心感の演出を両立。また、形状には「コートの襟を立てたようなスタイリッシュさ」を与えている。機能面ではシートヒーターの加熱範囲を最適化し、熱線の高密度化で消費電力を抑えつつ高い昇温性能を発揮する「速暖シートヒーター」を設定し、EXとEX・BLACK STYLEは運転席8ウェイ、助手席4ウェイパワーシートを標準装備する。
6:4分割可倒式のリアシートは、座面下に走行用のリチウムイオンバッテリーやECU、配電盤などを一体化したIPU(インテリジェントパワーユニット)を備えるが、十分なクッション厚を確保して、ウレタン密度のチューニングや着座姿勢の最適化などによって快適な座り心地を実現。後席シートバック中央は格納式アームレストとなっており、ドリンクホルダーも備える。IPUの後席床下配置によってトランクスペース容量は広がり、トランクの前後長は1000mm、最大床面幅は1380mmで、容量は519Lとなっている。
エンジンの最大熱効率は40.5%
新型インサイトのボディサイズは4675×1820×1410mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2700mmで乗車定員は5人。ひとクラス上のDセグメントまで視野に入れて開発されたホンダの新世代プラットフォームを採用。軽量、高剛性、低重心、低慣性を目指して開発された新しい基本骨格では、全体の骨格部材を組み立ててから外板パネルを溶接する「インナーフレーム構造」、リアバルクヘッドに閉断面部材を環状配置してサスペンションからの入力を効率よく分散させる「環状リアバルクヘッド」、大断面のセンタートンネルと井桁状に配置した骨格部材でフロア剛性を向上させる「高剛性・低振動フロア構造」などを特徴としている。
また、ハイテン材(高張力鋼板)の積極採用を推し進め、センターピラースティフナーとリアフレームでは1つのフレーム内で「曲げ耐力に強い」1500MPa級ハイテン材と「エネルギー吸収特性に優れる」550~650MPa級ハイテン材を組み合わせて使う「異強度ホットスタンプ材」の技術を採用。このほかにも求められる強度に応じたさまざまなハイテン材を使い分け、軽量構造と優れた衝突安全性能を両立させている。
足まわりではフロントにマクファーソンストラット式、リアにマルチリンク式のサスペンションを設定し、全車でフロントサスペンションに液封コンプライアンスブッシュを使い、17インチタイヤを採用するEXとEX・BLACK STYLEではリアでも液封コンプライアンスブッシュを装備。微細な振動の吸収で上質な乗り心地を実現している。さらにステアリング操作に対して俊敏に反応し、滑らかな操舵感も実現する「デュアルピニオン可変ギヤレシオEPS」、ステアリング操作に応じてフロントブレーキを作動させ、回頭性や安定性を高める「アジャイルハンドリングアシスト」などを採用して、市街地から高速道路まで軽快で安定感あるハンドリング性能を発揮する。
衝突安全性能では世界各国の基準をクリアする高い乗員保護性能を備え、さらに歩行者保護の観点から「ポップアップフードシステム」を採用。走行中に歩行者などを衝突したことをフロントバンパーなーに備えるGセンサーで検知した場合、アクチュエーターによってボンネットの後方側(キャビン側)を瞬時に約10cm持ち上げ、ボンネットとエンジンルーム内にあるエンジンなどの剛体のクリアランスを拡大。衝突後の歩行者に対する衝撃を緩和できるようにしている。
パワートレーンではエンジンに直列4気筒DOHC 1.5リッター「LEB」型を使い、発電用と走行用の2つを用意する2モーター式の「SPORT HYBRID i-MMD」を採用する。エンジンは最高出力80kW(109PS)/6000rpm、最大トルク134Nm(13.7kgfm)/5000rpm、モーターは最高出力96kW(131PS)/4000-8000rpm、最大トルク267Nm(27.2kgfm)/0-3000rpmを発生。エンジンではアトキンソンサイクル技術とi-VTEC、メカニカルフリクション低減技術を用いたことで、最大熱効率40.5%を達成している。
SPORT HYBRID i-MMDはエンジンとモーターを使い分け、走行状況やドライバーの運転操作などから判断して3種類のドライブモードを自動選択。エンジンを停止させて走行用モーターだけで走る「EVドライブモード」、エンジンで発電用モーターを動かし、発電した電気で走行用モーターを動かす「ハイブリッドドライブモード」、エンジンと駆動輪をクラッチで直結させ、バッテリーやモーターは使わずに走行する「エンジンドライブモード」の3モードが用意されている。
これに加え、ドライバーが好みのモードを選べる「モードスイッチ」も装着。エンジンやモーター、エアコンなどを制御して低燃費走行しやすくする「ECON」、力強いトルク感やスポーティな応答性を発揮する「SPORT」、バッテリー残量が十分な時にエンジンを始動させず走る「EV」の3つのボタンをセンターコンソールに配置し、いずれも選んでいない場合は燃費と走りのトータルバランスに優れる「NORMAL」の設定となる。
操作面ではこのほかに、ステアリングに設置したパドルでアクセルOFF時に発生する回生発電による減速度を3段階で変更できる「減速セレクター」、アクセルペダルの操作時にクリック感(反力)を設定することで高効率なアクセル操作領域を超えたことをドライバーに伝える「ペダルクリック機構」などを用意している。
これらの機能や装備により、WLTCモード燃費はLXが28.4km/L、EXとEX・BLACK STYLEが25.6km/L、JC08モード燃費はLXが34.2km/L、EXとEX・BLACK STYLEが31.4km/Lとなっている。
タイプ | JC08モード燃費 | WLTCモード燃費 | WLTC市街地モード | WLTC郊外モード | WLTC高速道路モード |
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LX | 34.2km/L | 28.4km/L | 25.8km/L | 29.7km/L | 28.8km/L |
EX | 31.4km/L | 25.6km/L | 22.8km/L | 27.1km/L | 26.2km/L |
ADAS(先進運転支援システム)関連の装備では、単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせて利用する安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を全車で標準装備。「衝突軽減ブレーキ(CMBS)」や「誤発進抑制機能」「路外逸脱抑制機能」「LKAS(車線維持支援システム)」など10種類の運転支援機能を採用する。
これに加え、全車で「パーキングセンサーシステム」「ドライバー注意力モニター」を安全装備として装着。EXとEX・BLACK STYLEでは後側方から接近する車両をリアバンパーに内蔵するレーダーで検知して、ドアミラー鏡面のインジケーターを点灯させてドライバーに注意喚起する「ブラインドスポットインフォメーション」も標準装備する。