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日産 西川廣人社長、ルノー 新会長のスナール氏は「パートナーとして尊敬できるし、話も透明性を持ってできる方」

2019年1月24日 開催

日産自動車株式会社 代表取締役社長 CEO 西川廣人氏

 日産自動車は1月24日、同日にルノーで開催された取締役会でカルロス・ゴーン氏が会長兼最高経営責任者を辞任し、新たに取締役会長としてジャン・ドミニク・スナール氏、CEO(最高経営責任者)としてティエリー・ボロレ氏を任命したことを受け、日産自動車 代表取締役社長 CEO 西川廣人氏が記者会見を開催した。

 なお、記者会見の内容はYouTubeの日産自動車公式チャンネルでライブ配信され、現在も会見の全編が視聴可能となっている。

1月24日に実施された「日産自動車記者会見」(55分58秒)

 西川氏は記者会見の冒頭で、この会見は当初、日産のガバナンス(企業統治)を6月に開催する定時株主総会に向けてどのようにしていくかの説明を主眼とするものだったが、同日にルノーの新体制が発足するという動きを受け、ルノーとのアライアンスは日産にとって非常に重要で、大きなパートナーであり筆頭株主であることから、西川氏は新体制発足を「大きなステップ」と表現。2018年11月にゴーン氏が逮捕されてからはルノーの取締役会とコミュニケーションがうまく機能しない状態になっていたが、今後の改善に向けて期待すると西川氏はコメント。アライアンスにとって大きな節目になり、新しいページを開く一歩として新体制発足を大いに歓迎すると語った。

 また、ゴーン氏とグレッグ・ケリー氏の2人を日産の取締役から交代させる臨時株主総会の開催についても、ルノーの新体制発足の影響を受け、早い段階からルノー 新会長のスナール氏にも話し合いに参加してもらい、「新たなガバナンスを進める中で、いっしょに議論をして、いっしょに悩んでいただきたい」と西川氏は説明。正式な決定は日産の取締役会での議論を経てからになるとしつつ、4月中旬をめどに、ゴーン氏とケリー氏に代わってスナール氏が日産の取締役会に加わる臨時株主総会を開催する今後のロードマップについて解説した。

ルノー 新会長に選出されたスナール氏に対して、西川氏は「新たなガバナンスを進める中で、いっしょに議論をして、いっしょに悩んでいただきたい」との期待を述べた

スナール氏は「パートナーとして尊敬もできる」

 会見時間の大半は質疑応答に費やされたが、最初の質問から西川氏の経営責任と進退について問いかけられた。これに対して西川氏は、現状を招いた自身を含む経営陣の責任は重いとしつつ、進退については難しい状況に置かれた会社を正常化していくことに注力して、責任についてはその後に考えたいとした。また、「その後」としたタイミングの具体的な時期についてさらに質問が行なわれたが、まずは6月の定時株主総会までにガバナンスなど山積みとなっている問題を解消していく必要があり、さらには次期体制に会社を軌道に乗せてからバトンタッチしたいとの考えを示し、「できるだけ早く私の果たすべき責任を果たし、次に引き継げる状態にしたい」と答えて明言は避ける形となった。

 ルノーの新しい会長に指名されたスナール氏について、フランスの大統領府と近い関係性を持つとも言われているスナール氏をどのように評価しているかという質問に対しては、「私が承知している限りでは、スナールさんは非常に優れたビジネスマンで経験も豊富である、と。パートナーとして尊敬もできるし、話も透明性を持ってできる方であると私は思っています。直接仕事をした経験はありませんが、大変尊敬できる人物であるということで、(ニュースリリースでは)『全面的に支持します』とありますが、むしろ歓迎ですね。こういった変化を歓迎したいと私は思っております」と西川氏はコメントした。

経営責任について、まずは難しい状況に置かれた会社を正常化することに注力したいと西川氏はコメント

 アライアンスにおける関係性について、今回の会見内でも西川氏はそれぞれが独自性を持って進めていると説明したが、一方でルノーは日産の株式の43.7%を保有する筆頭株主であり、ルノーに拒否されれば日産の意見は通らないのではないかとの指摘について、西川氏は「(ルノーが持つ)43%という比率は大変大きいものであることは間違いないですし、大株主であるルノーを株主として尊重することは当然必要なことです。一方で、アライアンスの仕事はルノーも日産も、そして三菱さんも認めているのは、出資したから何か仕事が進むということではなくて、結局はお互いの立場を対等に認めながら、日々Win-Winの関係を探って実現していく。このエネルギーそのもの、あるいはこの仕事の積み重ねがアライアンスの価値を生んでいるということであります。ここはこれまでの活動で確信に近いものがありますので、各社ゆるぎのないところだと思っています」。

「従って、日々『俺は43%持っているからこうしたい』『私は15%で議決権がないけどこうしたい。けどしょうがないね』なんてことを毎日しているわけじゃないんですね。アライアンスの仕事が価値を生んでいるかどうかを見る尺度は、各社が持つ株式の比率が議論として表に出てこない、アライアンスの契約をどうしようかといったところが表に出てくることなく、短期、中期、長期の仕事を安心してできるベースとしてあるだけで、皆さんがシナジーを出すことに注力している。という状態が最も望ましい状態なんです。43%の株主として意識していないわけではありませんが、アライアンスの仕事として価値を生んでいくことは、先ほど申し上げたような原則で仕事をしていくことに尽きると、双方が経験から揺るぎない確信を持って仕事をしているということだとご理解ください」と解説した。