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ホンダ、2018年度 第3四半期決算説明会。売上収益3兆9736億円(0.4%増)、四半期利益1682億円(70.5%減)で増収減益

「4輪の収益はわれわれとして一番の課題」と倉石副社長

2019年2月1日 開催

本田技研工業の2018年度第3四半期決算説明会の登壇者。左から本田技研工業株式会社 代表取締役副社長 倉石誠司氏、専務取締役 事業管理本部長 竹内弘平氏、事業管理副本部長 経理部長 森澤治郎氏

 本田技研工業は2月1日、2018年度の第3四半期(2018年10月1日~12月31日)、ならびに第3四半期連結累計期間(2018年4月1日~12月31日)の決算を発表。

 第3四半期の連結売上収益は3兆9736億円(前年同期比0.4%増)、営業利益は1701億円(同40.2%減)、税引前利益は2269億円(同34.6%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1682億円(同70.5%減)となった。

 また、第3四半期連結累積期間の売上収益は11兆8395億円(前年同期比3.4%増)、営業利益は6840億円(同3.2%減)、税引前利益は8682億円(同6.1%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は6233億円(同34.5%減)となり、四半期、累積期間共に増収減益となっている。

本田技研工業株式会社 代表取締役副社長 倉石誠司氏

 決算説明会の冒頭では、本田技研工業 代表取締役副社長 倉石誠司氏から第3四半期連結累計期間の9か月の総括として、営業利益が前年同期の7076億円から6840億円に減益となったものの、実質為替、一過性影響、原材料価格の上昇といった影響を除外した計算ではコストダウンの効果や売上変動、構成差などによる利益増があり、実質的には874億円の増益になっていると解説した。

2018年度 第3四半期連結累積期間(2018年4月1日~12月31日)の決算総括

 主要市場の4輪車販売では、日本市場は「N-BOX」シリーズが2年連続で年間販売台数の1位となり、2018年12月には新型ハイブリッドカー「インサイト」を発売。さらに日本カー・オブ・ザ・イヤーでは「クラリティ PHEV」がイノベーション部門賞、「N-VAN」が実行委員会特別賞を受賞したことを紹介。これらを受け、販売台数は前年同期の50万6000台から52万8000台(4.4%増)と伸長している。

 米国市場ではライトトラックの暦年販売台数が過去最高となり、「CR-V」「パイロット」「アキュラ RD-X」といったモデルもそれぞれ暦年レコード更新を達成している。さらに2018年11月に発表した新型ライトトラック「パスポート」が発表されており、2月から販売が開始される予定となっている。また、日本でも発売したインサイトは、北米で「グリーンカー・オブ・ザ・イヤー」に選定されているなど好調要因は多いが、貿易問題などの要因から市場の全体需要が落ち込んだことなどから、販売台数は前年同期の127万6000台から124万2000台(2.6%減)となっている。

 中国市場では「シビック」の販売台数が20万台を超え、「アコード」「XR-V」「CR-V」など6モデルの販売台数が10万台以上になったことなどを受け、暦年での卸売台数が過去最高を記録。また、2018年11月には本田技研科技と広汽本田によって共同開発された初の量産EV(電気自動車)「理念 VE-1」を発表し、2019年から順次デリバリーが開始予定になっていることも紹介。しかし、中国の景気停滞や貿易問題などの懸念から全体需要も低下しており、販売台数は前年同期の115万台から113万1000台(1.6%減)となっている。

主要市場の4輪車販売 日本
主要市場の4輪車販売 米国
主要市場の4輪車販売 中国

 また、2輪車販売ではインドネシアで「スクーピー」、インドで「アクティバ」、ベトナムで「ビジョン」といったモデルが販売を伸ばしたことを受け、タイを含めたアジア4か国で前年同期の1065万4000台から1136万台(6.6%増)となっている。

 このほかに倉石氏は直近のトピックとして、2018年11月にホンダとして初となる電動2輪車「PCX エレクトリック」を日本で発売。同11月にはバングラデシュで完成車組立能力10万台の2輪車新工場の稼働を開始している。また、2018年12月には、日本で「HondaJet Elite」の型式認定を取得し、「ホンダ 歩行アシスト」が米国で医療機器としての認証を取得したことなどを紹介した。

 このほか、2018年度の連結業績見通しについて、為替の影響などから一部の数字を見直していると説明。売上収益は前回見通しから500億円増の15兆8500億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同200億円増の6950億円を目指すとしている。

主要市場の2輪車販売 アジア4か国
2018年10月~12月のトピック
2018年度 第3四半期連結累積期間(2018年4月1日~12月31日)の決算概要
2018年度の連結業績見通しは、想定為替レートが1円円安になることで売上収益が500億円増、四半期利益が200億円増に上方修正
本田技研工業株式会社 専務取締役 事業管理本部長 竹内弘平氏

 倉石氏の概要総括に続き、本田技研工業 専務取締役 事業管理本部長 竹内弘平氏が決算の詳細について説明。

 2018年度 第3四半期の3か月でホンダグループでは、2輪車を前年同期日2.9%増の501万3000台、4輪車を同4.8%増の140万8000台、パワープロダクツ製品を同13.0%増の135万1000台販売。2輪車の販売はベトナム、インドネシア、ブラジルなどで増加、4輪車の販売は中国、日本で増加している。

 損益については為替の影響で減少影響を受けたものの、2輪事業と金融サービス事業の増加で前年同期から微増となったが、営業利益はコストダウンの効果が出ている一方で売上変動、構成差などによって利益が減少。インセンティブなどの販売費や一般管理費、為替の影響などで前年同期比で40.2%という大幅減となっている。また、営業利益率も前年同期の7.2%から4.3%に後退した。

第3四半期3か月の2輪車、4輪車、パワープロダクツ製品の販売状況
売上は微増となったが、為替の影響などにより営業利益などが大きく落ち込んだ
2輪車販売の詳細
4輪車販売の詳細
パワープロダクツ製品販売の詳細
第3四半期9か月の2輪車、4輪車、パワープロダクツ製品の販売状況
事業別の売上収益増減
第3四半期3か月の税引前利益の増減要因
第3四半期9か月の税引前利益の増減要因
設備投資の内訳
通年の販売見通し
通面見通しの税引前利益の増減要因

4輪の収益を高めることが一番の課題

 決算説明会後半の質疑応答では、4輪車の営業利益率が上がらず、今回の発表でも数字が下がっていることについて、倉石氏が「4輪の収益についてはずっと言われ続けておりまして、われわれとしてもいろいろな対策を取りながら進めています。1つにはすでにやっていることで、生産の稼働率を上げていくということ。すでに発表していますように、狭山(工場)だとか、タイ、ブラジル。そういったところで生産の稼働率をアップすることを続けています。さらにこちらも始めていることで、開発のモジュール化として、新型シビックからプラットフォームを共有化して、そこからCR-V、アコードと広げていくことによって開発費の効率化、部品の共有化などを進めていて、4輪の収益はわれわれとして一番の課題だと思っています。今後さらに収益を上げるべく、検討を進めている状況にあります」と回答した。

質疑応答で回答する倉石氏

 販売台数が減少となった中国市場については、自身が中国で仕事をしていた経験のある倉石氏が説明。「2018年で言いますと、一番厳しかったのは年初のCR-Vのリコールで、これが思っていたよりも長引いてしまった影響が一番の要因です。中国全体では景気の問題もあって市場としては9月ぐらいからマイナスになっているかと思います。そこで一番減少しているの地場メーカーとなる中国メーカーで、今の状態だと4割を切るぐらいの勢いで苦労しているようです。もう1つは米中の貿易問題で、日本もやられましたが不買運動ということで、米国製のクルマが減っている。あとは韓国車も減っていて、逆に日本とドイツなど欧州のメーカーが伸びている状況にあります。おかげさまでわれわれは12月は過去最高を記録して、1月も正式発表ではないですが、前年比で5%以上プラスになっていて、期待通りのスタートが切れています」。

「あと、中国の人はステップアップのマインドが強いので、まずは中国の自主ブランド(のクルマ)を買って、最後には(メルセデス)ベンツやBMWを買いたいという購買の流れがあります。中国の人が経済が急成長して豊かになり、自主ブランドから例えばわれわれのグローバルモデルであるシビックやアコード、CR-Vなどが非常に受けていて、われわれとしてもさらに中国市場で台数を増やせると期待しているところです」と解説した。

 英国のブレグジット(EU離脱)については、「われわれもまだこれから何が起きるか分かりませんので、状況を注視していることに変わりはありません。ただ、3月末に何かがあった時のために、すでに発表していますが、混乱を避けるために生産を調整したり、とくに物流や通関が止まる恐れもあるので、早めに生産して在庫を多めに取っておくといった準備はしております」と倉石氏は語った。

決算説明会の会場となった東京 青山の本社では、前日の1月31日に発売したばかりの新型「ヴェゼル ツーリング」を車両展示。ボディカラーは新色の「プレミアムクリスタルブルー・メタリック」