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“技術の日産”が持てる力をすべて注ぎ込んだ新型軽自動車「デイズ」発表会

「先進技術をつうじた新たな体験にわくわくしていただけると確信している」

2019年3月28日 開催

新型軽自動車「デイズ」発表会では、日産自動車株式会社の第一製品開発本部 第一製品開発部 チーフ ビークル エンジニア 齊藤雄之氏(左)、専務執行役員 星野朝子氏(中央)、日本戦略企画本部 日本戦略企画部 部長 豊嶋浩氏(右)の3人がプレゼンテーションを実施

 日産自動車は3月28日、新型軽自動車「デイズ」を発売。同日に神奈川県横浜市にある日産グローバル本社ギャラリーで発表会を開催した。

 デイズは2013年にデビューした日産の軽ハイトワゴン。6年ぶりのフルモデルチェンジで2代目となった新しいデイズは日産が企画・開発を主導し、三菱自動車工業の水島製作所(岡山県倉敷市)で生産されるモデルとなっている。価格は127万3320円~177万8760円で、ラインアップの詳細などについては関連記事の「日産、新パワートレーン&プラットフォーム、プロパイロット採用の新型軽自動車『デイズ』」を参照していただきたい。

デイズ

デイズ X(ソーダブルー)
2WD車のボディサイズは3395×1475×1640mm(全長×全幅×全高。4WD車の全高は1660mm)、ホイールベースは2495mm
タイヤサイズは前後155/65 R14。ホイールはX(写真)がアルミホイール、Sがスチールホイール+フルホイールカバー
最高出力38kW(52PS)/6400rpm、最大トルク60Nm(6.1kgfm)/3600rpmを発生する自然吸気の直列3気筒DOHC 0.66リッターエンジン「BR06」型を搭載
内装色は明るいアイボリー。シート表皮のトリコットは麻袋のような凹凸を感じさせるものとなっている
大型のフロントセンターアームレストは全車標準装備
センターウォークスルーが可能なインパネシフトを採用。パーキングブレーキは足踏み式

デイズ ハイウェイスター

デイズ ハイウェイスターG ターボ プロパイロットエディション(ホワイトパール/プレミアムサンシャインオレンジ)
ルーフやドアミラーなどのカラーリングが異なる2トーン仕様はデイズ ハイウェイスター専用
デイズ ハイウェイスター全車で上下2段式のLEDヘッドライトを標準装備する
タイヤサイズは前後165/55 R15
デイズ ハイウェイスター全車で「SM21」型モーターを使う「S-HYBRID(スマートシンプルハイブリッド)」を採用。モーターは最高出力2.0kW(2.7PS)/1200rpm、最大トルク40Nm(4.1kgfm)/100rpmを発生。自然吸気エンジン(左)では最高出力38kW(52PS)/6400rpm、最大トルク60Nm(6.1kgfm)/3600rpmを発生。ターボエンジン(右)では最高出力47kW(64PS)/5600rpm、最大トルク100Nm(10.2kgfm)2400-4000rpmを発生する
デイズ ハイウェイスターはステアリングが本革巻きとなる。電動パーキングブレーキは「プロパイロット」などと同時装着される
メーターパネル中央に4.2インチTFT液晶の「アドバンスドドライブアシストディスプレイ」を全車で標準装備する
内装色はシャープさのあるエボニー。チェッカー柄のシート表皮には、光の加減でHWS(ハイウェイスター)の文字が浮かび上がる仕掛けが施されている

デイズ ボレロ

デイズをベースにしたオーテックジャパンのカスタムカー「デイズ ボレロ」。ブロッサムピンクとホワイトパールの2トーンボディはデイズ ボレロ専用
ホワイト塗装された専用デザインの14インチアルミホイールを装着。タイヤサイズは前後155/65 R14
インテリアはピンクとホワイトでコーディネート。専用フロアカーペットなども用意される

新型デイズは「技術の日産が魂を込めて開発した」軽自動車

日産自動車株式会社 専務執行役員 星野朝子氏

 発表会では最初に、日産自動車 専務執行役員 星野朝子氏が登壇。星野専務は新型デイズについて「技術の日産が魂を込めて開発した」と表現。軽自動車は日本独自の規格で、日本のユーザーのために開発するクルマとなっており、日本の古きよき街並み、入り組んだ細い道といった日本の道路事情と住環境に最適化。単純にサイズがコンパクトだから、燃費がいいからといった使い勝手の高さだけで選ばれるクルマではなくなっていると星野専務は語り、乗用車市場で4割を占める「最大のカテゴリー」になっているとした。

 軽自動車に求められる価値は「一番安全」「一番便利」「最高に快適」「最もわくわくする」といったクルマであり、それを目的に、新型デイズでは日産が1から設計、開発に取り組み、日産が持つさまざまな独自技術、先進技術を投入しているとアピール。プラットフォームやパワートレーンも刷新し、「ニッサン インテリジェント モビリティ」の象徴となっている同一車線自動運転技術「プロパイロット」を搭載していることを紹介した。

 最後に星野専務は「まもなく日本の元号が変わります。“新しい日本”と共にデビューする“日産の新しい軽”『デイズ』です」と締めくくり、2台の展示車をステージ上に呼び込んだ。

ステージ脇から2台のデイズが登場
星野専務とデイズ ハイウェイスターG ターボ プロパイロットエディション
日産自動車株式会社 日本戦略企画本部 日本戦略企画部 部長 豊嶋浩氏

 星野専務のプレゼンテーションに続いて登壇した日産自動車 日本戦略企画本部 日本戦略企画部 部長 豊嶋浩氏は、日産が1から企画、開発した新型デイズではクラスを超えた存在感と洗練性を表現し、細部までこだわってデザインを行なったと説明。スリークでダイナミックなキャビン、豊かで厚みのあるボディ、シャープなキャラクターラインなどで構成したエクステリアデザインを採用したという。

 新型デイズでは「加速」「室内・荷室」「小物入れ」の3点で大きな改良を行なっていると述べ、趣味やレジャーなどの用途で遠くまで出かける人に大きな安心感をもたらすため、「セレナ」「リーフ」「エクストレイル」に続き、自動運転技術を使ったプロパイロットを軽自動車で初めて搭載したとアピールした。

 また、日産車で初めて「SOSコール」に対応。これによってエアバッグが展開するような事故が発生した場合は自動的に専用オペレーターに連絡され、オペレーターを通じて警察への通報やドクターヘリの要請などが行なわれることになる。また、近年取り沙汰されている「あおり運転」などに対しても、ルーフに設置された専用スイッチを押すことでオペレーターとの連絡が可能になると豊嶋部長は紹介し、ドライバーの不安を軽減してさらなる安心感を提供するとした。

新型デイズでは「マカロンの色の組み合わせにインスピレーションを受けた」というデイズ ハイウェイスター専用の2トーンカラーなど、モノトーン13種類、2トーン4種類の計17種類というワイドカラーバリエーションを展開
開発で注力したのは、「加速」「室内・荷室」「小物入れ」の3点
新型デイズは同一車線自動運転技術の「プロパイロット」を搭載する4番目のモデル。軽自動車としては初の採用となっている
日産車で初めて「SOSコール」に対応した
日産自動車株式会社 第一製品開発本部 第一製品開発部 チーフ ビークル エンジニア 齊藤雄之氏

 車両の詳細解説は、新型デイズの開発責任者を務めた日産自動車 第一製品開発本部 第一製品開発部 チーフ ビークル エンジニア 齊藤雄之氏が担当。

 齊藤チーフ ビークル エンジニアは新型デイズ開発における“代表的な3つのポイント”として、「新パワートレーン」「新プラットフォーム」「新電子システム」があるとコメント。

「新パワートレーン」「新プラットフォーム」「新電子システム」が新型デイズ開発の“代表的な3つのポイント”

 パワートレーンの一新によって力強い走りを実現するため、エンジンは最大トルクを15%向上。これに新開発のCVTを組み合わせて加速性能を大きく改善しており、さらにリチウムイオンバッテリーを利用する「スマートシンプルハイブリッド」を使うことで燃費性能の向上も果たしていると語った。

 新開発のCVTでは低フリクション化といった燃費向上技術に加え、走行時のエンジン音を大きく低減させる静粛性向上技術を採用するほか、爽快な加速感を演出する「Dステップ変速」を軽自動車で初採用。Dステップ変速ではドライバーがアクセルペダルを大きく踏み込んだ場合、ドライバーの“加速したい”という意図を検知して、変速比を一定にキープして加速性能を高めるような制御を行なうという。

 新型デイズは走行中の静粛性にもこだわっており、まずはパワートレーンの剛性アップを行なってエンジン音自体を低減し、遮音材や吸音材を効果的に配置。車内騒音の音圧レベルは普通車レベルを実現していると齊藤チーフ ビークル エンジニアはアピールしている。

新パワートレーンの技術要素
全域にわたってトルクアップを果たしており、発進加速や合流加速など、さまざまなシーンで力強さを体感できると齊藤チーフ ビークル エンジニア
日常的な走行ではCVTらしい滑らかさを発揮しつつ、瞬発力が欲しいシーンでは「Dステップ変速」でギヤを備えるような走りに切り替わる
パワートレーンの剛性アップでエンジン音を低減。車内騒音は「普通車レベル」とアピールする

 新たに採用したプラットフォームではホイールベースを65mm伸ばしたことで、大人4人が快適に過ごせるキャビン、多くの荷物を収納するラゲッジスペースを両立させ、とくにリアシートは従来型からニールームが70mm拡大し、「大型セダン並みの広さを実現している」と紹介。このためエンジンルームについてはスペースを縮小したが、登録車で採用する衝撃吸収構造を使うことで安全性能も両立させた。

 新電子システムとしては、車両の周辺状況をチェックする多彩なカメラやソナー類を使い、プロパイロットやSOSコールといった安心で快適な運転をサポートする先進運転支援システムの搭載が可能になったとした。

 最後に齊藤チーフ ビークル エンジニアは「この新型デイズには、“技術の日産”が持てる力をすべて注ぎ込んだと言っても過言ではありません。どのようなお客さまでも、お乗りいただければその実力を感じ、先進技術をつうじた新たな体験にわくわくしていただけると確信しています」と総括した。

エンジンルームの前後スペースを縮小し、ホイールベースを65mm伸ばして車内スペースを拡大
カメラやソナー類の採用でプロパイロットやSOSコールに対応した
ジヤトコが開発を担当した新型CVT「Jatoco CVT-S(JF021E)」のカットモデルも展示されていた
プロパイロットの単眼カメラ
発表会はYouTubeを使ってライブ配信され、アーカイブ動画も公開されている(44分46秒)