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【SUPER GT 第1戦 岡山】「英語圏」向けの英語コメンタリー映像をGTAが作成し、配信事業者に提供

GTA 代表取締役 坂東正明氏による定例会見

2019年4月14日 実施

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏

 SUPER GTのプロモーターであるGTアソシエイション(以下、GTA)は、SUPER GTの決勝レースが行なわれる週末に、定例会見を行なっており、SUPER GTに関する各種の新しい発表や、報道関係者などからの質疑応答に応じている。

 岡山国際サーキットで行なわれている開幕戦の決勝日にあたる4月14日、GTA 代表取締役 坂東正明氏による定例会見が行なわれ、11月23日~24日に富士スピードウェイで行なわれるDTMとの交流戦や、日本国外での英語放送などに関してが話題となった。

DTMとの交流戦などを説明する坂東正明氏

11月23日~24日に富士スピードウェイ行なわれるDTMとの交流戦

──それでは坂東代表より冒頭の挨拶を。

坂東氏:あいにくの雨だが、今日使えるタイヤで予選やったのか分からないけどそれを前提にした予選が行なわた。3メーカーが拮抗したGT500、新型も入っているGT300という、総勢44台のレース。雨の中大変だけど思うが、平成最後のレースということもあるので、取材の方もよろしくお願いしたい。

──開幕戦が、「平成最後」のSUPER GT。第2戦では「令和最初」のレースになる。時代が変わるということだが、日本を元気にというスローガンでやってきたSUPER GTとして、何か感慨があるか?

坂東氏:平成時代のSUPER GTは日本のモータースポーツの基盤作りや認知度の向上、それに伴って多くのモータースポーツファンを増やすということに取り組んでいた。時代が令和に変わっていくのはいいタイミングで、基盤造りの平成から、革新拡大の時代となる令和にしていきたい。

 マニファクチャラー、タイヤメーカーなどが企業としての経済効果を出し、モータースポーツ産業も産業効果を出して充実させた上で、東南アジア、欧州で基盤作りを進めて、SUPER GTを革新させていきたい。

──来年からクラス1規定が導入されるが、それに先だって昨年の11月にはDTMとのジョイントイベントが富士スピードウェイで行なわれることがすでに発表されているが?

坂東氏:発表のとおり、交流戦を11月23日~24日に富士スピードウェイで交流戦を開催する。すでに富士スピードウェイとのプロジェクトチームを作成して、粛々と調整して進めている。タイムスケジュール、スポーティングレギュレーションに関しては現在話し合いを続けている。向こう(DTM)も5月にホッケンハイムで開幕戦を迎えるので、その合間を縫いながら日独で話し合いながら進めている。基本的にはDTMのレギュレーションを詳細する形で進めており、10月のDTMの最終戦に、3メーカーの開発車両を持って行きレースに参加することになる。

──富士スピードウェイでの合同テスト、DTMとのテスト、ハンコックタイヤを装着してのテストが行なわれた。異例の対応だと思うが……。

坂東氏:DTMはハンコックタイヤとのワンメイクに対する契約を有している。具体的にDTM車両がドイツの国内外でレースを行なう場合にはハンコックタイヤを履くというものだ。このため、現状では交流戦を行なうにはハンコックタイヤを受け入れるしかない。そこで、それを受け入れ、富士でレースを行なう上で300kmを走るとどうなるのか、現状ではどうなのかというのを、ITR(筆者注:DTMのプロモーター)経由でハンコックさんにお願いして韓国から送ってもらい、レクサス、日産、ホンダの3メーカーに30分2セットずつで行なってもらった。それぞれ37号車、23号車、1号車が担当してテストを行なった。

 この時にチームも、マニファクチャラーも(それぞれのタイヤメーカーとの契約があるので)特別のご配慮をいただき、かつハンコックさんに対しても横のロゴを入れないなどの気を遣っていただいている。SUPER GTとしては次の世代に対して、グローバル、欧州などを見据えて新しい視点で考えていこうということで、異例は異例だが、坂東がやることだから異例はつきものということで関係各位にご協力いただき、心から感謝している。そうした形でやっていけば、プロモーターとしてもよいよい形になっていくと思う。

時にはジョークを交えながらDTMとの交流戦について説明する坂東代表

──先日、FIA-F4がF1日本グランプリの前座に組み込まれた、その経緯を、エントラントはびっくりしたと聞いているが……。

坂東氏:(鈴鹿サーキットの運営企業である)モビリティランドさんからGTAに対して「F1のサポートレースとしてやることに対してどうお考えになりますか}というお話しがあり、検討してお受けすることにした。

 そもそも日本でFIA-F4を始めることになったのは日本の若いドライバーにステップアップしていく機会を与えるということでスタートした。FIA-F4の上にF3、スーパーフォーミュラとあるが、F1も見据えているドライバーも少なくない。そうしたドライバーがF1が行なわれている週末にそうした舞台で走れるというのはいいことなんだなろうと考え、モビリティランドさんと協力しながら進めている。FIAからもFIA-F4に関しての契約書がモビリティランドを経由して送られてくるなど、前向きに対応してくださっている。

 エントラントへの説明は4月に行なわれたトーレニングの会場で行なった。説明会ではそんなに違和感もなく受け入れられたと聞いている、びっくりされたことはびっくりされたが、反応は良好だったと聞いている。

今回から英語コメンタリーの映像制作を開始、マレーシアのHaro Sportsが全世界に生中継可能なシステムを構築

英語コメンタリーの映像制作について語る坂東代表

──今回GT300にはマクラーレンやアストンマーチンなどの新規車両が参戦しており、新しいBOPも導入されている。BOPに対する考え方をうかがいたい。

坂東氏:アストンマーチン、マクラーレン、素晴らしいクルマが入ってきている。BOPに関してはブランパンでしっかりテストしながら均衡するようなBOPを、公正な判定を元にSROにお願いしている。

 そこに関してはいろいろな意見があることは承知しているが公正を期す意味でもSROにお願いするのがベストと考えている。JAF-GTでは今年から新型車両となったプリスが、エンジンの搭載位置がフロントに変更され、うち1台はハイブリッドになっている。エンジンに関してはRC Fのそれを使っているが、BOPに関してはまだきちっとしたエンジンになっていないので時間がかかると考えている。JAF-GTに関してはなくしたりせずに今の形を維持していく。

 マザーシャシーに関してはタイヤの変更もあってマークXがいきなり上位に来たが、マザーシャシーに関しては2020年までは今のエンジンを継続使用していく。21年以降に関してはJAF-GTを作ることができないチームに対してGTAがサポートしながら、エンジン、モノコックなどをよく吟味していきたい。

──交通混雑に関しては、今年の岡山は比較的スムーズに入れて解消されたのかな?というイメージだが、第2戦富士は10連休ということで、周辺の混雑はすごいことになりそうだが?岡山と富士での対策は?

坂東氏:岡山のテストのときからまわりは結構渋滞になっていた。このため、場内の駐車場に関しては前売りで完売させる形にして、当日の駐車場はありませんというのをお客さまに周知徹底することをやってきた。周辺に当日前売りの駐車券を持っていなければ中に入れませんと、看板を使って徹底してきたのが効果があったと考えている。なお、前売りの駐車場そのものも110%になっており、駐車場スペースの確保の仕方を調整したことで増やすことができた。

 5月の10連休に関しては我々が決めたのではなく、元々5月3日~4日と決まっていた。サーキットの安全には最善を尽くすが、それでも帰りの渋滞は不可避かもしれない……。我々としては停める場所がないぐらいのお客さまに来ていただき、より満足して帰っていただき、帰りの渋滞もイベントの一部として味わっていただくくらいのつもりで魅力あるイベントにしていきたい。

──一部の欧州のドライバー達が、NISMO TVの欧州での英語放送が昨年末で終わってしまったことに対して残念だとSNSなどで表明している。今後グローバル化していく上で、英語放送などは不可避だと考えるが、そのあたりのGTAのビジョンは?

坂東氏:今回からGTA側の予算で英語のコメンタリーブースなどを設けて、英語の放送ができる体制を整えている。その英語コメンタリーの放映権に関しては、国外に関してはマレーシアのHaro Sports(筆者注:2019年から行なわれる予定のSUPER GTマレーシア戦のプロモーターでもある)が購入し、マレーシアで第2戦からライブ中継放送を開始する。今後さらに欧州での放送に関しても、Haro Sportsから欧州の事業者に関して売り込んでいくと聞いている。今回たまたまNISMO TVでの放送終了と、Haro Sportsとのパートナーシップということが重なったように見えるので、放送がなくなっただけに見えるかもしれないがそうではない。今後もグローバル展開を考えた上でそうした形になっている。

テレビ放送について説明する坂東代表

──GT500のNSXの参加条件が代わり、さらに新しくバラスト(重り)の搭載条件が加わりました。その詳細を教えてほしい。

坂東氏:29kgのミッドシップハンデは、2014年にみんなで決めたものであって、これはいかなることでも変えない。しかし、NSX-GTはJAF-GTでもあり、クラス1規定の車両に比べると触るところがあるし、冷却のこともあり、重量配分に関しても散々言われてきた。そこで、今回は29kgのうち、GTAが定めたある一定の重量を、フロントのハブ線よりも前に積みなさいという条件を追加した。しかし、それは出来上がったクルマに対してそれを追加するということになるので、ここ岡山での中低速、富士での高速コースで確認した上で変更する可能性はあるので、現時点でそれがどの程度かに関しては公表を差し控えさせていただきたい。

──では最後に坂東代表からあいさつを。

坂東氏:現行のGT500のレギュレーションに関しては今年が最後の年となる。来季に関しては全車変わるが、話すとマニファクチャラーに怒られてしまうので、今は言えないが(笑)。今回は平成最後のレースになる。技術革新などをもっともっとやっていきたいという思いがある。日本のモータースポーツ認知度の向上に関して、みんなが協力していけると部分があると思う。グローバル化の部分もしっかりやっていかないといけない、それをプロモーターとして目指していきたい。

2019年からSUPER GTのシリーズスポンサーに就任した株式会社主婦と生活社 代表取締役社長 高納勝寿氏(右)と坂東代表(左)

欧州での英語コメンタリー放送の問題は、グローバルに成長を続けるSUPER GTにとって成長の代償

 一部のドライバーがSNSなどで発信していた、英語圏向け放送に関しては、坂東代表が説明しているとおり、今回からGTA自身が英語のコメンタリーを用意して、映像を作成していくことになっている。それをマレーシアのHaro Sportsに対して提供する契約がまとまっており、Haro Sportsが用意した(実際には利用権を購入した)衛星を利用して世界中にライブ配信できる体制が次戦(第2戦)から整うという。Haro Sportsとしてはその最初の顧客としてマレーシアのテレビ局に対して提供し、今後は欧州を含めたグローバルに、その放映権を買ってくれる顧客を探していく、そうした計画になっているとGTAの関係者は説明した。

 その一方NISMOが欧州のファンなどに対して提供してきたNISMO TVは昨年の最終戦を持って契約が終了し、今年は更新されなかったというのが、GTA側の立場であるようだ。GTAの関係者によれば、仮にNISMO TVがHaro Sportsから購入して放送を続けることは十分可能で、それが行なわれないのはNISMO側のコストの問題なのか、それともHaro Sports側の都合なのかはGTAでは分からないということだったが、あくまでビジネス上のディシジョンだということだった。

 GTA側でも欧州での放送は何らかの形で続けたい意向だとGTAの関係者は説明するが、言うまでもなく放送はビジネスであり、日本で放送しているJ-SPORTSなり、グローバルでの放映権を得た(GTAによれば独占契約ではないということだ)Haro Sportsにしろ、コストを負担している放送局の利益を守りつつ、欧州でどのように放送を続けて行くか、GTA側でも模索を続けていくということだった。

 今回のこうしたちょっとした騒動も、SUPER GTがグローバルに成長していく上で避けられないことだった、そういうことなのかもしれない。欧州のドライバー達にとっても、GTAにとっても、SUPER GTがグローバルに発展していくという目的は一緒のはずであり、よりよい解決策(具体的にはお金を払って放送してくれる放送局など)が見つかることに期待したい。