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ボルボ、210mmの最低地上高で悪路走破性を高めた新型「V60 クロスカントリー」発表会

「クロスカントリーは一番スウェーデンらしいボディタイプ」とボルボ 木村社長

2019年4月17日 開催

新型「V60 クロスカントリー」とボルボ・カー・ジャパン株式会社 代表取締役社長 木村隆之氏

 ボルボ・カー・ジャパンは4月17日、プレミアム・ミッドサイズステーションワゴン「V60」の派生モデル「V60 Cross Country(クロスカントリー)」を発売。同日に東京都港区北青山にあるブランドコンセプトストア「ボルボスタジオ青山」で記者発表会を開催した。

 V60 クロスカントリーはV60をベースに最低地上高を65mm高め、210mmのロードクリアランスを確保したほか、駆動方式に現行モデルのV60シリーズのガソリンエンジン搭載車として初めて4WDを採用。さらに負荷の高いラフロード走行に対応する専用サスペンションが与えられ、悪路走破性を向上させている。価格は549万円~649万円。このほかV60 クロスカントリーのラインアップなどについては関連記事の「ボルボ、『V60 クロスカントリー』全面改良でV60シリーズのガソリンモデル初の4WD車に」で紹介しており、さらに西村直人氏による試乗インプレッションも別記事として掲載されているので、それぞれ参照していただきたい。

V60 クロスカントリー T5 AWD Pro
V60 クロスカントリーのボディサイズは4785×1895×1505mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2875mm。車両重量は1810kg。最低地上高はV60より65mm高い210mm。アウトドアレジャーで使う自転車やカヌーなどをルーフ上に固定して運搬するユーザーに対して、クロスカントリーシリーズの「高い走破性」と「高すぎない全高」の両立がアピールポイントになるという
V60 クロスカントリー専用の外装パーツとなるチャコールカラーのフェンダーエクステンション(左)とフロントグリル(右)
リアバンパーに「CROSS COUNTRY」のロゴが入り、V60ではクロームとなるウィンドウトリムがグロスブラックに変更されている
タイヤサイズはV60 クロスカントリー T5 AWD Pro(写真)が235/45R19、V60 クロスカントリー T5 AWDが215/55R18
最高出力187kW(254PS)/5500rpm、最大トルク350Nm(35.7kgfm)/1500-4800rpmを発生する直列4気筒DOHC 2.0リッター直噴ガソリンターボ「B420」型エンジンを搭載
「チルトアップ機構付電動パノラマ・ガラス・サンルーフ」は20万6000円高のメーカーオプション
先進安全・運転支援技術「IntelliSafe(インテリセーフ)」で前方検知を行なうミリ波レーダー/高解像度カメラ一体型センサーユニット「ASDM(アクティブ・セーフティ・ドメイン・マスター)」
V60 クロスカントリー T5 AWD Proのインパネ
メーターは12.3インチのデジタル液晶ドライバー・ディスプレイを採用
縦型9インチのタッチスクリーン式センターディスプレイを全車標準装備
本革巻ステアリングやイルミネーテッド・本革シフトノブも全車で標準装備する
V60 クロスカントリー T5 AWD Proのシート表皮はパーフォレーテッド・ファインナッパレザーを採用。シートカラーはボディカラーによって変わり、「アンバー」(写真)「ブロンド」「チャコール」の3種類が用意される
“クラス最大級の積載容量”と表現されている広々としたラゲッジスペースには、スペースを前後で使い分けるためのフロア格納型セパレーターを装備
ラゲッジスペースにあるスイッチを押すだけで後席シートバックが前方に倒れる「電動バックレスト・サイドサポート」は、V60 クロスカントリー T5 AWD Proだけで標準装備する

新型「S60」は秋ごろの発売予定

ボルボ・カー・ジャパン株式会社 代表取締役社長 木村隆之氏

 発表会ではボルボ・カー・ジャパン 代表取締役社長 木村隆之氏がプレゼンテーションを実施。

 木村社長は新たにデビューしたV60 クロスカントリーのキャッチフレーズが「都会、ときどき、自然」であると紹介。ボルボの本社があるスウェーデンのイェーテボリや首都のストックホルムで生活している人が、週末を利用して湖畔や海辺のサマーハウスで過ごしたり、冬山でのウインタースポーツを楽しんだりするといったライフスタイルにマッチさせたクルマであると説明。

 日本人にとっても1505mmに抑えた全高により、多くのタワーパーキングが利用可能で都市生活者にとって使いやすく、210mmという最低地上高は「XC40」「XC60」「XC90」と同一で「どこにでも安心して乗って行っていただける」と解説。スウェーデンで2月に実施された試乗会に自身も参加して、V60 クロスカントリーが持つ安心感や性能の高さに大きく感銘を受けたと語った。

新型V60 クロスカントリーのキャッチフレーズは「都会、ときどき、自然」
ハイルーフ車(一般的に1550mm)の制限以下に収まる1505mmの全高で、多くの駐車場が利用になる
ボルボのSUVモデルとなるXCシリーズと並ぶ210mmの最低地上高を実現
2グレード展開で価格は549万円~649万円

 商品展開における“クロスカントリーシリーズ”については、1997年に発売した「V70 XC」以来、22年にわたってラインアップ車を用意。継続的に開発に取り組んでおり、「一番スウェーデンらしいボディタイプ」だと木村社長はアピール。

 V60 クロスカントリーは先代V60のモデル中盤から展開を開始。そして中大型車用の新世代プラットフォーム「SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャ)」を採用して2018年9月に発売された現行モデルのV60をベースとしているのが、新たに発売した2代目のV60 クロスカントリーであると解説した。

 また、2016年1月に日本導入がスタートした「XC90」で初採用されたSPAモデルの展開では、これまで毎年ラインアップを拡大。同日発売されたV60 クロスカントリーに続き、秋ごろには“60シリーズ”のセダンモデル「S60」が発売されることも木村社長は明らかにした。

1997年に「V70」の1グレードとして登場したクロスカントリーシリーズは、現在では「V40」「V90」にラインアップを拡大。1つのボディタイプとしてジャンルを確立している
V60 クロスカントリーは2015年に初登場
SPAを採用する「S60」は秋ごろの発売予定

 商品解説に加え、木村社長はボルボの現状や将来展開などについても解説を実施。ボルボでは2014年からの5年間でグローバル販売台数、国内販売台数の両面で右肩上がりとなっており、グローバル販売では2015年に創業初となる50万台以上の年間販売を達成。2018年には60万台を突破して販売記録を更新し続けているとした。

 国内販売では2018年に1万7389台となり、2019年の販売計画は前年比1000台増の1万8500台としているが、バックオーダーを抱えてユーザーを待たせてしまっている「XC40」「XC60」について、本社に対して日本向けの車両増産について交渉を行なっており、これが実現した場合には販売台数が2万台に到達することも可能だと語った。

 また、2019年の1~3月期の販売実績もグローバル販売で前年同期比9.4%増、国内販売で同12.1%増となっており、好調に推移していることを紹介。この好調について木村社長は、2017年1月から導入を開始したサブスクリプションサービス「スマボ」を要因の1つとして取り上げ、この3年間に内容を充実させて認定中古車の「SELEKT」にまで拡大。ユーザーの選択肢を増やし、過去12か月で新車販売の16%にあたる2336件がスマボによる契約となっていることをアピールしている。

ボルボの販売は好調で、増産によってバックオーダーを解消していければさらなる上積みも可能になるという
サブスクリプションサービス「スマボ」の導入開始も好調要因。すでに新車販売の16%で利用されているという

 このほかにも、ボルボのパブリックイメージで重要なポジションを占める「安全性」に対する取り組みでは、2008年に発表した「VISION2020」で目指す「2020年までに新しいボルボ車が関わる交通事故による死亡者や重傷者をゼロにする」という目標達成に向け、3月に「2020年以降すべてのボルボ車の最高速を180km/hに制限する」と発表したことを説明。

 さらに、ボルボが3点式シートベルトを1959年に市販車で世界初搭載し、特許を無償で公開してから半世紀が経過したことを記念して、これまでボルボが蓄積してきた安全に関するノウハウをデジタルライブラリーとして無償公開する「E.V.A.プロジェクト」をスタートさせたことを紹介。部品メーカーや研究者、他の自動車メーカーなどにボルボの知見を自由に使ってほしいとコメントし、ボルボは規模の小さい自動車メーカーだが、現在も車両の安全性をさらに高めるさまざまな取り組みを続けているとアピールした。

「2020年までに新しいボルボ車が関わる交通事故による死亡者や重傷者をゼロにする」という「VISION2020」
事故原因として割合の多い「スピードの出し過ぎ」「飲酒などによる酩酊」に対応する新技術を投入していく
3点式シートベルトの特許無償公開から半世紀が経過したことを記念してスタートした「E.V.A.プロジェクト」
これまでボルボが開発してきた安全技術などのノウハウをキーワード検索で表示可能
ボルボでは1970年から独自の事故調査を実施。得られた調査データを製品に反映させて安全性を高めてきた