ニュース

動画で見る トヨタの新研究開発施設「Toyota Technical Center Shimoyama」カントリー路

完成間もないカントリー路をぐるっと1周

4月に一部運用を開始した「Toyota Technical Center Shimoyama」の全体概要

 トヨタ自動車が4月に一部運用を開始した、愛知県豊田市と岡崎市の山間部にある「Toyota Technical Center Shimoyama」。約3000億円という大規模な投資をして作られた新研究開発施設で、その一部が報道陣に公開された。この施設から“世界に通用するクルマ”を出していくという意気込みから、あえてアルファベット表記になっているという。

 豊田市の本社地区から30分程度の場所にある総面積650.8ha(6.508km 2 )の「Toyota Technical Center Shimoyama」が作られた目的は、厳しい走行環境を作り出して「もっといいクルマづくり」に挑戦すること。4月に運用を開始した総延長5.385kmの「カントリー路」(中工区)をはじめ、2021年度までに車両実験の活動拠点「車両実験棟エリア」と運動・走行性能の信頼性・品質を作り込む「テストコースエリア」(ともに東工区)を、2023年度までに愛車ビジネスをけん引する企画・設計拠点の「車両開発エリア」(西工区)を稼働させる予定だ。

カントリー路とともに、建設中であるテストコースエリアも見ることができた。まるで巨大な古墳を作っているかのような印象で、その広大さに圧倒された

 今回公開されたカントリー路は、ドイツ ニュルブルクリンクを長年走りこんできた経験を基に、自然の地形を活かした約75mの高低差と多数のカーブが入り組んだ、厳しい走行環境を持つテストコースとして設計された。コース全体をニュルブルクリンクに似せたというより、「路面からのサスペンションへの入力」を似せたとのことで、このコースでクルマを鍛え上げ、味づくりを徹底的に行なうという。

報道陣に施設を公開する前日に“モリゾウ”こと豊田章男社長が訪問したとのことで、カントリー路の脇にある施設のエントランスの壁にサインが

本社の近くでいいクルマを作る

トヨタ自動車株式会社 開発支援部 担当部長 矢矧雅彦氏

 公開当日、「Toyota Technical Center Shimoyama」についてトヨタ自動車 開発支援部 担当部長の矢矧雅彦氏がプレゼンテーションを実施。トヨタは現在、国内の研究開発施設として製品開発を行なう「本社テクニカルセンター(愛知県豊田市)」、寒冷地試験や超高速試験を実施する「士別試験場(北海道士別市)」、先行技術開発を行なう「東富士研究所(静岡県裾野市)」の3拠点を持つが、「Toyota Technical Center Shimoyama」を新たに作ったことについて「本社の近くでいいクルマを作る、ということでクルマ本来の走る喜びを突き詰める製品開発を行なう現場としてToyota Technical Center Shimoyamaを立ち上げました。本社から30分という近い場所にあるので、開発メンバーとコース、あるいは施設によって開発をスムーズに進めていきたいと思っています」と解説する。

 また、施設の規模としては東西に約5.3km、南北に約2.2kmの総面積6.508km 2 となっており、これは本社テクニカルセンターの10倍、東富士研究所の約3倍に当たることを紹介するとともに、「中工区のカントリー路が4月25日に竣工し、2021年度にテストコースエリアが立ち上がると同時に中工区に車両実験棟エリアが構えられていきます。そして2023年度になりますと車両開発エリアが順次立ち上がっていくというスケジュールになっています」と説明を行なった。

 カントリー路は「クルマに厳しく自然に優しいテストコース」というのがコンセプトになっており、「欧州路面を模擬・特殊路7種類」「厳しいコーナー形状(連続S字・最小R20)」「起伏が大きい(上り15%・下り12%)」「騒音・遮蔽配慮」「小川・谷筋を回避した橋」「動物侵入保護対策」といった特徴を持つとのこと。

トヨタの国内にある研究開発施設
トヨタ本社とToyota Technical Center Shimoyamaの拠点位置関係とアクセス時間
各研究開発施設とToyota Technical Center Shimoyamaの敷地規模比較
自然環境の維持・管理にも努めているという
Toyota Technical Center Shimoyamaの航空写真
カントリー路の特徴
Toyota Technical Center Shimoyamaは里山と調和した自然共生型施設
里山保全

 実際にカントリー路を1周走行した動画が以下のものだが、低速・高速コーナーからアップ・ダウンしながらのブラインドコーナー、荒れた路面など、まさにクルマを鍛えるのにふさわしいレイアウトになっていた。今後登場するトヨタの新型車はこのカントリー路などで評価などが行なわれていくとのことで、その仕上がりが楽しみなところだ。

Toyota Technical Center Shimoyama カントリー路を1周(その1、室内から。4分31秒)
Toyota Technical Center Shimoyama カントリー路を1周(その2、ローアングルで。2分55秒)