ニュース
走って学んで目指せ最速! AWS(アマゾン ウェブ サービス)主催のロボットカーレース「AWS DeepRacer リーグ」開幕
誰でも気軽に参加できる“AIレース”。勝者にはラスベガス行きチケット
2019年6月12日 17:41
- 2019年6月12日~14日 開催
幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)で6月12日~14日、「AWS Summit Tokyo」が開催されている。AWS Summitは、AWS(アマゾン ウェブ サービス)が主催するテクノロジーカンファレンスとして世界各地で行なわれているイベント。今回のAWS Summit Tokyoでは、日本初開催となるロボットカーによるレース「AWS DeepRacer リーグ」を実施しており、誰でも参加可能だ。
プログラムの詳しい知識がなくてもレースに挑戦できる
AWS DeepRacerは、AI(人工知能)技術を用いて自動走行する小さな専用ロボットカーの挙動をプログラミングし、所定のコースを1周する際のタイムを競うもの。世界各地のAWS Summitに合わせて行なわれる実機を用いたレースイベントと、Web上で仮想的にロボットカーを走らせる「DeepRacer Virtualリーグ」の2種類がある。
実機を用いた今回のレースイベントでは、コースを1周した時のラップタイムで上位10番手までに入ればDeepRacerの実機がプレゼントされる。さらに優勝者は12月に米 ラスベガスで行なわれる年次イベント「re:Invent2019」に招待され、そこで決勝レースを戦うことになるという。
ロボットカーはコースのセンターラインや両サイドの白線などを認識するカメラと、Intel製のデュアルコアCPUを採用する小型コンピュータを搭載したAWSオリジナルのもの。カメラが捉えた映像を使って自動で操舵して走行する仕組みになっており、ユーザーは逐次与えられるコース上のラインからの距離を示す数値データなどをもとに、ロボットカーがどのように(どこを)走行したら、いくらの報酬(得点)を与えるかを決める。特定条件下における速度も設定して、うまくコースに沿って1周するようにプログラムする必要がある。
初めて挑戦するときは、まずWeb上の仮想空間で走行時の判断ロジックのベースとなる簡単なプログラム(報酬関数)をPython言語で組む。いくつかのサンプルが最初から用意されているので、それらを使ってもかまわない。仮想的に何度も繰り返し走行させて強化学習を行ない、しばらく走行の仕方を学ばせると、ある程度正しく走れるようになってくる。1時間程度の強化学習で、3ドル程度のAWSのインスタンス使用料がかかるので注意したい。
そうやってできあがった学習モデルのデータを、USBメモリーなどにダウンロード。イベントの実機にコピーし、リアルなコースに挑戦するという流れだ。イベント会場には入門者向けに仮想空間で走行させられるデモブースも設置されており、ここで強化学習をして得られた学習モデルを用いてすぐに実機のレースに参加できるようになっている。
コースレイアウトはシンプルなもの。実機と仮想空間でコースやプログラムロジックに変わりはないが、細かな環境の違いもあって完全に条件が同じとは言えない。1周する間にきれいにコーナリングしたかと思えば、直後には不意にコースを逸脱してタイムを大幅にロスするといった姿も見られた。
AWS Summit Tokyoでは、1回のチャレンジで4分間の走行が可能。その間は何度でも周回でき、そのうち最も速いラップタイムが採用される。コースオフは1周する間に3回まで認められるレギュレーションとなっている。
6月12日14時時点のトップタイムは9秒台。世界最速タイムは現在のところ7秒台が記録されている。ラインからの距離を示す数値に対してどのように報酬を与えるべきか論理的に考えることも大切だが、上位を目指すなら「実際にサーキットでクルマを走らせたときにどのようなライン取りをすれば速く走れるか」といったアイデアを取り入れる必要もありそうだ。
優勝者はイベント最終日の6月14日に決定する。まずは試しにWeb上のバーチャルなロボットカーで強化学習に挑み、もし速く走れる学習モデルができあがったら幕張メッセに駆けつけて、ラスベガス行きのチケットを狙ってみてはいかがだろうか。