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【SUPER GT 第4戦 タイ】予選。6号車 WAKO'S 4CR LC500(大嶋/山下組)が大逆転。驚速「ヤマケン」が自身初ポール
GT300は新しいヨコハマタイヤを投入した25号車 HOPPY 86 MC(松井/佐藤組)が獲得
2019年6月29日 20:58
- 2019年6月29日~30日(現地時間) 開催
6月29日~6月30日(現地時間)の2日間に渡り、SUPER GT 第4戦「2019 AUTOBACS SUPER GT Round4 Chang SUPER GT RACE」がタイ王国 ブリーラムにある「チャン・インターナショナル・サーキット」において開催されている。6月29日には15時(日本時間17時)から予選が行なわれ、明日の決勝レースに向けたグリッドが決定した。
GT500のポールポジションを獲得したのは6号車 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也/山下健太組、BS:ブリヂストン)。予選Q1こそ8位とギリギリで通過したものの、Q2では山下健太選手が本人曰く「淡々と走って」Q1のタイムを大きく上回って大逆転でポールポジションを獲得した。山下健太選手がGT500でポールポジションを獲るのは今回が初めて。2位は19号車 WedsSport ADVAN LC500(国本雄資/坪井翔組、YH:ヨコハマ)、3位は3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/フレデリック・マコヴィッキ組、MI:ミシュラン)で、ブリヂストン、ヨコハマ、ミシュランという3つのタイヤメーカーの車両がトップ3を分け合う結果となった。
GT300のポールポジションは25号車 HOPPY 86 MC(松井孝允/佐藤公哉組、YH)で2位に0.7秒という大差をつけてぶっちぎりでポールポジションを獲得した。2位は56号車 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(平峰一貴/サッシャ・フェネストラズ組、YH)、3位は7号車 D'station Vantage GT3(藤井誠暢/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、YH)となり、こちらはヨコハマ勢が1-2-3となった。
GT300はブリーラムを得意とする25号車 HOPPY 86 MCがポールを獲得
今シーズンのSUPER GTのカレンダーでは唯一の海外戦となる第4戦は、タイ王国ブリーラムにあるチャン・インターナショナル・サーキットで行なわれている。約4.45kmの距離を持つコースは高低差がない平坦なコースであることがよく知られており、グランドスタンドから全体が見渡せるという観客にとってはずっとクルマが走っているところが見られる絶好のコースだ。その半面、この時期のタイは初夏とは言え、気温は30度を超え、湿度も70%を超えるという暑さの中で行なわれ、ドライバーにとっては熱中症と戦いながら行なう予選となった。
予選が始まった15時の時点でも30度を超える猛烈な暑さの中で行なわれることになり、予選前には雨も心配されたが、直前には逆に晴れ間が広まってきて、さらに暑い環境の中で予選が行なわれることになった。
15時からはまずGT300の予選1回目(Q1)が始まった。各車次々とコースインしていくなか、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL:ダンロップ)がコースインできない。どうやらギヤにトラブルを抱えているようで、スタートすることができずピットの中にとどまったままになってしまった。しかし、残り7分を切った段階でようやくピットからスタートしていき、ギリギリQ1への参加が間に合った形になった(最終的にはQ1を突破)。また、残り6分を切った段階で52号車 埼玉トヨペットGB マークX MC(脇阪薫一/吉田広樹組、BS)がコース脇にストップし、52号車の予選はそこで終了となってしまった。
このセッションでトップタイムをマークしたのは56号車 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(平峰一貴/サッシャ・フェネストラズ組、YH)で、1位~4位までをヨコハマ勢が占めており、今回のヨコハマ勢は一発のタイムでも速いところを見せている。16位ギリギリでQ2へと進んだのは96号車 K-tunes RC F GT3(新田守男/阪口晴南組、BS)で現在のポイントリーダーがギリギリで予選2回目(Q2)に進むことになった。
16台が進出したQ2でもヨコハマ勢の勢いは続き、25号車 HOPPY 86 MC(松井孝允/佐藤公哉組、YH)が2位以下を0.7秒という現在のGT300ではあり得ないぐらいの差をつけてトップタイムをマークすると、そうそうにピットに入る余裕を見せた。25号車 HOPPY 86 MCはヨコハマの新しいタイヤを持ってきたとのことで、決勝のロングラン重視の新しいタイヤだったそうだが、それが予選でも功を奏した形になる。結局それを破る車両は現われずにチェッカーがでて、そのままポールポジションを獲得した。
2位は56号車 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R、3位は7号車 D'station Vantage GT3(藤井誠暢/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、YH)となりヨコハマ勢が1-2-3となった。4位は11号車 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信組、DL)でヨコハマ勢を除く最上位、ブリヂストン勢の最上位は55号車 ARTA NSX GT3(高木真一/福住仁嶺組、BS)となった。
GT300の結果表(暫定)
順位 | カーナンバー | 車両名 | ドライバー | Q1 | Q2 | タイヤ | ウェイトハンデ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 25 | HOPPY 86 MC | 松井 孝允/佐藤 公哉 | 1分33秒499 | 1分31秒839 R | YH | 14 |
2 | 56 | リアライズ 日産自動車大学校 GT-R | 平峰 一貴/サッシャ・フェネストラズ | 1分32秒797 | 1分32秒057 R | YH | 24 |
3 | 7 | D'station Vantage GT3 | 藤井 誠暢/J.P.デ・オリベイラ | 1分33秒187 | 1分32秒111 | YH | ー |
4 | 11 | GAINER TANAX GT-R | 平中 克幸/安田 裕信 | 1分33秒361 | 1分32秒476 | DL:ダンロップ | 44 |
5 | 55 | ARTA NSX GT3 | 高木 真一/福住 仁嶺 | 1分33秒858 | 1分32秒622 | BS | 57 |
6 | 65 | LEON PYRAMID AMG | 黒澤 治樹/蒲生 尚弥 | 1分33秒883 | 1分32秒633 | BS | 17 |
7 | 10 | GAINER TANAX triple a GT-R | 星野 一樹/石川 京侍 | 1分32秒984 | 1分32秒762 | YH | 2 |
8 | 4 | グッドスマイル 初音ミク AMG | 谷口 信輝/片岡 龍也 | 1分33秒413 | 1分32秒767 | YH | 29 |
9 | 21 | Hitotsuyama Audi R8 LMS | リチャード・ライアン/富田 竜一郎 | 1分33秒948 | 1分32秒948 | YH | 12 |
10 | 33 | エヴァRT初号機 X Works GT-R | ショウン・トン/マーチー・リー | 1分32秒913 | 1分32秒993 | YH | 8 |
11 | 34 | Modulo KENWOOD NSX GT3 | 道上 龍/大津 弘樹 | 1分33秒680 | 1分33秒023 | YH | 10 |
12 | 60 | SYNTIUM LMcorsa RC F GT3 | 吉本 大樹/宮田 莉朋 | 1分33秒483 | 1分33秒225 | DL | 10 |
13 | 61 | SUBARU BRZ R&D SPORT | 井口 卓人/山内 英輝 | 1分33秒836 | 1分33秒285 | DL | 30 |
14 | 87 | T-DASH ランボルギーニ GT3 | 高橋 翼/アンドレ・クート | 1分33秒937 | 1分33秒464 | YH | ー |
15 | 96 | K-tunes RC F GT3 | 新田 守男/阪口 晴南 | 1分33秒988 | 1分34秒359 | BS | 60 |
16 | 2 | シンティアム・アップル・ロータス | 高橋 一穂/加藤 寛規 | 1分33秒518 | 1分38秒452 | YH | ー |
17 | 9 | PACIFIC MIRAI AKARI NAC PORSCHE | 横溝 直輝/峰尾 恭輔 | 1分34秒043 | ー | YH | ー |
18 | 18 | UPGARAGE NSX GT3 | 小林 崇志/松浦 孝亮 | 1分34秒056 | ー | YH | ー |
19 | 30 | TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT | 永井 宏明/織戸 学 | 1分34秒057 | ー | YH | ー |
20 | 52 | 埼玉トヨペットGB マークX MC | 脇阪 薫一/吉田 広樹 | 1分34秒090 | ー | BS | 11 |
21 | 88 | マネパ ランボルギーニ GT3 | 小暮 卓史/元嶋 佑弥 | 1分34秒119 | ー | YH | 23 |
22 | 35 | arto RC F GT3 | ナタポン・ホートンカム/ショーン・ウォーキンショー | 1分34秒174 | ー | YH | ー |
23 | 31 | TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT | 嵯峨 宏紀/中山 友貴 | 1分34秒465 | ー | BS | ー |
24 | 50 | ARNAGE AMG GT3 | 加納 政樹/山下 亮生 | 1分35秒226 | ー | YH | ー |
驚速ヤマケン、GT500で初ポールを獲得
15時20分に始まった、GT500の予選1回目(Q1)ではいつものように、セッションの前半は各車とも様子見状態で各車出来たのは時間が残り8分を切ったタイミング。このセッションでトップに立ったのは8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/伊沢拓也組、BS)で、3号車 2位は3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/フレデリック・マコヴィッキ組、MI)、3位は前戦の覇者36号車 au TOM'S LC500(中嶋一貴/関口雄飛組、BS)となった。
8号車 ARTA NSX-GTは40kgというそれなりに重いウェイトを積んでいるが、それでもトップタイムと好調さを維持している。ホンダ勢でこれに続いたのは1号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS)で、こちらは7位でQ2へと進んだ。
ニッサン勢は3号車が2位、4位が24号車 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R(高星明誠/ヤン・マーデンボロー組、YH)となったが、12号車 カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹/ジェームス・ロシター組、BS)と23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)はQ1落ちとなった。
レクサス勢のトップは36号車 au TOM'S LC500だが、他には19号車 WedsSport ADVAN LC500(国本雄資/坪井翔組、YH)が5位、37号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組、BS)が6位、6号車 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也/山下健太組、BS)が8位となり、3メーカーの間ではもっとも多い4台が予選2回目(Q2)へと進んだ。
GT500のQ2でも、こちらも通常の予選と同じように、残り8分を切ってから各車続々とコースに出て行った。Q2ではQ1とはだいぶ様相が変わってしまった。8号車 ARTA NSX-GTは8位とQ2の中では最下位に終わってしまったからだ。もう1台の1号車 RAYBRIG NSX-GTも7位で、ホンダ勢は振るわない予選となった。
それに対してレクサス勢は6号車 WAKO'S 4CR LC500がQ1は8位だったのにトップタイムをマークし、見事ポールポジションを獲得した。ヤマケンの愛称で呼ばれる山下健太選手がポールポジションを獲得するのはこれが初めて。2位にも19号車 WedsSport ADVAN LC500が続いているほか、36号車 au TOM'S LC500が4位、37号車 KeePer TOM'S LC500が5位となり、レクサス勢が上位に入る結果になった。
そのレクサス勢に割って入ったのが3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rで3位となり、レクサスのトップ4独占を阻止した。もう1台の24号車 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rは6位だった。
予選の結果を見ると、ブリヂストン、ヨコハマ、ミシュランの3メーカーそれぞれのタイヤを履いた車両がトップ3に来ており、3つのタイヤメーカーの性能は均衡しているように見える。その意味では明日の決勝レースがどうなるか、それは明日の天気を読み切ったのがどのメーカーなのかという答え合わせになるのではないだろうか。
GT500の結果表(暫定)
順位 | カーナンバー | 車両名 | ドライバー | Q1 | Q2 | タイヤ | ウェイトハンデ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | WAKO'S 4CR LC500 | 大嶋 和也/山下 健太 | 1分24秒163 | 1分23秒260 R | BS | 28 |
2 | 19 | WedsSport ADVAN LC500 | 国本 雄資/坪井 翔 | 1分23秒894 | 1分23秒350 | YH | 13 |
3 | 3 | CRAFTSPORTS MOTUL GT-R | 平手 晃平/フレデリック・マコヴィッキ | 1分23秒676 | 1分23秒455 | MI | 22 |
4 | 36 | au TOM'S LC500 | 中嶋 一貴/関口 雄飛 | 1分23秒781 | 1分23秒457 | BS | 44 |
5 | 37 | KeePer TOM'S LC500 | 平川 亮/ニック・キャシディ | 1分23秒914 | 1分23秒471 | BS | 38 |
6 | 24 | リアライズコーポレーション ADVAN GT-R | 高星 明誠/ヤン・マーデンボロー | 1分23秒868 | 1分23秒646 | YH | 12 |
7 | 1 | RAYBRIG NSX-GT | 山本 尚貴/ジェンソン・バトン | 1分24秒028 | 1分23秒736 | BS | 22 |
8 | 8 | ARTA NSX-GT | 野尻 智紀/伊沢 拓也 | 1分23秒466 | 1分23秒809 | BS | 40 |
9 | 12 | カルソニック IMPUL GT-R | 佐々木 大樹/ジェームス・ロシター | 1分24秒191 | ー | BS | 13 |
10 | 23 | MOTUL AUTECH GT-R | 松田 次生/ロニー・クインタレッリ | 1分24秒288 | ー | MI | 49 |
11 | 39 | DENSO KOBELCO SARD LC500 | ヘイキ・コバライネン/中山 雄一 | 1分24秒327 | ー | BS | 28 |
12 | 17 | KEIHIN NSX-GT | 塚越 広大/ベルトラン・バゲット | 1分24秒354 | ー | BS | 12 |
13 | 16 | MOTUL MUGEN NSX-GT | 武藤 英紀/中嶋 大祐 | 1分24秒580 | ー | YH | 4 |
14 | 64 | Modulo Epson NSX-GT | ナレイン・カーティケヤン/牧野 任祐 | 1分24秒780 | ー | DL | 3 |
15 | 38 | ZENT CERUMO LC500 | 立川 祐路/石浦 宏明 | 1分24秒903 | ー | BS | 53 |
GT500も、GT300も明日のレースでのタイヤチョイスには自信を示す
予選終了後にはGT500、GT300それぞれのポール獲得クルーによるポールポジション記者会見が行なわれた。GT500の大嶋和也選手と山下健太選手、GT300の松井孝允選手、佐藤公哉選手の4人が参加されて行なわれた。
──GT500のポールを獲得した6号車 WAKO'S 4CR LC500のQ1を担当した大嶋選手から今日の振り返りを
大嶋選手:チームとしては久々のポールで嬉しい。自分が担当したQ1に関しては飛び出したりもあったりして厳しい予選になってしまった。飛び出した後タイヤを綺麗にして、なんとかタイムを出すことができた。その後、阿部エンジニアと話し合って、普通だったらしないようなセッティング変更をしてQ2の山下選手に渡した。さすが阿部さんというところだ。
──ポールを獲得した山下健太選手はどうだったか?
山下選手:Q2でのアタックは完璧で、無難に1周まとめた形だった。それで何位ですか?と聞いたらポールだったのでびっくりした。鈴鹿からいい流れが来ていて、脇阪寿一監督と、大嶋選手、阿部エンジニアが協力してセットアップを変えてくれた。持ち込みはよかった訳ではないが、フリー走行、Q1でクルマを修正してくれてほぼ完璧なクルマになった。チームが獲ったポールかなという気がしている。
──GT300のお2人にも今日の振り返りを
松井選手:ポールポジションを取れたのはすごく嬉しい。新しくもってきたタイヤが予選に関してはいい方向に転んでいる。明日はとてもすごく厳しい戦いになると予想している。
佐藤選手:Q1では思ったようにタイムが出せず、ギリギリだった。松井選手のアタックに関しては皆さんもそうだろうと思うが、しびれた。鈴鹿に続いてのポールで、明日は厳しい戦いになると思うけど、頑張っていきたい。
──松井選手は新しいタイヤを持ってきたとおっしゃっていたが、具体的に何が違うのか?
松井選手:詳しいことは言えないが、ここまでの改善は主に予選をターゲットにしたものだった。鈴鹿でも新しいタイヤを履いたが、一発に関しては改善されてきたが、ロングランには課題があった。今回のタイヤではそこを改善してきたタイヤで、そこが改善されたら予選も速くなった。
──GT500の2人はタイヤに関してはどうか?
大嶋選手:決勝に向けて問題ないと思っている。去年よりも暑くても平気なタイヤを選んでいる。
山下選手:今回のタイヤは2つの選択肢があるが、すごく悩むぐらい変わらない。なので、僕らが選んでいるタイヤはタイで実績あるタイヤで、普通に大丈夫だと思っている。