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イチネンケミカルズ、AJAJ 菰田潔会長やCOTY選考委員 安東弘樹氏が“CASE時代”について語ったメディアセミナーレポート
「EVが増えてくると、クリンビューがもっと売れなきゃならない」と菰田氏
2019年8月21日 21:01
- 2019年8月21日 開催
カーケア用品「クリンビュー」などを生産しているケミカルメーカーのイチネンケミカルズは8月21日、都内でメディアセミナー「“CASE時代”どう変わる?日本のカーライフ」を開催した。
このセミナーでは、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会長の菰田潔氏とフリーアナウンサーで日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務めている安東弘樹氏が出演。同じくフリーアナウンサーの平井理央氏が司会を担当。「CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)」と呼ばれる自動車技術のトレンドについて解説を行ないつつ、「100年に1度の変革期」と言われる現代の自動車業界の潮流を紹介した。
セミナーではCASEを構成する4つの要素をそれぞれ説明しながら、自分たちのカーライフで起きたエピソードを交えて分かりやすく紹介。コネクテッドでは、クルマにSIMカードが設置されて外部との通信を行なうことにより、コンシェルジュ機能によって目的地周辺のレストラン情報などをカーナビに設定してもらうなどの便利な機能や、万が一の事故発生時に乗員に代わってクルマが救急自動通報を行なうといった安心・安全の機能、車車間通信で路面状況などを共有することによる事故の未然防止といった多彩なメリットを実現することを説明。その一方で安東氏は、クルマを運転することで1人の時間を楽しんでおり、プライベートスペースとしてクルマが持つ意義が薄くなってしまうことが悲しくもあると語った。
自動運転については、関連装備をまったく持たない「レベル0」から完全自動運転の「レベル5」まで、実現する内容に応じてレベル分けされていること、現在は日産自動車やBMWで高速道路に限定した「レベル3」の自動運転が市販段階になってきていることなどを紹介。
この中で菰田氏は、自分が生きているうちにレベル5の完全自動運転のクルマは完成しないだろうとの考えを示し、安東氏も同様だと語った。その理由について菰田氏は、とくに一般道では子供や自転車などが不意に飛び出してくるケースもあり、これをすべて予測して自動運転することは無理だろうとしたほか、現状で自動運転を実証実験している車両に乗っても、GPSによる自車位置測位の精度が不十分で、右左折などでも人間が運転するようなレベルに達していないことを紹介した。
また、自動運転を実現するために生み出されている技術が「ADAS(先進運転支援システム)」としてすでに多数の市販車に採用されており、ドライバーの運転を助ける役目を果たしていることを紹介。このために、どのクルマでもフロントウィンドウの上部にカメラが設置されるようになっているが、このカメラをしっかりと機能させるためにはカメラ前方にあるガラスをクリーンに保っておくことが大切で、そのためにはイチネンケミカルズのクリンビューなどを使うことが重要だとアピール。先進技術である自動運転やADASを実現するために、アナログ要素のクリーニング技術がキーになるとした。
カーシェアについて菰田氏は、レンタカーよりも短い時間での利用に対応するポジションになるとの位置付けを解説。日本ではシェアリング用の車両を駐車するスペースを確保しなければならず、まだ普及が進んでいないことを紹介し、これを受け継いで安東氏が、ドイツで行なわれているカーシェアサービス「DriveNow」の内容を解説した。
ドイツでは路上駐車の取り締まりを行なわない道路が多く、ユーザーはDriveNowの車両を都合のいい場所で乗り捨て可能で、利用開始時もスマートフォンなどで検索するとさまざまな場所でカーシェア車両が見つかることが大きなメリットだと説明。そうなるとクルマを買う人が減ってしまうのではないかと安東氏も疑問に思ったというが、逆にDriveNowで実際に運転したことでそのクルマに興味を持ち、新車購入のきっかけにもなっていると語った。
また、平井氏も自身でカーシェアリングを利用した体験談を紹介。最近ではコインパーキングなどで「カーシェア利用できます」といった表示を目にする機会が増え、大型マンションなどでもカーシェア車両を常設しているところがあり、「いつか使ってみたいを思っていた」とコメントしている。
車両の電動化については、今では一般化したハイブリッドカーのほか、走行用バッテリーを大型化して外部からの充電を可能にしたPHEV(プラグインハイブリッドカー)、外部から充電した電気だけで走るEV(電気自動車)、水素と酸素で発電した電気で走るFCV(燃料電池車)など、モーターを使って走行する車両にもさまざまな種類があることを紹介。この中で、今後欧州では自動車メーカーごとのCO2排出量の平均量規制がスタートする予定となっていることから、PHEVとEVが爆発的に増えていくだろうとの考えを示した。
また、ポルシェでもEVの「タイカン」を2020年に発売予定としているなど、スポーツカーでも電動化の動きが活発になってきており、モータースポーツでもF1マシンにモーターが搭載されてハイブリッド化が行なわれているほか、EVであるフォーミュラEも注目を集めていることが紹介され、安東氏は「もしかすると、5~6年でF1とフォーミュラEの人気や経済規模が逆転してしまうかも」と評価した。
このほか、電動化では菰田氏が「EVが増えてくると、クリンビューがもっと売れなきゃならない」と説明。EVではエアコンの使用による影響で航続可能距離が大きく低下する傾向があり、例えばエアコンがOFFの状況で「180km」と表示されている航続可能距離が、エアコンをONにした瞬間に「120km」に低下することもあると解説。そのため、EVではできる限りエアコンはOFFにしておきたいが、その状況ではウィンドウが曇りやすい。そこでクリンビューを使い、エアコンOFFでもクリアな視界を保つことがEVで長距離走行するポイントになることをアピール。車内温度は走り出す前の充電状態であらかじめ快適になるよう準備しておき、エアコンではなくシートヒーターやステアリングヒーターを使うことがポイントだと紹介した。
また、菰田氏が免許を手に入れたばかりのころはカーエアコンが一般的ではなく、当時もクリンビューを愛用していたとのエピソードを紹介。長い月日を経て、再びクリンビューが大きな役割を持つことになると語った。
菰田氏は電動化について、自身でPHEVのロングドライブを行なった実体験についても取り上げ、都内での短距離移動が中心で充電した電気ばかりを使って走行するシーンでは燃費が非常に良好だが、都内から京都府まで一気に走ると途中で充電した電気を使い切ってしまい、結果的には既存のガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車などよりも燃費がわるくなったと説明。また、現状で予定されている政府などの規制やインセンティブは、この先の技術革新などで方向が変化することも考えられるので、ユーザー1人ひとりが自分のライフスタイルとパワートレーンの特徴を合わせていくことが重要だと締めくくっている。