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アプトポッド、高精度車両データ計測&可視化を実現するSaaSソリューション「intdash Automotive Pro」

Amazon Web Serviceと連携してディープラーニングも可能に

アプトポッド、SaaSソリューション「intdash Automotive Pro」。4ストリームの映像、CAN信号を完全同期して流していた

 アプトポッドは、高精度な車両データ計測を実現するSaaSソリューション「intdash Automotive Pro」の最新版を「第12回 オートモーティブ ワールド」に展示した。このAutomotive Proは、アプトポッドの独自技術により車両を流れるCANデータをタイムスタンプとともにパケット化。そのパケットをWebサービス側で再構成することで、高精度かつロスのないデータ記録&再現が行なえる。さらに、それをHTML5表示することでデバイス依存のないデータ再生環境を実現している。

 今回展示された最新版のAutomotive Proでは、そのようなデータ記録を容易にする独自開発カメラとマルチソースハードウェアエンコーダを展示。独自開発カメラで撮影した4つの映像ストリームをマルチソースハードウェアエンコーダに入れることで4画面の映像を記録。この映像はアプトポッドの独自技術でパケット化&タイムスタンプ記録が行なわれており、同じくアプトポッドの独自技術でパケット化されたCAN信号と完全同期することが可能になっている。

デモのブロックダイヤグラム
「intdash Automotive Pro」の撮影ソリューション。カメラもアプトポッドが提供し、システムの構築を容易にしている

 これにより、ステアリング操作、アクセル操作などと映像を完全に同期することが可能となり、クルマの挙動テストの際に正確なデータを取得できる。例えばクルマの動きと映像を学習させていく際に、操作データと映像データのずれがあると、そのずれが学習され使い物にはならない。意味のあるデータを取得できる装置になっている。

 また、完全同期可能なパケットデータであるため、例えばリアルタイムに走行データを取得したいが、山の中なのでどうしても電波が途切れるというシチュエーションにも対応できる。自動車のテストコースやサーキットは山の中にあることも多く、そういったコースでのデータ取得にも適している。ただ、やはりリアルタイムにデータを取得したいという要望は多く、アプトポッドではSIMを8個装着可能なデータ送信機も展示していた。

株式会社アプトポッド 代表取締役 坂元淳一氏
8個のSIMが入るデータ送信機。これはアプトポッド製ではないが、ユーザーの要望があるため用意している

 アプトポッド 代表取締役 坂元淳一氏によると、このユニットは8個のSIMが入るため、NTTドコモ、au、ソフトバンク、etcといった複数のキャリアの電波をつかむことで、できるだけリアルタイム性を維持しつつデータを確保できるという。もちろん電波的に寸断などしても、同社の技術によってタイムスタンプ付きパケットを再構成してデータを復元できる。

 アプトポッドでは、データをクラウドにアップするSaaSソリューションという特徴から、そのデータをAmazon Web ServiceなどのAIサービスに容易につないでいくことができる。現在はそちらの訴求も行なっており、その際もデータの確実性が保障されていることは学習上有利に働くという。

AWSと連携してのディープラーニング構成
映像に対して、リアルタイムに個人情報の消し込み
音声に対して、リアルタイムにフィルタリング
アプトポットの展示全景

 一般的に映像や音声のようなマルチメディアデータの場合、リアルタイム性を重視するため、データ欠損を許容するインターフェースやデータフォーマットが存在する。よく知られているところではUSBのアイソクロナス転送がある。アプトポッドのAutomotive Proは、それとは真逆の発想で、時間軸を保証するととともにデータに関しても欠損ゼロを実現している。さらにクラウドサービスとすることで、データ利用の可用性も高めたパッケージとなっていた。