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アプトポッド、車載エッジAIコンピュータ「エッジプラント T1」 CANやLiDARデータをNVIDIA AIで解析後クラウドへ

2021年3月8日 発表

車載用エッジAIコンピュータ「エッジプラント T1」。4つのUSB接続カメラユニットは汎用の別売品

車載用のエッジAIコンピュータ「EDGEPLANT(エッジプラント)」

 アプトポッドは3月8日、車載向けエッジAIコンピュータブランド「EDGEPLANT(エッジプラント)」を発表した。エッジAIコンピュータブランドとなっているのは、エッジAIコンピュータを処理能力などによってファミリー化していくため。第1弾として、NVIDIA Jetson TX2を採用した「EDGEPLANT T1」を発表した。

 アプトポッドは、これまでクルマからのCAN信号など車載デバイスが発進する信号をクラウドで処理、データ演算するとともにビジュアル化するなどのサービスを展開してきた。アプトポッド 代表取締役 坂元淳一氏によると、そうしたデータの後処理の仕事をしているなかで、データの入口のニーズもまたあるという。

 とくに、クルマやバス・トラックなどのモビリティ、重機・建設機械・農業機械などの産業機械、ロボット・AGVなど、動きを伴うもののデータ出力の際に、データを生み出す側である程度データを処理するエッジコンピューティングが大切になっているという。

 そのエッジコンピュータのニーズには、簡単なデータ処理だけではなく、動画像をはじめとしたエッジAI処理、複数カメラ入力からの動画エンコード処理、データフュージョン処理による学習データ収集、ロボティクス分野におけるROS処理とコネクテッド化などの、ハイパワーかつAI処理が必要なニーズがあり、アプトポッドのエッジプラントは、そうしたニーズに応えていくとのことだ。

オンラインで説明会を行なった株式会社アプトポッド 代表取締役 坂元淳一氏

エッジプラントの仕様

USB経由で入力先を増やしていくことができるエッジプラント T1。右下はCANデータの入力機器、左下はモニタ(出力)やスイッチ(入力)を備える監視用のデバイス

 アプトポッドが最初に発売するエッジプラント T1では、AIコンピュータであるNVIDIA Jetson TX2 4GBを用いて、モビリティのエッジAIコンピューティングを行なっていく。

 坂元氏によれば、「このエッジプラント T1の最大の特徴は車載仕様を満たしている」とのこと。エッジプラント T1は、車載機器に求められるEMC規格(Eマーク)と信頼性規格(JASO D014)に準拠し、過電圧や逆極性電圧に対する保護機能や耐振動・衝撃性能を持つ。車載機器として必要な、広い動作温度範囲 (-20℃~+65℃)も実現。電源管理とフォルト監視のための独立したMCUを装備し、外見から分かるようにアクティブファンも備えている。

 専用設計された筐体も冷却性能に配慮したもので、アクティブファンから流れるようにデザインされたヒートシンクが、そのこだわりを感じさせるものになっている。ちなみに温度センサーで動作するファンの発生音については「静かです」(坂元氏)とのことだ。

エッジプラント T1
冷却性能を配慮したヒートシンクデザイン
右のGNSSは、衛星電波受信用のアンテナ取り付け端子
SIMも装備可能でクラウドと通信しつつ移動できる

 エッジプラント T1の筐体サイズは、135×143×48.5mm(幅×奥行き×高さ、突起部含まず)。質量は約1.0kg。電源はDC 9~36V、4.6A(最大)と幅広い電源環境に対応する。

 内蔵ストレージは16GB eMMC、M.2 Key M2242 with SATA3.1を備え、移動データ通信のために1つのM.2 Key B with USB 3.0(Sierra Wireless 社のEM7430モジュールに対応)も備える。これによりAI処理したデータをクラウドにアップロードできるため、安心して車載機器として、データ発生器として使える。

 データ入力は、4つのUSBポートと1つのEthernet(1000BASE-T[RJ-45])を使用。カメラの映像などはUSBポートから入力し、CANデータ入力用に2系統までCANデータを入力できる「EDGEPLANT CAN-USB Interface」を、アナログセンサーからのデータを入力できるよう「EDGEPLANT ANALOG-USB Interface」(16bit精度8チャンネルのガルバニック絶縁型アナログ入力と、12bit精度1チャンネルのアナログ出力、2021年6月発売予定)を用意。USB入力はUSBパッチベイで増やすこともできるため、必要に応じて入力を増やしていけばいいだろう。

USBポートは4つ備える。抜け防止のためのツメも付いている

 この各デバイスからの入力データに対して、エッジプラント T1はタイムコードを付加。タイムコードを付加することで、CANデータの変化と映像の変化やセンサーデータの変化を突き合わせることができ、データの検証性を高めている。

 例えばドライバーのステアリング操作に対してクルマの各部がどう動いたかも容易に検証できる。もちろん、GNSSを装備しており、衛星測位システムとしてGPS/Glonass/QZSS/Galileo/BeiDouをサポート。先ほどのタイムコード機能の元となるクロックも衛星からのPPSで補正可能のため、補正タイミングによるが時計の精度は30万年に1秒以下と言われる原子時計レベル(GPSにはセシウム原子時計およびルビジウム原子時計が搭載、QZSS[準天頂衛星]にはルビジウム原子時計が2台搭載)になる。

 正確な時刻データにひも付いたデータを、大量にそのままクラウドシステムに送ることもできるし、LiDARデータなど大量に発生するセンサーデータ、大容量になる映像データはエッジAI処理で意味のあるコンパクトなものにして送ることもできる。

AIコンピュータには、AIライブラリの豊富なNVIDIA Jetson TX2を使用

フルHDの4画面を処理しつつ、位置データからマップと照合。左下にはステアリングやアクセル開度などのCANデータが、右下にはタイムラインで見える化された音声データが表示されている。これらが衛星時刻同期データになっているのは便利

 エッジAI処理にはNVIDIA Jetson TX2を使用しているので、スーパーコンピュータまでつながるシングルアーキテクチャのNVIDIA AIライブラリが利用可能。どの程度AIデータ処理をエッジ側で行なって、どの程度クラウド側で行なうかは開発要件によって自由に調整可能だろう。

 坂元氏の言うようにエッジプラント T1の特徴は、NVIDIA Jetson TX2のAIコンピューティングパワーを車載案件を満たしつつ、正確なタイムコードを振りながらデータ処理に使えることにある。

 このエッジプラント T1の発表にあたって、エヌビディア合同会社 日本代表兼米国本社副社長 大崎真孝氏、マクニカ イノベーション戦略事業本部 本部長 佐藤篤志氏、菱洋エレクトロ 取締役 常務執行役員 安田誠樹氏がエンドースコメントをよせており、マクニカや菱洋エレクトロからエッジプラント T1は販売される。

 販売の受け付けは本日から行ない、製品発売は4月を予定。

データ処理のブロックダイヤグラム。右下でエッジAI処理され、SaaSとなる上流工程では、さまざまな加工が可能