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TOYOTA GAZOO Racing、WECシーズンと同じ7号車&8号車のゼッケンで「バーチャル・ル・マン24時間レース」に初参戦

特別な「TS050 HYBRID」のカラーリングを施したLMP2クラスの「オレカ07」を使用

2020年6月5日 発表

TOYOTA GAZOO Racingが「バーチャル・ル・マン24時間レース」に参戦

 TOYOTA GAZOO Racingは6月5日、新たなチャレンジとして6月13日~14日に初開催されるACO主催の「バーチャル・ル・マン24時間レース」にFIA世界耐久選手権(WEC)のチームとして参戦すると発表した。

 WEC 2019-2020年シーズンは6月のル・マン24時間レースをもって閉幕となる予定だったが、3月以降のイベントが大幅に順延され、8月、9月、11月に残りの3レースが行なわれることとなっている。そこで、本来24時間レースが予定されていた6月13日~14日にバーチャルでの24時間レースが実施されることとなり、チームはこのレースへの招待を受諾、参戦することを決定。

 2018-2019年シーズンWECのチャンピオン、そして直近2回のル・マン24時間レース勝者という立場でありつつも、2月のオースティン戦以来となるWECのレースを待ち焦がれているファンに楽しんでもらうために、TOYOTA GAZOO Racing WECチームとしてeモータースポーツ初レースに挑むとしている。

 最初の公式セッションは6月9日~11日の中央ヨーロッパ夏時間10時から12時間、そして12日は同じく10時から7時間のフリー走行を実施。スターティンググリッドは12日の18時10分からカテゴリーごとに20分ずつの予選セッションを行なって決定される。

 決勝レースは伝統的なル・マン24時間レースと同じく、13日の15時にスタート。各セッションおよびレースの模様はソーシャルメディアやストリーミングサイトでライブ配信される予定となっており、詳細は近日中に主催者から発表される予定とのこと。

 TOYOTA GAZOO Racingは、WECシーズンと同じ7号車、8号車のゼッケンをつけた車両で参加。ただし、今回のバーチャル・ル・マン24時間レースではハイブリッドLMP1クラス車両の使用が許されていないため、他のプロトタイプクラス参戦チームと同じくLMP2クラスの「オレカ07」を使用し、特別な「TS050 HYBRID」のカラーリングを施すという。

 また今回のイベントでは、1台あたり最低4名のドライバーが必要という規則となっており、チームは今回使用される「rFactor 2」というPC用シミュレーションソフトウェアとそのセットアップ特性への豊富な経験を持つ、有力なeモータースポーツレーサーを4人目のドライバーとして選択した。

 7号車は世界選手権ポイントリーダーでもあるレギュラードライバーのマイク・コンウェイ選手、小林可夢偉選手、ホセ・マリア・ロペス選手の3名に、フランス、ル・マン出身のeモータースポーツレーサーであるマキシム・ブリアン選手が加わる。

 8号車はセバスチャン・ブエミ選手、ブレンドン・ハートレー選手に加え、TOYOTA GAZOO Racing WECチャレンジプログラムの育成ドライバーである山下健太選手が、レギュラードライバーの中嶋一貴選手に代わって出場。そして、4人目のドライバーとしてオランダ・モンフォール出身のユーリ・カスドルプ選手が加わる。

 コンウェイ選手、ロペス選手、ブエミ選手、ブリアン選手、カスドルプ選手はヨーロッパ、ハートレー選手はニュージーランドのそれぞれの自宅からシミュレータでレースに参加。小林選手と山下選手は東京からの参加となり、中嶋選手が山下選手のサポート役にまわるという。全てのドライバーはドイツ・ケルンのTOYOTA GAZOO Racingエンジニアリングチームによるサポートの下で、セットアップやレース戦略の分析/開発を行なうとのこと。

 なお、50台のエントリーリストには、北米IMSAやインディカーなどのレジェンドであるペンスキー・レーシング、eモータースポーツの強豪、チーム・レッドライン、TOYOTA GAZOO Racing アルゼンチン、そしてWECのレギュラーチームであるレベリオン、アストンマーチン、ポルシェといった世界中のモータースポーツに関わるそうそうたるチーム名が並んでいる。

チームメンバーからのコメント

村田 久武 TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表

 eモータースポーツはわれわれチームにとって新境地ですが、レースへの高揚感とともに謙虚な気持ちを持って、バーチャル・ル・マン24時間レースに臨みたいと思います。本来6月13日から14日に行なわれる予定であったル・マン24時間レースが延期となったこの期間に、耐久レースファンの皆さまがわくわくできるレースをお見せできればと思います。競争の厳しいeモータースポーツの世界で、われわれに何ができるか、を見られることを楽しみにしています。

小林可夢偉選手(7号車)

 24時間レースをファンの皆さまに見ていただけるというのは素晴らしいことです! 非常に短期間に多くのことを覚えなくてはならないですし、われわれはLMP2カーでの経験がありません。また、今回使用するソフトウェアもなじみがないので大変厳しい戦いになると思います。簡単なレースにはならないと思いますが、このイベントは勝つことが目的ではありません。いつものル・マンの週末に、ファンの皆さまのために全力を尽くします。

マイク・コンウェイ選手(7号車)

 私自身はeモータースポーツの経験はあまりありませんが、新たな挑戦にワクワクしていますし、全力で挑みます。われわれが通常戦っているWECのレースとは全く異なり、間違いなく苦戦するでしょう。他のチームによるeモータースポーツへの挑戦を見ていると、とてつもなく困難なチャレンジだということは分かります。しかし、この機会を楽しみ、ファンの皆さまにも楽しんでもらえたらと思っています。

ホセ・マリア・ロペス選手(7号車)

 私はeモータースポーツの経験が豊富で、よく知っています。信じられないほど競争が激しく、トップのeレーサーたちは非常に熱心で、膨大な時間をかけて練習しています。それは、われわれがこれまでにTS050 HYBRIDで走った時間よりもはるかに多いでしょう。再びマイク、可夢偉、そしてマキシムと共にレースができるのを楽しみにしています。この自粛期間は、練習を重ねてチームを作り上げていくのに最適な時間だと思っています。

マキシム・ブリアン選手(7号車)

 初のバーチャル・ル・マン24時間レースに、TOYOTA GAZOO Racingのドライバーの一員として参加できることになり、本当に嬉しいです。もちろん、マイク、可夢偉、ホセのWECにおける活躍はよく知っていますし、ホセとはeモータースポーツで一緒に戦ったこともあるので、レースが待ち切れません。お互いに経験を供給し、学び合うことができると確信しています。私はこれまでeモータースポーツのル・マンで何度か勝っています。地元ということもあり、何度戦ってもここでのレースは特別です。

山下健太選手(8号車)

 バーチャル・ル・マン24時間レースにTOYOTA GAZOO Racingの一員として参加する機会が得られて本当に嬉しいです。本来であれば、この週末にはLMP2クラスのハイクラス・レーシングからル・マン24時間レースに初出場となるはずでした。それだけに、東京でTOYOTA GAZOO Racingの一員としてレースに出るのは異例ですが、ファンの皆さまにエキサイティングなレースを見せられるよう全力を尽くします。

セバスチャン・ブエミ選手(8号車)

 フォーミュラEのeモータースポーツ選手権に参戦しているので、このソフトウェアにはもう慣れました。昨年のル・マンの時に、健太がグランツーリスモで最速タイムを出していたのを覚えています。われわれもなんとか彼を倒そうとしましたが、彼は何か裏技でも知っていたのではないかと思います。そんな健太、そしてユーリ、もちろんブレンドンとレースを戦えるのが本当に楽しみです。

ブレンドン・ハートレー選手(8号車)

 セブとユーリがヨーロッパ、健太が日本、そして私がニュージーランドに居ながら、一緒に24時間レースを戦うというのは面白い経験になりそうです。ドライバーはそれぞれのタイムゾーンが異なるため、常に誰かが昼間の時間帯となり、誰も深夜に起きる必要が無いというのはよい点です。最後のWECレースを戦ってからずいぶん経ってしまいましたし、レースが待ち遠しいです。

ユーリ・カスドルプ(8号車)

 これまでに観客として何度かル・マン24時間レースを見たことがありますが、2人のル・マン勝者かつ世界チャンピオンであるセブ、ブレンドン、そしてSUPER GTのチャンピオンである健太のような最高のドライバーと共にレースができるのは夢のようです。千載一遇の機会であり、間違いなく最高の体験となるでしょう。TOYOTA GAZOO Racingのユニフォームを着て、この最高のチームメイトと、私の得意なシミュレーション上で、ル・マンレースを戦うのが待ちきれません。

イベント概要

タイトル:24h LE MANS VIRTUAL
開催日時(日本時間):2020年6月13日22時~6月14日22時予定
レース:eレース用ソフトウェア「rFactor 2」(PC用シミュレーションソフト)を使用
配信:WEC公式Webページおよびアプリ
ドライバーラインアップ:
7号車 マイク・コンウェイ選手、小林可夢偉選手、ホセ・マリア・ロペス選手、マキシム・ブリアン選手
8号車 セバスチャン・ブエミ選手、ブレンドン・ハートレー選手、山下健太選手、ユーリ・カスドルプ選手
10号車(TGRアルゼンチン) ネルソン・ピケ・Jr.選手(TGRブラジル・ドライバー)、ジュリアン・サンテロ選手(TGRブラジル・ドライバー)、ファブリツィオ・ゴビ選手(シムレーサー)、モレノ・シリカ選手(シムレーサー)