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東陽テクニカ、「加速度センサーで人とクルマの移動軌跡から位置関係を特定する技術」で特許取得

自動運転やADAS(先進運転支援サービス)の研究開発への応用を目指す

2020年6月23日 発表

複数のセンサー素子から成り、加速度と角速度を検出する慣性計測装置のデータから人と自動車の位置関係を特定する

 東陽テクニカは6月23日、「IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)で得られた加速度データから人間と自動車の移動軌跡を算出し、両者の位置関係を特定するための解析方法」について、4月8日に特許を取得したと発表した。

技術概要

 IMUで得た加速度データから両者の位置関係を特定する解析方法は、人に装着したIMUと、自動車に搭載したIMUで計測した加速度データから、それぞれの変位(移動量)を計算して移動軌跡を求め、両データのタイムスタンプを同期させることで両者の位置関係を特定する。

 人(歩行者)と自動車の位置関係を約5cmの精度で高頻度(2000回/秒)に検出することができ、自動運転/ADAS(先進運転支援システム)の開発・研究への応用も期待される。また、位置の特定がGPSなどの測位システムに依らないため、建物や樹木などの遮蔽物が多い公道や、屋内でも使用可能なうえ、他の計測システムのデータを取り込んで同期することもできる。

 例えばドライバーの視線計測システムと同期することで、ドライバーの視線が歩行者を捉えたタイミング、その時の歩行者と自動車の位置を正確に測定できる。また、ペダル操作や操舵など車両の挙動に関するデータと同期することも可能。

 この技術は、自動車開発における多くの場面での利用が期待され、東陽テクニカでも、最新の計測機器とこの技術とを組み合わせた、新しい自動車計測技術を開発し、製品化を目指すという。

特長

IMUの計測のみで描いた自動車の移動の軌跡。コースを周回してスタート地点に戻って来るルートで測定。約24mの高低差がある地形でも誤差の少ない移動軌跡を描くことに成功

・IMUで計測した人と自動車の加速度データのタイムスタンプを同期し、同時刻における両者の位置関係を測定
・GPSなどの測位システムを用いず、IMUでの計測のみから誤差±5cmの精度で位置検出を可能にする独自の計算処理
・高頻度(2000回/秒)な位置検出が可能
・GPS電波の届かない環境でも位置計測が可能
・IMU以外の測定システムのデータも同期可能

特許内容

・発明の名称:解析方法および解析装置
・特許番号:特許第6688930号
・登録日:2020年4月8日