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横浜市で展開、日産とも連携したトヨタのアプリ「my route」説明会

横浜のおでかけスポット検索からルート案内、タクシー配車まで可能

2020年7月22日 開催

「my route」説明会に登壇した株式会社アットヨコハマの4名。写真左から取締役 東昭人氏、代表取締役 上野健彦氏、代表取締役 宮原漢二氏、取締役 山内英志氏

 神奈川県オールトヨタ販売店(神奈川トヨタ自動車・横浜トヨペット・トヨタカローラ神奈川・ネッツトヨタ神奈川他)によって共同設立されたアットヨコハマは7月22日、横浜都心臨海部を対象にスマートフォン向けマルチモーダルモビリティサービス「my route(マイルート)」の展開を開始した。横浜市に加え、連節バス「ベイサイド・ブルー」をはじめとする各種公共交通機関やタクシー配車サービス、地域の商店街などと協力、また日産自動車とも連携することで、シームレス、かつ“密”のない安心・安全な移動を実現するという。

 同日横浜メディア・ビジネスセンターにてマイルート説明会が開催され、アットヨコハマより代表取締役 上野健彦氏 (KTグループ 代表取締役会長)、同じく代表取締役 宮原漢二氏(横浜トヨペット 代表取締役社長)、取締役 山内英志氏(横浜トヨペット 取締役)、取締役 東昭人氏(KTグループ 専務取締役)の4名が登壇した。

 マイルートはトヨタ自動車が開発したアプリ。電車やバスはもちろん、タクシーやカーシェア、サイクルシェアなども含めたさまざまな交通手段を使ったルート案内や、そうしたサービスの決済、またグルメ情報といった街の情報を1つのアプリでシームレスに提供できる。すでに福岡市と北九州市、水俣市で本格的なサービスを開始、横浜市は4番目のサービス開始エリアとなる。

 上野氏は、マイルートについて「どういうものかというと、目的によって行きたい場所を選び、その移動手段を検索して、選択して、手配をして、必要であれば決済をする、そういう一連の仕組みが入っているサービス」と紹介。当初は、オリンピック・パラリンピックで人がたくさん集まる中で、ストレスなくシームレスな移動の情報を提供するのにはどうすればいいかというところからスタートしたというが、新型コロナウイルス感染拡大があり、春先にサービス開始する予定だったものを延期したのだという。

マイルートを紹介する上野健彦氏

 しかし延期した後もいろいろな声を集め、考えてみると、移動の制約がかかったなかで行きたいところに安心して移動する情報を届けるのも非常に重要な私たちの役割だろうと思ったといい、この日のスタートに踏み切った経緯を紹介した。

 サービスの展開にむけて、2つの資本グループがある神奈川県のトヨタ販売店が、その合弁で株式会社アットヨコハマを作ったとのこと。

 上野氏は、「マイルートのプラットフォームを作ったトヨタ自動車や運用のトヨタファイナンシャルサービス、それから特筆すべきところで日産自動車さんが『いっしょにやりましょう』と乗っていただけた。さらに横浜市の交通局、海上交通に携わる各社の皆さま、さらに街の魅力を向上させたいという商店街の皆さまにも参加いただいた。そうした地域の力を集めるにあたっては横浜市の都市整備局の皆様にも尽力いただいたことも加えておきたい」と多くの協力があって実現できたと説明。

 しかし「今日スタートしましたが、いろんなものができあがってスタートした、というよりは、産声を上げたというのが形容としてはピッタリくる」と言い、「ここにいろいろな参画の輪を広げ、いろんな声を集めて、より使いやすいものに育てていきたい」と今後さらにサービスを充実させていくつもりであることをアピールした。

マイルートを使うメリットとは?

 続いて横浜でスタートするマイルートについての説明がなされた。マイルートとは2018年11月1日より福岡市において、トヨタ自動車と西日本鉄道が実証実験としてスタートしたのが最初。そして2019年11月より福岡市と北九州市で本格的なサービスを開始している。

7月22日より横浜市でもマイルートのサービスがスタートした

 マイルートはいわゆるMaaS(Mobility as a Service)と呼ばれるもの。おそらく多くの人がすでに使ったことのあるサービスだが、それらサービスを1つのアプリでこなせるところがマイルートのポイントとなる。

 たとえば、おいしい食事が食べたいときには、まずはグルメスポットをアプリで探したら、お店の最寄りの駅までの行き方は乗り換えアプリで調べ、そこから歩いて行くなら地図アプリでルートを検索。もしも遠くてタクシーに乗るならタクシーのアプリでタクシーを呼んだり、あるいはサイクルシェアのアプリで自転車の空き状況を調べたり。さらにそれらの支払いはクレジットカードで行なったり電子決済を使ったりと、これまでであれば、目的地を探すところから実際にたどり着くまでにいくつものアプリを使い分け、何種類もの決済を行なう必要があった。

 それがマイルートを使うと、横浜周辺のスポット検索から可能で、そのままシームレスに目的地設定、ルート検索が可能になる。ルートプランは電車やバスだけでなく、タクシーやサイクルシェア、さらに水上交通を使ったプランもリストアップ。加えてこれまでにないポイントとして、移動する人数も設定できるので、例えば4人であればタクシーを使っても料金が大きく変わらない、といったことまで踏まえてルートを比較することもできる。

 さらにルートを見つけるだけでなく、利用するタクシーやサイクルシェアなどの手配までマイルートアプリでできる。タクシーの手配は「Japan Taxi」と、横浜版では新たに「MOV」にも対応。ただしJapan Taxiはマイルートのアプリ上で手配まで完結できるが、MOVについてはMOVのアプリへ遷移する形だという。

 他にもサイクルシェアの「横浜 baybike」は、マイルートのアプリ上でサイクルスポットを検索したり、空車状況を確認してそのまま予約、決済までできる。さらには、レンタカーの「トヨタレンタカー」「日産レンタカー」、カーシェアリングのトヨタ「ラクモ」と日産「e-シェアモビ」とも連携し、加えてクルマを利用する場合は駐車場も検索する必要があるが、「akippa」も連携しているので、マイルートから目的地近くの駐車場を探すことも可能だ。さらに、横浜市交通局のバスの1日乗車券「みなとぶらりチケット」も、今回デジタル版を販売開始し、マイルートから24時間いつでも購入することができる。

さまざまなサービスをシームレスに使うことができるマイルート
複数の移動手段を組み合わせたマルチモードルート提案が可能
移動人数を料金に反映させることも
バスの1日乗車券もスマホで決済
タクシー、鉄道、バスのチケットを決済まで一連のサービスで提供(ただしMOVは専用アプリが必要)
カーシェアリングは日産のe-シェアモビにも対応
サイクルシェアのbaybikeは予約から決済までサービスを提供

 横浜の情報を発信しているというのもポイントで、横浜のトレンド情報としては、テイクアウト可能なお店の情報を掲載したり、グルメ情報、商店街ガイド、また連結バスのベイサイドブルーやオープントップバス、さらにクルージングといった多彩な交通の情報や、お役立ち情報として無料Wi-Fiスポット情報や緊急時の避難情報(15か国語に対応)なども提供。地域限定だからこその情報発信が可能で、さらに情報を見つけたら、そのままシームレスに目的地設定することができるのもポイントとなる。

 今後、さらに提携先を広げていけば、利用者にとってより多くの選択肢が提供されることになるし、今後トヨタとしてパーソナルモビリティのサービスなどが加われば、新しい交通手段も生まれる。さらにもっと多くの商店街などの情報も集めて、いままで以上にディープな横浜の情報を発信していきたいという。

グルメ情報やテイクアウトできるお店の情報、商店街の情報なども掲載
地域限定だからこその情報発信も大きなポイントだという

 今回マイルートが横浜市でスタートした形だが、今後さらにエリアを拡大し、全国に広めていく予定だという。さらに、まだサービスが始まっていないエリアであっても、機能は限定的ではあるがルート探索機能などを使うことができるというので、横浜に行くときはもちろん、まずはダウンロードして使ってみてはいかがだろう。