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スーパーフォーミュラ開幕戦もてぎ、4800人の有観客試合で開催。トヨタの平川亮選手が優勝
2020年8月30日 16:15
- 2020年8月30日 決勝開催
8月30日、日本最高峰のフォーミュラレースとなる全日本スーパーフォーミュラ選手権の開幕戦「2020年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第1戦」が、ツインリンクもてぎで予選、決勝とも行なわれた。この開幕戦は、今シーズンの日本のビッグレースとしては初めてとなる有観客レースとして行なわれた。前日の観客数は3500人、決勝日の観客数は4800人。
午前中に行なわれた予選では平川亮選手(20号車 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19/トヨタ)がコースレコードを更新しポールポジションを獲得し。午後の決勝レースではポールからスタートした平川亮選手が、追いすがる山下健太選手(3号車 ORIENTALBIO KONDO SF19/トヨタ)しのぎ切って優勝した。2位は山下選手、3位はこのレースがデビューレースとなるサッシャ・フェネストラズ選手(4号車 ORIENTALBIO KONDO SF19/トヨタ)となった。
予選でコースレコードを2度も更新した平川選手
本来であれば4月の鈴鹿サーキットで開幕戦を迎えるはずだったスーパーフォーミュラだが、COVID-19の感染拡大に伴いレーススケジュールは見直され、8月のツインリンクもてぎで開幕戦を迎えることになった。通常スーパーフォーミュラのレースは土曜日に予選、日曜日に決勝を行なう形になっているが、今回は午前中に予選を行ない、午後に決勝を行なうワンデーレースで開催された。
予選は予選1回目(Q1)、予選2回目(Q2)、予選3回目(Q3)の3つのセッションで行なわれた。Q1は、A、Bという2つのグループに分けて行なわれ、上位7台までがQ2へ進む形になっている。その後Q2では14台が8台に絞られ、Q3では上位8台での戦いになる。レースの距離も短いため、予選での順位が決勝での結果につながる可能性が高い。
Q1では各車とも10分ある後半にタイムアタックを行なう状況になった。A組でトップに立ったのは坪井翔選手(39号車 JMS P.MU/CERUMO・INGING SF19/トヨタ)、B組でトップに立ったのは福住仁嶺選手(6号車 DOCOMO DANDELION M6Y SF19/ホンダ)になった。このQ1で意外なQ1落ちになってしまったのは、Aグループの野尻智紀選手(16号車 TEAM MUGEN SF19/ホンダ)とBグループの牧野任祐選手(64号車 TCS NAKAJIMA RACING SF19/ホンダ)。特に牧野選手はわずか3/1000秒差でQ2進出を逃しており、残念なQ1落ちとなってしまった。
Q2では7分で戦われた。1分31秒096というタイムをマークした平川亮選手(20号車 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19/トヨタ)がコースレコードを樹立した。だが、このセッションでは昨年のチャンピオンであるニック・キャシディ選手(1号車 VANTELIN KOWA TOM’S SF19/トヨタ)が11位、昨年ランキング2位だった山本尚貴選手(5号車 DOCOMO DANDELION M5S SF19/ホンダ)が14位でQ2で脱落してしまった。上位は1位~7位までがトヨタ勢。ホンダ勢でQ3へ進んだのは大湯都史樹選手(65号車 TCS NAKAJIMA RACING SF19/ホンダ)のみで、今シーズンデビューしたルーキーだけという状況になってしまった。
7分で行なわれたQ3では、その平川選手がさらにQ2のタイムを縮める1分31秒083をマークし、さらにコースレコードを更新しポールポジションをゲットした。
2位にはこのレースがデビューレースとなるサッシャ・フェネストラズ選手(4号車 ORIENTALBIO KONDO SF19/トヨタ)、そして3位にはそのチームメイトとなる山下健太選手(3号車 ORIENTALBIO KONDO SF19/トヨタ)。コンドーレーシングが2-3となった。
4位もこのレースがデビューレースでホンダ勢唯一の大湯都史樹選手で、ルーキーが2位、4位に並ぶという結果になった。
なお、予選後に18位グリッドを獲得した名取鉄平選手(50号車 Buzz Racing SF19/ホンダ)は、外国人が参戦できないために代役参戦。スーパーフォーミュラ・ライツとの複数参戦となっていたが、予選後にリタイヤ届けが出された。これにより19位だったタチアナ・カルデロン選手(12号車 ThreeBond Drago CORSE SF19/ホンダ)が繰り上がり、18番グリッドからスタートすることになった。
スーパーフォーミュラ開幕戦 もてぎ 予選結果
順位 | カーナンバー | ドライバー | 車両名 | エンジン | Q3 | Q2 | Q1 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 20 | 平川亮 | ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 1分31秒083 | 1分31秒096 | 1分31秒461 |
2 | 4 | サッシャ・フェネストラズ | ORIENTALBIO KONDO SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 1分31秒396 | 1分31秒281 | 1分31秒577 |
3 | 3 | 山下健太 | ORIENTALBIO KONDO SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 1分31秒535 | 1分31秒534 | 1分32秒011 |
4 | 65 | 大湯都史樹 | TCS NAKAJIMA RACING SF19 | HONDA/M-TEC HR-417E | 1分31秒537 | 1分31秒690 | 1分32秒025 |
5 | 36 | 中嶋一貴 | VANTELIN KOWA TOM’S SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 1分31秒603 | 1分31秒667 | 1分31秒719 |
6 | 38 | 石浦宏明 | JMS P.MU/CERUMO • INGING SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 1分31秒632 | 1分31,623 | 1分31秒884 |
7 | 19 | 関口雄飛 | ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 1分31秒728 | 1分31秒572 | 1分32秒249 |
8 | 7 | 小林可夢偉 | KCMG Elyse SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 1分31秒874 | 1分31秒627 | 1分31秒848 |
9 | 6 | 福住仁嶺 | DOCOMO DANDELION M6Y SF19 | HONDA/M-TEC HR-417E | ー | 1分31秒706 | 1分31秒440 |
10 | 18 | 国本雄資 | KCMG Elyse SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | ー | 1分31秒761 | 1分32秒391 |
11 | 1 | ニック・キャシディ | VANTELIN KOWA TOM’S SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | ー | 1分31秒763 | 1分32秒246 |
12 | 39 | 坪井翔 | JMS P.MU/CERUMO • INGING SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | ー | 1分31秒870 | 1分31秒877 |
13 | 15 | 笹原右京 | TEAM MUGEN SF19 | HONDA/M-TEC HR-417E | ー | 1分31秒871 | 1分32秒043 |
14 | 5 | 山本尚貴 | DOCOMO DANDELION M6S SF19 | HONDA/M-TEC HR-417E | ー | 1分32秒145 | 1分31秒895 |
15 | 64 | 牧野任祐 | TCS NAKAJIMA RACING SF19 | HONDA/M-TEC HR-417E | ー | ー | 1分32秒046 |
16 | 16 | 野尻智紀 | TEAM MUGEN SF19 | HONDA/M-TEC HR-417E | ー | ー | 1分32秒512 |
17 | 14 | 大嶋和也 | ROOKIE Racing PONOS SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | ー | ー | 1分32秒216 |
18 | 50 | 名取鉄平 | Buzz Racing SF19 | HONDA/M-TEC HR-417E | ー | ー | 1分32秒876 |
19 | 12 | タチアナ・カルデロン | ThreeBond Drago CORSE SF19 | HONDA/M-TEC HR-417E | ー | ー | 1分33秒227 |
決勝レース、ポールポジションスタートの平川選手がレースを支配
13時半から行なわれた決勝レースは、35周ないしは70分というルールで、タイヤ交換の義務付けはないという形になった。このため、ピット作業を伴う給油やタイヤ交換はなく、ほかのサーキットに比べてオーバテイクがしにくいとされるツインリンクもてぎの特性を考えると予選順位が決勝レースの行方を左右すると考えられた。
スタート直後、ポールポジションの平川亮選手がトップを維持しながら1コーナーに入っていった。その後ろに続いたのは予選3位の山下健太選手。何度も追い越しにかかるが、抜くまでには至らず、2位山下選手、3位は2番グリッドからスタートしたサッシャ・フェネストラズ選手。
予選4位からホンダ勢最上位としてスタートした大湯選手は、スタートで順位を落とすと、1周目の裏ストレートではフロントウィングを壊してスローダウン。それによりピットインすることになり、さらにほかにもトラブルを抱えているようでガレージに入ってしまった。修復後レースに復帰したものの、優勝争いからは脱落した。
同じように予選12位からスタートした坪井翔選手(39号車 JMS P.MU/CERUMO • INGING SF19/トヨタ)は中段勢の争いにおいて、他車との接触からコースアウトしてリタイアになってしまった。
レースはトップの平川選手、2位の山下選手が3位のフェネストラズ選手以下を引き離す展開になった。4位は中嶋一貴選手(36号車 VANTELIN KOWA TOM'S SF19/トヨタ)でここが1つのグループ。5位は平川選手のチームメイトになる関口雄飛選手(19号車 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19/トヨタ)が5位、6位は小林可夢偉選手(7号車 KCMG Elyse SF19/トヨタ)となり、トヨタ勢が上位を占めた。
ホンダ勢の最上位は7位の福住仁嶺選手(6号車 DOCOMO DANDELION M6Y SF19/ホンダ)、8位の山本尚貴選手(5号車 DOCOMO DANDELION M6S SF19/ホンダ)のなど後方グループが1つになっており、レースは1-2位、3-4位、5位以下という3つのグループに分かれることになった。
後半タイヤが厳しくなったが、タイヤをマネジメントした平川選手が勝ち切る
レースが動いたのは19周目の裏ストレートで、前を走る小林可夢偉選手のスリップストリームに入った福住仁嶺選手が小林選手をオーバーテイクし6位に浮上。そのままの勢いで前を行く関口選手にも迫る。その後ろでは福住選手のチームメイトで山本尚貴選手が小林可夢偉選手をオーバーテイクして7位にあがる。そのときに山本尚貴選手と小林可夢偉選手は接触してしまい、両者ともにピットに入る。その後、福住選手の前を行く関口選手もタイヤがパンクしたようでコースから飛び出し、グラベルに埋まってしまいリタイアとなってしまった。
これらの車両はさらに前にタイヤを交換していた笹原右京選手(15号車 TEAM MUGEN SF19/ホンダ)、タチアナ・カルデロン選手(12号車 ThreeBond Drago CORSE SF19/ホンダ)の後ろになる。今後、上位勢もタイヤが厳しくなりタイヤ交換をせざるを得ない状況になると、上位進出もうかがえそうな状況になっている。
レース後半になると、トップの平川選手、2位の山下選手、3位のフェネストラズ選手、4位の中嶋選手の4台が4秒以内でレースをする展開。目に見える追い越しなどはないが、緊張感のあるレースが展開されていく。各車とも概ね1秒ずつの差を維持しながら等間隔で走っている状況だ。こうなってくると、レースは誰がタイヤを最後まで持たせることができるのか、そういうレースになってきたと言える。
最終ラップにはトップを行く平川選手に2位の山下選手が真後ろまで迫る。結局追い抜くまでは至らず。レースはその緊張感の高い状況のままチェッカーを迎え、優勝はポールからポール・トゥー・ウインで実現した平川亮選手。
2位は山下健太選手、3位はこのレースがデビューレースとなるサッシャ・フェネストラズ選手、4位は中嶋一貴選手、5位がホンダ勢最上位となった福住仁嶺選手、6位はニック・キャシディ選手となった。
スーパーフォーミュラ開幕戦 もてぎ 決勝レース結果
順位 | カーナンバー | ドライバー | 車両名 | エンジン | 周回数 | タイム(トップとの差) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 20 | 平川亮 | ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 35 | 56分35秒530 |
2 | 3 | 山下健太 | ORIENTALBIO KONDO SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 35 | +0秒610 |
3 | 4 | サッシャ・フェネストラズ | ORIENTALBIO KONDO SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 35 | +3秒331 |
4 | 36 | 中嶋一貴 | VANTELIN KOWA TOM’S SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 35 | +7秒556 |
5 | 6 | 福住仁嶺 | DOCOMO DANDELION M6Y SF19 | HONDA/M-TEC HR-417E | 35 | +11秒179 |
6 | 1 | ニック・キャシディ | VANTELIN KOWA TOM’S SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 35 | +19秒929 |
7 | 16 | 野尻智紀 | TEAM MUGEN SF19 | HONDA/M-TEC HR-417E | 35 | +26秒930 |
8 | 38 | 石浦宏明 | JMS P.MU/CERUMO • INGING SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 35 | +27秒854 |
9 | 64 | 牧野任祐 | TCS NAKAJIMA RACING SF19 | HONDA/M-TEC HR-417E | 35 | +38秒030 |
10 | 14 | 大嶋和也 | ROOKIE Racing PONOS SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 35 | +39秒497 |
11 | 15 | 笹原右京 | TEAM MUGEN SF19 | HONDA/M-TEC HR-417E | 35 | +40秒664 |
12 | 12 | タチアナ・カルデロン | ThreeBond Drago CORSE SF19 | HONDA/M-TEC HR-417E | 35 | +1分02秒537 |
13 | 5 | 山本尚貴 | DOCOMO DANDELION M6S SF19 | HONDA/M-TEC HR-417E | 35 | +1分02秒679 |
14 | 7 | 小林可夢偉 | KCMG Elyse SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 35 | +1分03秒270 |
15 | 65 | 大湯都史樹 | TCS NAKAJIMA RACING SF19 | HONDA/M-TEC HR-417E | 31 | 4周 |
R | 18 | 国本雄資 | KCMG Elyse SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 22 | リタイア |
R | 19 | 関口雄飛 | ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 20 | リタイア |
R | 39 | 坪井翔 | JMS P.MU/CERUMO • INGING SF19 | TOYOTA/TRD TRD01F | 0 | リタイア |