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マクラーレン、5台だけのスペシャルモデル「マクラーレン セナ GTR LM」公開

59号車の「上野クリニック」カラーを忠実に再現するため新色「ウエノ・グレー」を調合

2020年9月18日(現地時間)公開

「マクラーレン F1 GTR」を記念するモデルとして作られた「マクラーレン セナ GTR LM」

 マクラーレン・オートモーティブは9月18日(現地時間)、1995年のル・マン24時間レースで総合優勝を果たすなどした「マクラーレン F1 GTR」を記念するモデルとして作られた「マクラーレン セナ GTR LM」を公開した。オーナーからの依頼で製作されたという今回のモデルは5台だけが作られ、価格は非公開。

 MSO(マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ)が手掛けたマクラーレン セナ GTR LMは、1995年のル・マン24時間レースの決勝レースで完走したマクラーレン F1 GTR(1位、3位、4位、5位、13位でフィニッシュ)の1台へのオマージュとしてデザイン。同レースに出走した各マシンのデザインを再現したり、トリビュートを捧げたりしたとのことで、ペイントには最低でも1台あたり800時間を要し、それを大幅に超えたモデルもあるという。

 外観ではガルフやハロッズといったブランドのオーナーや、ル・マンのオーガナイザーであるACO(フランス西部自動車クラブ)から特別な許可を取り、ロゴや標章を再現。ルーフには本物そっくりに複製した車検ステッカーも貼られる。また、カーボンファイバー製タブの内側に記念プレートを取り付け、各車がワンオフであることとオリジナルのF1 GTRを識別するシャシーナンバーを記すとともに、レースの日付とそのマシンを操った3人のドライバーの名前、フィニッシュした順位も刻印される。

 パワートレーンではセナ GTRのV型8気筒4.0リッターツインターボ「M840TQ」型エンジンに対して、バルブスプリング・リテーナーをMMC(金属基複合材)製として65%軽量化するとともによりハイグレードのスチールを採用し、シリンダーヘッドには手作業によるポート研磨とCNCによるポート加工を実施。加えてパワートレーンの電子制御の再キャリブレーションによって最高出力845PS、最大トルク800Nmを発生。

 また、エキゾーストシステムでは特別設計のLMツインエグジット・パイプが加えられたほか、足下ではOZレーシング製の専用5スポークGTR LMホイール、サテンゴールド仕上げのブレーキキャリパーといった専用品を装備する。

 室内では、レース用ステアリングホイールにゴールドのシフトパドルとコントロールボタンを装着するとともに、LMのロゴ入りチタン製パドル、レザー製ドアプルストラップ、軽量カーボンファイバー製レーシングシートなどを採用。6点式レーシングハーネスは黒で、パッドはボディカラーと同色の組み合わせになる。

 今回の発表について、マクラーレン・オートモーティブCEOのマイク・フルーウィット氏は「マクラーレン セナ GTR LMコレクションの見事なマシンによって、1995年のル・マン優勝25周年を格別にふさわしい形で祝うことができました。あの偉業は、耐久レース史上屈指の偉大なパフォーマンスとして広く認められていますが、マクラーレンにとってはいっそう重要な意味がありました。私たちのブランドに息づくレースのDNAと、ロードカーの世界との間に、確固たるつながりがあることを証明してみせたからです」と述べている。

 なお、5台のうち1台のカーナンバー59は1995年のル・マン24時間レースを制覇したマシンで、ドライバーは関谷正徳/ヤニック・ダルマス/JJ・レート。車両には、当時のスポンサーであった上野クリニックの名が記されたチャコールグレーのリバリーを採用していたが、今回のマクラーレン セナ GTR LMではこの色を忠実に再現するため「ウエノ・グレー」と名付けられた新色を調合。3人のドライバーが成し遂げた偉業にふさわしいトリビュートになっている。