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GT第6戦鈴鹿でFUJIMAKI GROUP代表 藤巻氏とGTA 代表 坂東氏が共同会見

GT500のクラス1規定は2024年以降に新規定移行

2020年10月25日 開催

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏(左)と株式会社F&Cホールディングス 代表取締役社長 兼 COO(最高執行責任者) 藤巻秀平氏(右)

 SUPER GT第6戦鈴鹿の決勝日にあたる10月25日、プロモーターであるGTアソシエイション(以下、GTA)による定例会見が行なわれた。第6戦の定例会見では鈴鹿のレースを含め、シーズン4戦で冠スポンサー(ラウンドパートナー)となった株式会社F&Cホールディングスの代表取締役社長 兼 COO(最高執行責任者) 藤巻秀平氏が登壇し、あいさつを行なった。

 GTA 代表取締役 坂東正明氏は「現行のGT500車両規定は2023年まで利用する方向で考えている」と述べ、現在のGT500のクラス1規定は2023年まで利用し、2024年に新規定を導入する計画であることを明らかにした。

FUJIMAKI GROUPが第3戦/第4戦/第6戦/第7戦のラウンドパートナーに

株式会社F&Cホールディングス 代表取締役社長 兼 COO(最高執行責任者) 藤巻秀平氏

 会見冒頭、鈴鹿の第6戦を含めシーズン4レースでラウンドパートナーとなったF&Cホールディングス 代表取締役社長 兼 COO(最高執行責任者) 藤巻秀平氏が登壇し、あいさつを行なった。同社はFUJIMAKI GROUPのブランドで特殊鋼プレートの製造販売を行なうメーカーで、自動車メーカーとも取引がある縁がありラウンドパートナーを務めている。

 藤巻氏は、「今シーズンはラウンドパートナーを務めさせていただいている。無観客の第4戦ツインリンクもてぎのレースに参加させていただいたが、無観客で寂しい思いを感じた。今回は鈴鹿のレースでお客さまにも入っていただき、人が出す熱量などが感じられるようになってきて嬉しい。弊社は自動車業界にも関わりを持っており、今シーズンラウンドパートナーを務めさせていただいているのは、モータースポーツを発展させるため。微力ながら今後も貢献していきたい」と述べ、今後も第7戦のツインリンクもてぎなどでもラウンドパートナーを務める予定となっている。

 これを受けGTA 坂東代表氏は、「コロナの影響でスタートが遅れたが、オートバックスをはじめとしたスポンサーの協力を得て進めてきた。今回は無観客の中でFUJIMAKI GROUPさまの方でデジタルコンテンツも含めて協力していただけるというお話しでやってきた。今後もより多くのスポンサーの方に、SUPER GTの価値を認めていただきスポンサーになっていただき、恩返しができるような体制作りをやっていきたい」と述べ、FUJIMAKI GROUPをはじめとした各種パートナーへの感謝の気持ちを表明した。

現在のGT500 クラス1規定は2023年まで利用し、2024年には新規定を導入する計画

 その後、坂東代表による質疑応答が行なわれた。この中で、坂東代表は現在のGT500の車両規則のクラス1規定は2023年まで利用し、2024年には新規定を導入する計画であることを明らかにした。

──プロ野球では有観客で満席にしてやっていこうという取り組みも行なわれている。SUPER GTでは今後行なわれるツインリンクもてぎ(第7戦)、富士(第8戦最終戦)で、現状の制限から緩和される可能性はあるか?

坂東代表:現行としては自己管理で行なっており、PCR検査ももてぎ帰りの9月14日~16日で行なった。それ以来PCR検査をしていないので、チーム関係者など1300名が、自己管理の中でやっている。この状況下で継続してVIPラウンジなどがあるピットビルの2階とパドックの出入りにも制限がある、お客さまにもパドックに入るのを制限させていただいている。この制限はツインリンクもてぎの第7戦まで、きちっとした管理体制の中でやりたいと思っている。

 最終戦をどうするかは、オーガナイザーとともにGTAの管理下の中でどこまでキャパを広げることにできるかにかかっている。ピットウォークやステージなどをどこまでできるかが問題。野球は見ているだけだが、モータースポーツではチームとの距離感が違う。動き出すとパドックの裏や2階などは(お客さまの)動きが大きくなる。管理下における中なので、今後、国の動向も含めて考えてやっていきたい。

──シリーズが始まって、7月から計画した8戦を消化するとなると、2週間おきのスケジュールになる。シリーズに参加するチームの作業はSF、ほかのカテゴリーにも参加しているところは増えており、チームの負担はかなり多くなっている。集約された時間帯のなかで、働き方改革などの対策は?

坂東代表:今年の3月に延期という決定からスタートした。チーム、マニファク、タイヤメーカーと話をして、今年のプライオリティを話し合って、目標としては8戦やるというのが合意だった。

 それに伴い、8戦をやるためのコロナ対策をやりながら、ガイドラインをやりながら作り上げてきた。6月末の富士のテスト、7月からの富士、富士というレースでやってきた。

 こうした取り組みは、JRPやJAFを含めて話し合って段取りを立ててきた、8戦を目標にしている以上は、2週間に一度レースをやり、7月~11月で消化していかないといけないので、かなり大変になっている。

 できるだけ遠くにいかない、公共交通機関を使わないというコンセプトの中、ほとんどのチームは御殿場周辺にあるため、公共交通機関を使わなくても移動できる、富士、鈴鹿、ツインリンクもてぎでレースをやることにして、基本的にはそのとおりに動いている。

 厳しいのは厳しい、コロナ対策をしながらやっているし、レースをやっているということで、われわれスタッフもマンパワーでやっている。ただ、8戦を乗り切ろうと決めた以上、この体制の中でやる。きつい部分もあるので、各企業が、通常の部分で補うように努力してほしいと思っている。

──PCR検査に関しては、第5戦富士の前に検査した。1回目のPCR検査から時間が経っている。富士の前は正確な検査をしたが、いろいろなPCR検査も出てきて、費用も安くなっているなどの報道がある。時間が経ってるということで、もう一度PCR検査をする可能性はあるか?

坂東代表:次のPCR検査の予定はまだ立っていない。自己管理の中で約1300名、自己管理体制とロードマップに従ってやってきた。その結果(9月のPCR検査では)関係者の中から陽性患者なしということでやってきた。引き続き今年に関しては、この自己管理の徹底という形でやっていきたい。

 検温の結果、多くの発熱が認められるということになったりすれば、再びPCR検査という可能性があるが、今は一人一人確認しながら、毎日検温という形でやっている。そのように各々の自己管理体制ができ上がっていると思うので、このまま引き続き継続してやっていく。

──2021年のGT500の開発の凍結に関して前戦で説明があった。年末の海外テストは行なわない、2022年までは現行規定だけど、2023年からは次の規定になるのか? また、DTMは衰退の方向にあるが、GT500だけがクラス1として残る場合には、共通パーツなどはどうするのか?

坂東代表:凍結の話はマニファクと話をしている。技術の凍結、シャシー、エンジンなどについてどこが許されるのかという話をしており、もう少しで皆さんにお話しできると考えている。

 シーズンオフのテストは、これまではマニファク、タイヤメーカーが自由にできていたがGTAの管理下にする。マニファクと話をした結果は、タイヤメーカーにも伝えて、スケジュールを決めていきたい。

 シーズンオフのタイヤメーカーテストも、経費を考えるとバラバラにやらないようにする。自動車メーカーも一緒にやって、時間は去年の半分ぐらいになるように話し合いをしている。その後、タイヤメーカーに話をしていく。

 岡山でテストやって、合同テストをもう1回、タイヤメーカーが持っているシーズン中の時間を決めていきたい。22年にどうするかは、21年の前半戦を見てどうするか、みなさんの意見を聞いて先に進める。

 車両規則に関しては1年延長して23年までは現行規定で行なう。24年からは新規の車両規則を採用する計画で、来年中には24年の骨子を作り上げる計画だ。

 GT500に関しては、ITR側の事情には関係なくクラス1規定で行なう。サプライヤーに関しては日本で作るものもあり、引き続き共有パーツ(EVパーツ)に関しては海外からの輸入も残したり、日本で作れるモノはつくる。ただ、コストの問題があるのでそれが一定になるようにする。匠の技術で高くなってしまうのは、チーム側の負担が増えてしまうので困る。いずれにせよ23年まではクラス1規定で、THN(トヨタ・ホンダ・日産)に全力でやってもらう。

 24年の規定に関しては環境問題などにも留意しながらエンジンなども決めていきたい。

──クラス1で一緒にやりたいという話は?

坂東代表:THNが強過ぎる。リーズナブルな規則だと思えば新規参入も増えると思うが、今の段階では東南アジアで参加するマニファクは少ないかもしれない。欧州のメーカーはマーケティング戦略に依存する、それが欧州の考え方。SUPER GTがそのマーケティングのコンテンツとしてはまれば、やろうというマニファクがいれば嬉しいが、今の所はいない。

 米国ではコロナが収まらないとそれを考えるところの話ではない。今は日本で確実に、日本のモータースポーツの環境作りをやっていかないといけない。

──GT300のタイヤ規則についての考え方について教えて欲しい

坂東代表:現行の状況では、ブリヂストンをほかが追いかけるという状況になっている。過度の開発競争にはならないようにすることを第一に考えている。その1つがタイヤ交換の義務付けという考え方だが、前回56号車がきちんとタイヤ交換を行なうレースを戦って65号車の前に出るというレースをやったが、そういう状況が続くなら手を加える必要がないのかもしれない。

 タイヤ交換の義務付けに変えてレースの距離を伸ばすという考え方もあるかもしれない。予選で使ってタイヤを使う距離を伸ばすという考え方だ。しかし、距離を伸ばすとGT500にも影響が出てくる。GT300だけ350kmで、GT500は300kmという訳にはいかないと思う。常に競争だ、異種格闘競技だということを言っていて、過度の開発競争は問題にあるというのは自分でもちょっと矛盾しているとは思う。しかし、レースそのものを継続して、かつ面白いレースを見せることを考えると、そこを理解していただきたいと考えている。

──2021年カレンダーでのアジア開催の見通しと、来年のカレンダーでの500マイルや500kmレースの可能性は?

坂東代表:タイとマレーシアは継続的に検討している。例えばマレーシアは来年の7月移行はウェルカムだが、いきなり7月に行ってというのも難しい。向こうのプロモーターともよく相談して決めたい。

 タイに関しては引き続き日本から渡航するのは難しい状態。いずれにせよ12月までには意向を出していきたいと思っている。日本でもレースをどのように作り上げるか、オリンピックの問題もあるので引き続き考えており、場合によってはカレンダーの変更をFIAにお願いすることもあるかもしれない。

 来年に関しては500マイル(800km)は難しいと考えており、あるとすれば500kmが入ってくるかなと考えている。

──観客が入って、各コーナーにお客さまがいる状況になっている。それに対する坂東氏の思いを教えてほしい。

坂東代表:自分がこれまでやってきたのはスタンドにお客さまを満席でお迎えしたいということ。レースをやるからにはそれが大事だと考えて取り組んできた。前半戦4戦の無観客でやっていたときには、正直みんなでがんばっているけど、帰ってくるとどうもピンと来ないという状況が続いてきた。

 後半戦、少しだけどお客さまが入れられるようになったが、お客さまとは接触できないという状況には正直もどかしさもある。学校に行って、就職したりしたときよりも、この10年(SUPER GTを統括する今の)仕事に一番真面目に取り組んできた。

 審査委員長の水野氏によれば「更生した」というような人生を歩んできた自分が、この規則でやらないといけないというのは歯がゆい部分もある。「いいじゃん、もっとやりたい、もっともっとお客さまに来てほしい」と思うこともないわけではないが、万が一のときには他のプロモーターにも迷惑をかけてしまうことを考えればそう簡単にはできない。

 そのためSNSなども含めて映像などを展開して、画面の中ではあるが、もっともっと多くの方にSUPER GTに注目していただける環境を作っていきたいと思っている。