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GTA坂東代表、SUPER GT最終戦富士では感染対策しながらステージ再開やレースクィーン増など緩和方針

2020年11月8日 開催

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏

 SUPER GT 第7戦もてぎが、11月7日~8日の2日間にわたりツインリンクもてぎで開催されている。11月7日には予選が行なわれ、GT500は64号車 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/大津弘樹組、DL)が、GT300は61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)がそれぞれポールポジションを獲得した。8日13時からは決勝レースが行なわれており、最終戦に向けてチャンピオン争いの行方を左右するレースになりそうだ。

 決勝レースに先立つ午前中には、SUPER GTのプロモーターであるGTA(GTアソシエイション)による定例会見が行なわれた。この中でGTA 代表取締役 坂東正明氏は「富士で行なわれる最終戦に向けてはさまざま緩和の方向で検討している。パドックとピットビル2階/3階のVIPルームとの行き来やチーム関係者やレースクィーンの人数制限の緩和、さらにはグランドスタンド裏のステージなども行なう方向で検討している」と述べ、11月28日~29日に開催される最終戦で、感染症対策を引き続き行ないながら制限を若干緩める方向で検討していることを明らかにした。

FCYに関しては引き続きテストを続けて行き、オフィシャルによるフラッグの補助として活用

──それでは冒頭の坂東代表からあいさつを。

坂東代表:なんとかここまでこれてあと2戦、今年の目標である全8戦を完遂できる状況になっている。いろいろ課題はあるが、エントラント、関係企業との約束である全8戦が見えてきている。みなさんのご協力のお陰でここまで来ることができて感謝したい。残り2戦、レースの中身としては非常に面白いと思っている。

──昨日もFCY(フルコースイエロー)をテストしていたが状況と導入時期について教えてほしい。また、前回の鈴鹿のレースではSC(セーフティカー)の導入によって23号車が大逆転で優勝した。昨年の富士でも優勝を得たチームがあったが、FCYが導入されたから、SC導入時の運不運問題が解消されるとは思わないが、そのあたりに関する考え方を教えてほしい。

坂東代表:FCYに関してはすでに世界各国で導入されており、WEC(世界耐久選手権)やニュルブルクリンク24時間などのレースでもFCYの仕組みが導入されている。

 ただ、日本と海外の大きな違いは電波管理状況で、日本の電波の仕組みに合わせた形でやらないといけなくて、電波の仕組みが違うのでアンテナの立て方も違っており、その検証を今やっている。また、今やっているFCYに関するハードウェアを提供する「MYLAPS」、そのソフトウェアを提供する「SBG」、それらと現在の我々の計時データシステムとの組み合わせとの検証が必要で今それも同時に行なっている。

 イエローが出て、FCYを導入するというときに3、2、1とカウントダウンしてやるがこれはほとんどズレがない。で3、2、1でグリーンという中、これもさほどのズレはない。だが、まだ100%ではなくて、1秒のズレが出たりする。車両が45台もあると、アンテナを過ぎた辺りとか手前とかブラックホールみたいんところができてしまい、感知できないエリアができてしまいそれが1秒の遅れとなっている。

 今の制度はオフィシャルの旗が中心で、人間が振る旗に機材を補助として使うという仕組みになっている。もう少しテストを続けて行くが、方向性としては有線でつながっているオフィシャルを第一の信頼にして、無線を補助で使うという仕組みがベストだと考えている。

 現在までの知見では、ある程度車速が出るとFCYのイエローを出すと、クルマが詰まる可能性があり、事故につながるかもしれない。現在はGPSを使って車速を感知しているが、例えばブランパンなどであればセクター、セクターで感知するようになっている。

 これまで富士と鈴鹿に対してテストをしてきたけど、ツインリンクもてぎでのテストは今回が初めて。仮に来年やると考えると、スポーツランドSUGO、オートポリス、岡山などに関しては一から検証しないといけない。

 また、今はコロナ禍の状況で、お客さまもフルに入っていただいている訳でなく、そうしたときにどうなるかはまだ分からない。そうした状況なので、補助的に使うということを基本方針としてやっていこうと考えている。

 セーフティカーのタイミングに関しては、前戦鈴鹿では23号車は52号車がクラッシュしたのを見て、賭けに出てそれが戦略としてはまったと考えている。昨年の富士の例場合はたまたまラッキーだっただけで、それで順位が変わった。その意味で前のレースに関しては戦略的にセーフティカーのタイミングを上手く掴んでやり、狙ってやったというのが大きな違いだ。ただ、異種格闘技としてのレースがそれでいいかは、議論もあるので精度を高めながらいろいろ検討していきたい。

──マザーシャシーの新しい方向性に関して?

坂東代表:マザーシャシーに関しては来季にいろいろ模索して再来年にはシェイクダウンに漕ぎ着けるようにやっていきたい。マザーシャシーに関してはモノを進化させろと言っているのだが、武士(筆者注:つちやエンジニアリングの土屋武士氏)がやったときには結構触っていたのだけど、今はタイヤに頼ったり、無交換作戦に頼ったりという状況で、もっと極端にやってみたらどうかと思っている。次のマザーシャシーはガワはないかもしれないが、エンジンやロールゲージなどはついた状態で渡して、サスペンションなどは自分達でなんとかしてもらう。

 JAF-GTに関してはモノ作りとしての位置づけがあるが、コスト削減に関しては考えないといけないので、パイプフレームを認める方向で考えている。その上でサスペンションや空力などを進化させていくモノ作りに取り組んでもらってほしいが、とはいえFIA-GT3に関しては触れない部分もあるので、空力に関してはJAF-GTではカナードやリアウィングに関しては申請制にしてハイダウンフォース仕様、ローダウンフォース仕様などができないようにする。ただ、足(サスペンション)に関してはやっていいと考えている。サスペンションのジオメトリ、重量配分、低重心などに関しては好きにしてほしい。

──国の方でも入国条件を緩和する方向に動き始めている。また、野球などではスタジアムを満員に入れてみる実験なども行なっている。スタジアムに比べると密にならないサーキットではどうなるか?

坂東代表:現状の緩和はビジネスの旅客に関して14日間の自主隔離を免除するという状況で、観光客に関しては緩和されていない。また、我々のドライバーも海外のドライバーがようやく入国出来るようになってきているという状況。

 そうして考えると、基本的にはこれまで通りの関係者の自己管理に加えて、お客様の導線をしっかり管理していくという方針には変わりはない。すべての関係者にPCR検査ができるようなリソースがあればそれを変えることができると思うが、それが出来ない現状では従来どおり自己管理による対策という形になる。今回のツインリンクもてぎのレースでも、スタンド席の前後左右を空きにしての全席指定で1万3500名というお客さまに入っていただいている。関係者も入れれば、1万5000名が住所氏名が分かっている中で、陽性者が出たときにそれをきちんとフォローしながら、今後もそこをしっかり管理しながらやっていく。

 今回チケットの当日売りがないのはその延長線上にある。今後も自己管理を徹底しながら、前に進めていきたい。

最終戦富士では感染対策を続けながら、制限を徐々に緩和の方針

──F4のスカラシップ制度に関してはどうなるのか? ダンロップとの契約は?

坂東代表:FIA-F4に関しては、15年から6年目を迎えており、新しく3年という話をしている。やっと定着してきた。カートから上がってくる、スカラシップを組むという中で、来季に向けては新しいドライバーをルーキーとしてチャレンジカップに乗せるタイスケは組めない。来季も(今のドライバーを)継続してチャレンジカップのドライバーとして採用する。

 今年の状態としては、F4に対して7大会14戦、スーパーライセンスのポイントを出すのをうたっていたが、コロナ禍の中でそれは難しくなった。そこで、サーキットに対して、3サーキット、4大会で12戦というスケジュールでも、特例としてスーパーライセンスのポイントを出してもらえるようにJAFを通してFIAに申請して認めてもらっている。

 来年以降のことはこれからも相談しないといけないが、21年に関してはダンロップで契約している。3年後には次の契約をしないといけないので、それまではダンロップさんにお願いできればと考えている。

──今日も「ドライブスルーピットウォーク」などお客さまに向けた新しい取り組みが行なわれていた。最終戦に向けて、お客さまの動きなどに関して制限緩和のアップデートはあるか?

坂東代表:最終戦に向けて緩和はさまざま検討している。今日は富士スピードウェイの関係者も来ておりさまざま話し合っている。また、来年はシリーズに復帰していただくスポーツランドSUGOやオートポリスなどの関係者にも来ていただき、今の状況下を見てくださいというお話しをしている。こうした中で継続していくときに費用対効果や収支の部分も含めていろいろ見ていただいている。

 富士の最終戦に関してはパドック内の動きを緩和していきたい。ピットビル2階や3階のVIPスイートのお客さまがパドックに降りれるようになったり、報道関係者やレースクィーンに関しても人数の制限をしていたのを緩和していきたい。しかし、それでもお客さまとの導線の引き方は引き続きやっていく。自己管理しているパドックの関係者とお客さまがきちんと線を引いて交わらないようにする。特にグランドスタンド裏のステージに行ったときの導線の引っ張り方などは重要になると考えており、そこはきちんと取り組んで行く。

──それでは最終戦に向けてステージイベントも考えているのか?

坂東代表:現状はその方向で考えている、今の段階では最終決定をしていないので、完全な計画をお知らせすることはできないが、今後何からの形で発表していきたい。

──GTAとしてはSUPER GTではクラスターなどは起きていないという認識か?

坂東代表:クラスターは発生していないと考えている。が、重要なことは起きたかではなく、仮に起きてもその人間がどう動いていたのかということを把握できるようになっていることだ。リソースがあれば、毎回PCR検査をやりたいところで、そうすればもっとパドックの中での自由度は増えることになる。

──最後に代表から一言、まもなく坂東代表も楽しみにしているF-2の歓迎フライトもある。

坂東代表:自分は自衛隊と防衛省にお願いしただけだ(笑)。この状況下の中でも、やってもらえることは本当に嬉しいところ。こうしたことを継続してこのような環境下でもみんなが楽しめるように、コンテンツを作っていきたい。これからのレースは伊沢選手が一生懸命頑張って、ダンロップがいい結果を出したが、レースは面白くなると思っている。来ていただいたお客さま、テレビなどで見ていただいているファンのみなさまに少しでも感動を提供できたらと願っている。

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏