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SUPER GT 坂東代表会見、たかのこのホテルの冠スポンサーは最終戦でも実現する見通し
2020年8月9日 14:16
- 2020年8月9日 開催
日本で最も人気のあるモータースポーツ、SUPER GTの第2戦となる「2020 AUTOBACS SUPER GT Round2 たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE」(以下、第2戦 富士)が、8月8日~9日の2日間にわたって富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で無観客レースとして開催されている。7月19日に同じく富士で開催された開幕戦では、予選、決勝が1日で開催されるワンデーレースだったが、第2戦 富士では通常と同様、土曜日に予選、日曜日に決勝というスケジュールに戻されている。
開幕戦はミニマムの環境で開催し、その後徐々に拡張していくのがSUPER GTのプロモーターであるGTA(株式会社GTアソシエイション)の方針になる。本記事では、第2戦で行なわれたGTA 代表取締役 坂東正明氏の会見をお届けする。
感染症対策を1つ1つ行ない前に進んでいく取り組み
──坂東代表より冒頭の挨拶を。
坂東代表:新型コロナの自粛という状況の中、さまざまな規制の中でイベントを開催している。富士での開催も今回2回目になったので、チームも慣れてきている。天気も非常によいのでお客さまを入れて開催したかったが、このような状況の中でも前に進めて嬉しく思っている。
──第1戦を終えた感想を教えて欲しい。
坂東氏:新型コロナ感染拡大の中でのイベントということで、やれること(対策)を継続して行なう取り組みをしてきた。その中で開幕戦を迎えることができ、チーム関係者、メディア、オーガナイザー、オフィシャルなどの管理などを厳正に、自分達ができることを精一杯やるということで、イベントを進めてきて、開幕戦を終えることができ、現在も継続して行なっている。こうした感染症対策を11月28日の最終戦まで継続的に行ないながら、一人も出さない、うつさない、万が一のときのクラスターの防止、PCR検査も視野に入れながらやっている。
現在我々のメディカル委員会が都内でPCR検査を有料だができるような拠点を確保している。そこで陽性が出て濃厚接触者になれば保健所で検査という流れになる。そうしたPCR検査は万が一のときにはチーム全体で受けてもらい、陽性と陰性でそのチームをレースに受け入れるかどうかを判断することになる。鈴鹿でも同じような体制を作るべく、トヨタ、日産、ホンダ、そして自工会も含めてそうした問題が解決できるように、前向きな協力を自工会からいただいている。
このように、イベントを継続できるような取り組みを今後も行なっていく。これからスーパーフォーミュラやS耐などのシリーズも始まっているが、プロの取り組みというのを見てもらい、共通して取り組みイベントを継続していくことが大事だ。GTAとしては、新型コロナ対策を厳粛に受け止め、防止対策に取り組んで行く。今後はそれをオーガナイザーなどに理解してもらい、アマチュアのみなさまが参加される参加型のレースでもどうしていくかの例になるように、我々も継続してやっていきたい。
開幕戦をやってみて、いくつかの反省点や課題も見えてきたので、それに基づいた防止策をチームに対しても徹底して行なっていく。今後ともこの状況下でやっていきたい。
プロモーターとしてはお客さまに来ていただけないことは残念だが、J-SPORTSやYouTube、Twitterなどの各種メディアに対して映像提供などを大きな目で行ない、より拡充できるように今後もやっていきたい。
──前戦の会見で富士マイスターを決める取り組みをしていきたいということをおっしゃっていたが?
坂東代表:富士マイスターを決めようという取り組みは、富士でのドライバーチャンピオンを予想してもらうキャンペーンを行なっており、すでに昨日締め切りを迎えた。正解された方には来年の年間パスやピンバッチ、サイン入り色紙などをプレゼントしたい。8戦のうち4戦ある富士でのマイスターを決めるというのも相応しい称号になるように、ファンの皆さんにも応援していただき、興味を持っていただきたいと思っている。
──現在FCY(フルコースイエロー、セーフティカーなどを出す代わりにコース上全域でイエローフラッグを出して追い越し禁止とする措置、海外のレースではWECなどで導入されている)のテストをされていると聞いているが、それについて教えてほしい。
板東代表:FCYもそうなのだが、フロントガラスの所にドライバー名を4秒、順位を2秒というのを点滅で交互に出るような新しい表示システムをテストしている。今回はこのフロントガラスの表示をテストしており、どうなるかを試している。次戦の鈴鹿の公式練習ではFCYの方も動かして、アンテナ位置を確認したりしながら動作確認を行なう。元々は欧州のシステムなので、きちんとソフトウェアが動作しているかを確認しなければならないし、電波環境も違うので、それに対応して追加のアンテナも立てないといけないからだ。そうしたテストを次戦で行ない、問題がなければ来年の開幕戦から導入できるような体制作りをやっている。
──感染防止対策だが、第3戦の鈴鹿が行なわれる三重県でも独自の緊急宣言が出されるなどしてしている。SUPER GTの取り組みに変化はあるか?
坂東代表:イベントに対しては当初から作ってきたガイドラインに沿って運営していく。入場および活動のガイドライン、2週間以内に熱が出たらどうするかそうしたことを取り決めてある。その中で、チームやドライバーに関しても必要であればPCR検査も行なっていく。
万が一ドライバーで発生した場合には、濃厚接触者を含めてPCR検査を行なうことになる。そうしたことを考えると、ドライバーの行動も別々がいいとかなどが考えれる。万が一の場合にはドクターの指示によりPCR検査ができる状況をきちんと保てるようにしていく。
東京ではすでに1つ拠点を確保しているが、今後鈴鹿や名古屋に関してもそうした環境ができるようにしたい。今チームの関係者は1チームあたり16名だが、それが鈴鹿では18名に増やす。それは自動車メーカーもチームも同じだが、行動が把握できるようになっている。仮に発生したも濃厚接触者の有無などを管理しながら1つ1つやっていく。
仮にチームで発生した場合には、濃厚接触者がどこまでで、陽性がどこまでできるかという状況次第でそのチームは出れなくなる可能性はある。そのためチーム側は予備要員を用意するという取り組みをしており、そうしたスタッフに関しても問診を提供してもらう仕組みになっている。予備を認めましょうという中で管理体制を作っている。
FIA F4を経由してGT500にステップアップするドライバーが増加、卒業生の阪口晴南選手はデビューレースで予選3位
──第1戦の後にチャリティオークションを行なったと思うが、それについて教えてほしい。
坂東代表:今年からシリーズのスポンサーにもなっていただいているBHオークションとの取り組みで、オートサロンから始めている。元々は谷口選手、松田選手といったGTに関係する多数のドライバーが発起人になって医療従事者へのチャリティーをしようということで始まったのだが、谷口選手だけでも20着のスーツを用意するなどの力の入った取り組みになった。それで、BHAの場所を借りてスタジオを作り上げて、ピエール北川(筆者注:SUPER GTオフィシャルアナウンサー)も呼んで、11時から約12時間にわたり280点を出品して行なわれた。
入札は携帯からワンプッシュ500円でという形で始めて、結局トータルで2720万円にも達した。最高額は片山右京のティレル時代のヘルメットとスーツで、350万円という値段がついた。イベントに協力いただいた関係者に感謝したい。
コロナの影響で日本のモータースポーツも大変なことになっているが、このオークションのYouTube中継では常時10万人の人に見てもらえていた。日本のモータースポーツもまだまだ捨てたもんじゃ無いと感じた。日本では無観客のレースを中継で行なっているが、ものすごい新しいものを発見したという感がある。今後とも、SUPER GTの認知度の向上を図っていきたい。
──PCR検査などでドライバーに陽性が出た場合に備えてリザーブドライバーなどの取り組みが大事になると思うが……。
坂東代表:国内のドライバーの場合は最大で4名というのが規定でそれを超えることはできない。しかし、海外からのドライバーに関しては、外国人の入国が制限されている現状があるので、4名の枠を外して柔軟に対応している。
──今回FIA F4出身の阪口晴南選手がヘイキ・コバライネン選手の代理として出場し予選で3位に入るなど活躍している。GT500に参戦しているドライバーはすでに6名と増えているが、坂東氏からみたそうした状況への感想を教えてほしい。
坂東代表:大事なことはどうやってピラミッドを作るのかということだ。全日本カートがあり、FIA F4があり、その上はライツとリージョナルで揉めているが……さらにその上にはスーパーフォーミュラもある。そうした中で育成された「少年」達が、上のカテゴリーに上がってくることは非常にいいことで、世代交代の時期が来ているのではないだろうか。
「少年」達は非常に速いし、それなりに育っている。こうしたカテゴリーは本当に大事にしていかないといけなくて、F4もそうだし、自動車メーカーも一生懸命取り組んでおり、世代交代に見える状況が来ているのではないだろうか。
そうしたことを見ると、これからも我々がやるべきことをやっていかないといけないのだなと再認識している。今後はそうした「少年」がトップドライバーになり、GTの中で使ってもらえて、さらにはGT500にステップアップできたというのは本当にいいことだ。この先は若手のドライバーがきちんと報酬をもらえ、老後を迎えることができるように、さらにその中からはF1に上がるドライバーも出てくるように応援したい。
中嶋一貴選手がル・マンで勝った、佐藤琢磨選手がインディ500で勝ったといっても、取り上げられるのは1か月ぐらいの話。もっとメジャー路線になれるように継続的にドライバーの育成を行なっていかないといけない。今後も若手の夢や希望が叶えられるように、ビジネスとして成り立つ世界を作っていないといけない。それは今いるドライバーがだらしない訳ではなくて、それを上回る結果を出す若手が登場している、そういうことだ。ぜひそうした若手ドライバーにもスポットライトを当てていってほしい。
──最後に代表より一言。
坂東代表:このような状況下だが、前半戦4戦に関しては現在の取り組みを継続し、その後は状況を見ながら1つ1つ前に進めていきたい。また、今回のレースでも開幕戦のスポンサーになっていただいた、たかのこのホテルさまには心より感謝申し上げたい。本来は岡山のレースでスポンサーになっていただくハズだったのだが、こうした無観客で行なう中で開幕戦のスポンサーになっていただき、第2戦も継続してなっていただいた。今話をしているが、おそらく最終戦でもスポンサーにもなっていただける見通しだ。なかなかないお話しなので、嬉しく思っている。1コーナーにも看板を立てている状況なのでぜひご確認いただきたい。