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ブリヂストンの誕生から現在、未来を見据えた活動を展示する企業博物館「Bridgestone Innovation Gallery」

2020年11月21日 オープン

11月21日にオープンした「Bridgestone Innovation Gallery」

 11月21日、ブリヂストンは同社の技術センター(東京都小平市)内の企業博物館「Bridgestone Innovation Gallery(ブリヂストン イノベーション ギャラリー)」を一般公開した。なお同館は2001年に開館した「Bridgestone TODAY」を全面改装したもので、リニューアルオープンは当初2020年春を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により11月のオープンとなった。

 今回オープンしたBridgestone Innovation Galleryは、1960年代より同社の技術開発拠点として今日に至る小平地区に、社内外の交流を促進する施設やテストコースなどを備えた施設として建設が計画されている「Bridgestone Innovation Park(ブリヂストン イノベーション パーク)」の最初の施設としてオープンした。

 Bridgestone TODAYがその名の通りブリヂストンの誕生から現在(TODAY)の歩みを紹介することに主眼を置いた施設だったのに対し、今回のリニューアルでは未来への活動をも見据えた展示になってるのが特徴。同社とユーザー、ステークスホルダー、そして社会との共感の場を目指しているとのこと。

 それではリニューアルしたBridgestone Innovation Galleryを見てみよう。

広いエントランスホールの先には、4つのパートに分けた展示

 入り口前に展示されている世界最大級のタイヤを目印に入館すると、まずは受付と大きなホールが来場者を迎える。ここでは企画展やワークショップの開催が可能とのことで、取材を行なった11月27日には未来に伝えたい自然をテーマとした「第17回ブリヂストンこどもエコ絵画コンクール」に応募された絵画が展示されていた。

入り口脇に展示されているタイヤのサイズは世界最大級
世界最大級のタイヤは1本あたりの重量だけでも5t以上と超弩級
エントランスホール壁面にパンチングボードで描かれたイラストは実物大
エントランスホール

 展示は「WHO WE ARE(挑戦の歩み)」「WHAT WE OFFER(モビリティ社会を支える)」「HOW WE CREATE(創造と共創)」「WHERE WE GO(新たなチャプターへ)」の4つのパートに分類され、非常に見やすいものとなっている。

「WHO WE ARE(挑戦の歩み)」

「WHO WE ARE(挑戦の歩み)」
入り口でイメージムービーを観てから入場する。「Our Way to Sarve」とは「モビリティ」「一人ひとりの生活」「環境」を重要領域としたブリヂストンの新たなCSR体系の名称

 ブリヂストンの創業からの歴史を紹介するコーナー。創業者 石橋正二郎氏の誕生から純国産タイヤメーカー ブリヂストンの創業、海外進出、モータースポーツ活動など展示内容は多岐にわたり、貴重な展示物も数多い。販売店「COCKPIT」(1982年)や「POTENZA」(1979年)、「REGNO」(1981年)、二輪用の「BATTLAX」(1983年)など、現在でもなじみ深いブランドの登場やF1、MotoGPへの参戦を経てグローバル企業へ歩んできた同社の歴史はなかなか興味深いものであった。

創業期の展示
創業当時のタイヤ(レプリカ)
1932年~1933年ごろのポスター
ブリヂストン初の乗用車用ラジアルタイヤ
歴代のゴルフボール
看板など
展示マシンはF1開発のためのテスト車両(無限)。手前はミカ・ハッキネン選手が使用したタイヤ
2007年のMotoGP使用タイヤ
大ヒットした市販スポーツタイヤ ポテンザ RE71
ologic採用のソーラーカー用タイヤ

「WHAT WE OFFER(モビリティ社会を支える)」

「WHAT WE OFFER(モビリティ社会を支える)」内のタイヤパーク
さて、これは何のタイヤ?
正解は裏に記載されています
空港で働くTT用タイヤや航空機用タイヤもあります

 ブリヂストンのさまざまなタイヤを通じて、ゴムなどの素材そのものやタイヤの構造について知ることができる社会科見学的コーナー。自転車、乗用車用タイヤから航空機タイヤまでさまざまなタイヤの展示はもとより、自分の手で体感できる展示もあり、分かりやすい解説も相まって大人から子供までが楽しめる。その内容はゴムの木の話から同社のタイヤ軽量化の最新技術「ENLITEN(エンライトン)」や、低燃費タイヤ技術「ologic(オロジック)」など最新のタイヤに盛り込まれたテクノロジー、そして「ULTIMAT EYE(アルティメット アイ)」など生産技術まで多岐にわたり、タイヤの奥深さを感じられるコーナーだ。

さまざまなゴム製品
色々なゴムを引っ張って違いを感じるコーナー
落としてみて弾性の違いを感じるコーナー
天然ゴムと合成ゴム
天然ゴム資源への取り組みを解説
タイヤの性能を分かりやすく説明(操作盤は非接触式)
ランフラットテクノロジーの解説
軽量化技術「ENLITEN(エンライトン)」の解説
燃費性能向上に貢献する技術「ologic(オロジック)」の解説
さまざまな路面にさまざまなタイヤ
世界各地の路面をテストしていることを説明している
「タイヤができるまで……」コーナー
素材、製造工程、構造、さまざまな角度からタイヤを解説している
さまざまな分野のMaaSに対し、ブリヂストンが提供するビジネスプラットフォーム「Bridgestone T&DPaaS」のコーナー

「HOW WE CREATE(創造と共創)」

「HOW WE CREATE(創造と共創)」

 こちらは、ゴルフなどのスポーツや自転車、建築関連など幅広い分野を扱うコーナー。騒音、振動、ハーシュネスを体感できるNVHソリューションシミュレーターや、ゴルフのスイングフォームを録画して骨格の動きと体重移動の流れを解析、可視化するシステム「TOUR B ConPAS」なども体験できる。また、ブリヂストンのアスリートやパラアスリートへの支援活動についてもここで触れることができる。

NVHソリューションシミュレーター
サイホン原理による新しい排水システムのデモ装置
佐藤琢磨選手がゴルフスイングをチェックしに来たという「TOUR B ConPAS」
障がい者、ジュニア、シニアをはじめとする全ての人を支える活動「AHL」に関するコーナー。パネルとともにゴム人工筋肉や競技用義足などが展示されている
映像と実物で手彫りによる試作タイヤを解説
ゴムと樹脂を分子レベルで結びつけた「SUSYM(サシム)」
手前は最新の競技モデル「アンカー」、奥が70年代に大ヒットした「ロードマン」
ロゴの変遷

「WHERE WE GO(新たなチャプターへ)」

「WHERE WE GO(新たなチャプターへ)」の入り口。壁面に展示しているのは2017年にインディ500で優勝した佐藤琢磨選手のマシン(レプリカ)

 映像が流れる通路という趣もある展示。実はここは同社の技術センターへの通路となっており、そちらへの来訪者にもブリヂストンが描く未来を感じてもらおうと用意されたものとのこと。ブリヂストンが誇る最新テクノロジーの展示がある通常の通路もあり、こちらには月面ローバー用タイヤの展示もある。

リアルとデジタルを融合したコンテンツが流れるコーナー
平行した通常の通路にはさまざまな最新技術を採用したモデルの展示
月面ローバー用タイヤ

 以上、4つのカテゴリーに分けられたスペースの展示のほか、地下には「Bridgestone TODAY」から展示している免震ゴムのコーナもある。このコーナーは免震建物や地震の基礎知識などが解説され、実際に活用されている免震ゴムそのものも見学することもできる。実はこの免震ゴムがこの建物そのものの地下となり、それを直接見ている、まさにリアルな世界だ。

地下に展示されている免震ゴムのコーナー。ガラス越しに見えるのはなんと「Bridgestone Innovation Gallery」のある建物自体の免震ゴム

 九州の地下足袋生産販売会社を前身とし生まれたブリヂストンが、現在人々の生活のさまざまな足下を支えるグローバルな活動を行なっている、その足跡と現在、そして未来へのビジョンがつまった施設となるBridgestone Innovation Gallery。ちなみに入館料は無料で、ガイドツアーも用意されている。クルマ好きはもちろん、そうでない人にも一度は訪れてみることをおすすめしたい施設だ。

館長の森英信氏。ガイドツアーは館長自ら担当することもあるとのこと

施設情報

「Bridgestone Innovation Gallery」

住所: 〒187-8531 東京都小平市小川東町3丁目1-1
電話番号: 042-342-6363
開館日: 月曜日~土曜日
開館時間: 10時~16時(入館は15時30分まで)
休館日: 日曜・祝日・年末年始
駐車場: 48台(乗用車42台、バス2台、障がい者用4台)
入館料: 無料